地域創造

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今月のレポート

札幌市
9 月号-No.029


札幌コンサートホール「Kitara」オープン


 
●札幌の培った音楽環境が結晶した新ホール
 
 170万人都市・札幌の都心にある中島公園。園内を数分歩くと、木々に囲まれたKitaraが顔を出した。この7月オープンした札幌コンサートホールである。ガラス張りのエントランスは自然光が射し、床が豪華な大理石で、芸術空間と公園の自然空間をやわらかく結んでいる。ホワイエではレセプショニストたちが笑顔で迎えてくれる。
 
 新ホールの構想づくりから担当している板垣昭彦業務係長は、Kitaraの魅力をこう話す。「まずは緑豊かな公園にあるというロケーションです。ホールまでの園路の静けさが、演奏会への期待を高め、また帰りは余韻を楽しませてくれます。四季にメリハリがある、季節ごとの札幌とそれにふさわしい音楽を味わえます。次に大ホールは、どの席に座っても最高の音を鑑賞できるように工夫しました。ダイナミックな曲線の反射壁を客席に設けたほか、ステージ上に幅17メートルの巨大な音響反射板をつり下げています」
 
 ソフトがないまま豪華な音楽ホールをつくってしまう例が多い中、札幌の強みはPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)と札幌交響楽団があることだ。この夏で8回目を迎えてすっかり札幌に定着したPMFは、今世紀を代表する音楽家・故レナード・バーンスタイン氏が提唱した国際教育音楽祭。約1カ月間、世界中からオーディションで選ばれた若手音楽家が札幌に滞在し、ウィーンフィルなどの首席奏者たちから指導を受けPMFオーケストラを編成する。今年からはKitaraが主会場となり、56公演が行われた。
 
 一方、札幌交響楽団は創立36年の歴史をもち、長い間市民に支えられてきたプロオーケストラだ。今後、Kitaraが札響の定期演奏会場となるほか、主催事業として「Kitara札響シリーズ」、提携事業として「札響名曲シリーズ」が開催される。PMFと札響の新たな拠点となるコンサートホールの誕生は、札幌が長年培ってきた音楽環境の結晶といえよう。
 
 さらに、Kitaraでは、PMFと札響のほかに年間70本ほどの自主事業を展開していく予定だ。運営方針は「新しい音楽環境の創造」と「市民の音楽普及振興」である。「新しい音楽環境の創造」では、まず、PMFなどで培ったネットワークを生かして、国際的に活躍する音楽家を講師として招き、講習会や演奏会を開催する予定だ。そのほか、これまで札幌ではあまり聴く機会のなかった室内楽をシリーズで紹介。11月には「キタラ室内楽フェスティバル」を開催する。市民の音楽普及振興の面では、ホールのシンボルであるパイプオルガンを利用したスクールやKitara音楽入門シリーズを開催。音楽愛好家の底辺を拡大していく方針だ。
 
 また、Kitaraをより身近に感じてもらうため友の会事業の運営にも力を注ぐ。Kitara Clubは、チケットの優先予約などの特典があるほか、ホールの支援組織として、会員はClubの自主事業の企画やボランティア活動を行う。既に6000人が会員となっていて、新ホールへの市民の期待が感じられる。
 
 最後に、アーティストから見た新ホールの印象を、PMFオーケストラ・レジデントコンダクターの佐渡裕さんに聞いた。「Kitaraのこの豊かな音響は、指揮者の解釈も演奏者の奏法も、さらに豊かなものに変えてしまうものです。それに加えて、広々としたロビーや雪の中でも待ち合わせができるエントランスがこのホールを一段と魅力的なものにしています」。Kitaraの誕生は、札幌都心の中島公園の緑の森を"音楽の森"に、そして今、"感動の森"へと変えつつあるようだ。
(橋本道政)


●札幌コンサートホールの概要

[愛称]Kitara(1995年3月公募の結果選定。ギリシャ神話の音楽神アポロンが奏でた竪琴「キターラ」に由来し、語感が"北"に通じ、呼びかけの言葉にもなっている)
[施設概要]地上3階・地下2階、アリーナ型大ホール(上写真)2008席、シューボックス型小ホール453席、リハーサル室3室、ショップ、クローク、カフェコーナー(3カ所)、託児室、レストランなど
[オルガン]アルフレッド・ケルン社(フランス、ストラスブール市)製。ロマンチック・スタイルを基調としたオルガンで高さ12メートル,68ストップ、パイプ数4976本、4段手鍵盤、足鍵盤
[所在地]〒064 札幌市中央区中島公園1-15 Tel. 011-520-2000

地域創造レター 今月のレポート
1997年9月号--No.29

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