地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

6月号-No.038
1998.06.10(毎月10日更新)

●平成10年度芸術提供・共催事業スタート

●クローズアップ〜グリーンホール相模大野

●制作基礎知識シリーズ<番外編>


平成10年度芸術提供・共催事業スタート

4分野、6事業を全国各地で開催
 
 新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートを皮切りに、いよいよ今年度の芸術提供・共催事業がスタートしました。今年度は、音楽、演劇・ダンス、伝統芸能、美術の4分野で6事業が全国各地で実施されます。近隣の地域の方はぜひご覧ください。
 
 芸術提供・共催事業とは、地方公共団体等が主催する地域のニーズを踏まえた質の高い音楽、演劇、伝統芸能等の公演や美術展等の巡回事業について、財団法人地域創造が共催し、実施しているものです。対象団体、要件等は以下の通りです。次年度以降の事業で共催を希望する公演などがありましたら、担当までお問い合わせください。
 
 なお、今年度は実施いたしませんでしたが、国立劇場の協力を得て開催する歌舞伎鑑賞教室の地方公演を可能なエリアで、11年度事業として4月に実施する予定で準備中です。この事業に関して興味をお持ちのホールがありましたら、ご連絡ください。


●芸術提供・共催事業について
 
◎共催要件・内容等
財団法人地域創造は、共催の対象となる事業を主催する地方公共団体、一定の公益法人等に対し、当該事業に係る総事業経費の額から入場料収入を控除した額の2分の1の額を基本として、必要と認める額を負担します。費用負担の上限は1000万円とします。
 
◎共催対象事業
10年度現在共催対象としている事業は、主として次のとおりです。
1)音楽分野:「小澤征爾氏の指揮による新日本フィルハーモニー交響楽団(地方公演)」
2)演劇・ダンス分野:鈴木忠志氏の総合プロデュースにより、地域で活躍する演劇人と全国で活躍する演劇人との共同作業により舞台作品を創造し、発表する事業。
3)伝統芸能分野:「能楽座の協力による能・狂言」、「国立劇場の協力による歌舞伎」について、地方公演を提供し、共催します。
4)美術分野:地域において触れる機会の少ない、特に良質の絵画・彫刻等の美術展等。


音楽分野
 
●新日本フィルハーモニー交響楽団公演
 
 5月4日から16日にかけて、G・シュワルツ指揮新日本フィルハーモニー交響楽団によるオペラ「ペレアスとメリザンド」の公演が富山、尼崎、名古屋の3都市で開催されました。「ペレアスとメリザンド」は、マーテルリンクの戯曲を原作としたドビュッシー唯一のオペラ作品で、近代オペラの最高傑作の1つに数えられています。予定されていた小澤征爾氏の指揮は都合により実現されませんでしたが、他のオペラ作品とは多少趣の異なるいかにもドビュッシーらしい詩的で幻想的な世界が繰り広げられました。
 
●歌劇『ペレアスとメリザンド』
作曲:C・ドビュッシー/指揮:ジェラード・シュワルツ/台本:モーリス・マーテルリンク/演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団/演出:ディヴィッド・ニース(メトロポリタン歌劇場首席演出家)/出演:テレサ・ストラータス、ドウエイン・クロフトほか/合唱:東京オペラシンガーズ
 
◎日程と会場
[富山市公演]5月4日、オーバードホール
[尼崎市公演]5月7日、尼崎アルカイックホール
[愛知公演]5月16日、愛知県芸術劇場大ホール


●第2回地方都市オーケストラフェスティバル
 
 97年度に引き続き、第2回地方都市オーケストラフェスティバルがすみだトリフォニーホールで開催されます。これは、東京以外の地域を拠点に活動するプロ・オーケストラ14団体を3回に分けて紹介するという企画です。今年の1月から3月にかけて行われた第1回のフェスティバルでは、群馬交響楽団、山形交響楽団、九州交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、京都市交響楽団の5つのオーケストラが出演しました。都内のクラシック・ファンはもとより地域の応援団が駆けつけるオケもあり、好評を博しました。今年度は、神奈川フィルハーモニー管弦楽団を皮切りに、大阪シンフォニカー、仙台フィルハーモニー管弦楽団など5つのオーケストラが出演します。この事業は、地方自治法施行50周年記念事業の一環として実施しているものです。


●第2回地方都市オーケストラフェスティバル
◎日程と出演団体 1月31日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団/2月7日、大阪シンフォニカー/2月21日、出演団体未定/2月28日、仙台フィルハーモニー管弦楽団/3月7日、大阪フィルハーモニー交響楽団
[会場]すみだトリフォニーホール


演劇・ダンス分野
 
●舞台芸術活性化事業公演
 
 劇団「SCOT」の鈴木忠志氏の総合プロデュースにより、地域における文化的な潜在力を活性化する試みとして、地域で活躍する演劇人との共同作業により舞台作品を創造し、発表するものです。今年度についての詳細はまだ未定です。97年度は、青森県、飯塚市、埼玉県の3地域で開催されました。


伝統芸能分野
 
●「能楽座」による能・狂言公演
 
 「能楽座」とは、観世銕之丞氏を代表に95年に結成された流派を超えた能楽師による集団。近年、各地で能楽堂が建ち、能・狂言の公演に対するニーズが高まっているのに対して、従来の伝統的な公演形態では対応しきれないという現状を踏まえ、いわば「演能プロデュース集団」として東西の一流能楽師25人により旗揚げされたもの。大槻文蔵(観世流シテ方)、梅若六郎(同)、茂山千之丞(大蔵流狂言方)各氏など現在では26人が会員となっています。
 
 地域創造では、96年度より「能楽座」の協力を得て、全国で能・狂言の公演を開催しています。今年は、能「安達原」、狂言「二人大名」などを富山能楽堂をはじめ全国5会場で開催します。
 
●「能楽座」公演
[富山市公演]10月3日、富山能楽堂
[亀岡市公演]12月12日、亀岡市中央生涯学習センター
[東郷町公演]12月15日、東郷町総合文化センター
[八王子市公演]1月17日、八王子市芸術文化会館
[青森県公演]1月23日、八戸市公会堂


●雅 楽
 
「重要無形文化財である雅楽の宮内庁式部職楽部による地方公演が、6月20日、旭川市民文化会館で開催されます。
 
●宮内庁式部職楽部公演
6月20日 [会場]旭川市民文化会館

美術分野
 
●英国デイヴィッド・コレクション展
 
 イギリスのパーシヴァル・デイヴィッド卿(1892〜1964)が収集した世界的な中国陶磁のコレクションの展覧会を開催します。この展覧会は、日英修好通商条約締結140周年を記念して開催される「英国祭98」の一環として行われるものです。「英国祭98」では、全国各地で美術、科学、スポーツ、音楽など幅広い分野で英国を紹介する催しが行われますが、この展覧会は、その中核イベントに位置づけられています。
 
 コレクション総数は1400余点。中国の宮廷御用の陶磁器を製造する官窯の精品を中心に、中国各時代の最高とされるものが多数含まれています。本展では、「パーシヴァル・デイヴィッド財団」の協力を得て日本初公開の作品を含む宋、元、明、清各時代の代表作約80点を厳選し、中国陶磁の珠玉の「宮廷コレクション」として展観します。
 
 この展覧会は、地域の美術館等が組織する実行委員会に地域創造が加わり、経費の一部を負担するというかたちで実施されます。東京セゾン美術館での展覧会後、大阪市立東洋陶磁美術館、福島県立美術館、山口県立萩美術館で開催予定です。特に、旧安宅コレクションを所蔵する大阪市立東洋陶磁美術館では、洋の東西で収集された世界的コレクションが出会うまたとない機会となりますので、是非ご鑑賞ください。
 
●「英国デイヴィッド・コレクション展」
12月13日〜99年2月下旬、大阪市立東洋陶磁美術館/99年2月下旬〜4月上旬、福島県立美術館/99年4月上旬〜6月13日、山口県立萩美術館・浦上記念館
 
●芸術提供・共催事業に関する問い合わせ
財団法人地域創造総務部事業課
稲葉・平 Tel. 03-5573-4056

 

クローズアップ

シリーズ化と効果的PRで東京近郊の鑑賞者市場を開拓〜グリーンホール相模大野
 
●立地と設立の経緯
 
 新宿から急行で37分、小田急線相模大野駅から徒歩5分。買い物客で賑わうショッッピングアーケードと伊勢丹百貨店を通り抜けると、グリーンホール相模大野がある。
 
 グリーンホールは、在日米軍跡地の返還を契機に進められた駅前整備事業の一環として建設され、1990年にオープンした。東京近郊ホールの多くが、観客は東京へ、類似ホールの競合、ホールのイメージづくりの難しさ、という悩みを抱える中で、グリーンホールは、駅前の商業施設と一体に開発された立地の良さを生かし、ホールの存在を効果的にPRし、市内外の観客をつかんできた。稼働率91%以上、年間80本実施する自主事業では、チケット回収率平均75%。この数字からもグリーンホールの事業の活発さがうかがわれる。


●運営の特徴と自主事業
 
 グリーンホールを運営するのは、相模原市民文化財団。民間の発想を重視し、柔軟な運営を保証するためにオープンの前年に設立された。年3回開かれる評議員会では、事業の運営方針の承認のみ受け、個々の事業企画は事務局に任されている。プロデューサー等民間の専門家はおかず、年間80本という自主事業の企画、運営のすべては財団職員が行っている。「財団職員になるべくノウハウを蓄積し、主体性を重視するようにしています。事業を支えるのは職員の意欲ですから」(石川寛良事業課長)。
 
 自主事業の方針を決定するにあたっては、全国の公共ホールの事業を調査。多くのホールが類似の鑑賞事業の提供に終始しているのに対し、東京近郊の地の利を生かしたプログラムの可能性があるのではないかと、鑑賞事業に徹底して力を入れることになる。平成9年度年間82本の自主事業の内訳はクラシック33本、軽音楽12本、演劇・舞踊13本、日本伝統芸能等13本、市民文化育成事業11本。アクセスの便利さから90%以上の高い利用率がある貸し館事業と総合すると、各ジャンルが非常にバランス良く提供されている。「いろんなジャンルをやっていてポリシーがない、と言われるんです。その時は、ポリシーがないのがポリシーですと答えてるんですよ」と石川課長。


●シリーズ化によるイメージづくりとPR
 
 だが、グリーンホールの事業は総花的に見えない。それは、自主事業において、個別の事業をシリーズ化し、継続して実施することで、効果的にホールのイメージをつくり出し、観客をつかむことに成功しているからだ。クラシック関連のシリーズで目玉になっているのが、毎年恒例「クラシック・ベスト・コレクション」である。海外招聘の大規模なオーケストラ、バレエ、オペラの公演を毎年3本行うというもので、今年度は、ハンガリー国立歌劇場オペラ、バンベルク交響楽団、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーの3本を実施する予定だ。このシリーズのPR効果は大きく、「グリーンホールでは、東京に行かなくても一流の公演が観られる」というイメージを定着させた。
 
 一方、クラシックになじみがない層を対象としたのが、今年で6年目を迎える「MUSIC LAB」シリーズ。毎年テーマを決め、年4回、クラシックの多様な楽しみ方を探るコンサートを開いている。今年のテーマは「バロックの華・ロマン派の夢」。各回ワインサービス付きなどの趣向や、セット券では4回7000円(98年度)という手軽さもあって、非常に人気が高い。
 
 こうした事業を対外的にアピールするために配布されているのが広報紙「MOVE」である。毎月25万部を発行し、新聞折り込みで市内全戸配布するほか、年1回の特集号(60万部)は、小田急線沿線などの他都市にも新聞折り込みで配布している。高いチケット回収率も、こうした事業プログラムの工夫、徹底した広報により、確実に市内外の観客を惹きつけた結果といえる。  今年の4月から、これまで市の直営だった市民会館が財団の所管となり、市の北部には新しい小ホールが開館する計画も進んでいる。「2000年に10周年を迎えるにあたって、今年は事業を少し減らして文化会館の事業について考える時間が欲しいですね」と石川課長。グリーンホールに蓄積されたノウハウが市全体の文化振興にどう生かされるかが、新しい課題となりそうである。

◎クラシック関連のシリーズ
1)クラシック・ベスト・コレクション
毎年恒例。海外招聘ものを中心に、大規模なオーケストラ、バレエ、オペラ公演など年に3本を実施。これまで、ベルリン国立歌劇場、チェコフィルハーモニー管弦楽団、英国ロイヤルバレエ団、ローラン・プティ・バレエ団、パリオペラ座バレエ団などの公演を開催している。
 
2)MUSIC LAB 音楽の実験室
毎年テーマを決めて、小ホールで親しみやすい雰囲気のクラシックのコンサートを開催。92年度にスタート。年4回。97年度のテーマは「シューベルト、そしてウィーン」。
 
3)音の彫刻シリーズ
97年度スタート。注目のアーティストによるソロ・コンサートシリーズ。年5回。
 
4)さがみはらの音楽家たちコンサート
相模原在住の音楽家が組織する相模原音楽家連盟と提携したコンサート。年3回。
 
5)モーツァルト・ピアノコンチェルト・シリーズ
94年度からスタート。モーツァルトのピアノコンチェルト全曲を演奏するシリーズで、97年度第12回で終了。


◎グリーンホール相模大野概要

[開場]1990年1月
[施設概要]大ホール(1790席)、多目的ホール(415m2)、リハーサル室、練習室
[事業費と体制]事業総額約3億円。内35%が市からの補助金。ホール職員数20名(事務局長1、職員19。内財団固有職員10)。運営は相模原市民文化財団。
[所在]神奈川県相模原市相模大野4-4-1

制作基礎知識シリーズ 番外編

ホール職員のための参考資料

講師 坪池栄子(文化科学研究所プロデューサー)

 
  今回は、制作基礎知識シリーズ番外編として、編集部によく問い合わせのある「ホールに常備しておくべき参考資料」についてご紹介したいと思います。ホールの事業内容によって揃えるべき資料は異なりますが、自主事業を企画したり、広報宣伝資料を作成する際にあると便利な人名・作品辞典、用語辞典などのレファレンスを中心に選んでみました。


●まずは自分の目で確かめよう
 
  ホール職員になったら、まず、大型書店か、もしくは図書館に出かけ、芸術文化関係についてどのような出版物が出ているか、自分の目で確かめてみてください。本の表題をざっと見るだけで、かなりの情報収集になります。
 
  一般的に言うと、この領域についてはさほど出版活動が活発とは言えません。したがって、新刊が続々発行されて購入が追いつかないということはありません。ホール職員が利用する範囲で考えるなら、レファレンス類を揃えた後は、1)地元の情報誌と専門雑誌1、2誌の定期購読に、2)業界団体・関連団体の発行物を加え、3)専門雑誌などで紹介される新刊を適宜チェックするというのが基本的な考え方でしょう。心得として言うなら、定期購読する雑誌が決まったら、1年分のバックナンバーは揃えておきたいものです。ざっと目を通すと業界の最新動向がわかりますし、人名、団体名などのレファレンスとしても役立ちます。
 
  芸術文化領域を専門にした出版社は、クラシック関係の音楽之友社、洋楽系のミュージック・マガジン、ジャズのスイングジャーナル社、音楽実用誌のリットーミュージック、美術関係の美術出版社、映画のキネマ旬報社、演劇関係の晩成書房など限られています(このほか、老舗出版社から各種辞典や戯曲全集の類が発行されています。また、詳細ジャンルに対応した専門誌や情報誌が必ず1誌はありますので、特定ジャンルに力を入れる場合はそうした雑誌を探してください)。こうした専門出版社を洗い出し、既存の発行物リストを入手して、必要な資料があるかどうかチェックしてみましょう。


●プロフィールや連絡先を調べるための資料
 
  現在活動しているアーティストのプロフィールや連絡先については、基本的には専門雑誌を発行している出版社が年に1回発行する年鑑を使うのが情報が新しくて正確です。例えば、日本人のクラシック演奏家は音楽之友社の「音楽年鑑」、美術の現代作家は雑誌「美術手帖」の増刊号「BT年鑑」が一般的です(全国の美術館を紹介した別冊「美術館ガイド」もあります)。こうした年鑑には1年間の業界動向が整理されていることが多いので、目を通しておくといいでしょう。ちなみに年末には新聞の文化欄でジャンルごとの総括が行われるので、新聞データーベースなどで数年分を検索してみてください。
 
  劇団については日本演劇協会が監修している「演劇年鑑」の巻末に名簿が付いていますが、詳しいプロフィールはありません。演劇人については、パソコン通信などを活用して人名データベースで検索するほうがいいでしょう(日外アシストなど有料のものがあります)。国際交流基金とエース・ジャパンが共同で運営しているJapan Performing Arts Net(http://www.jpan.org/)などいくつかの業界団体がデータベースをつくっていますが、烏合集散の多い業界なので、新聞記事検索なども合わせて活用することをお薦めします。そのほか、マスコミ活動を行っているタレントや所属事務所については、宣伝会議刊「マスコミ電話帳」に連絡先が掲載されています。


●用語や作品の内容を調べるための資料
 
  クラシック音楽事典は、音楽之友社刊「音楽事典上・下」、三省堂刊「クラシック音楽作品名辞典」、白水社刊「図解音楽事典」などさまざまなタイプのものが出版されています。見比べて、使い勝手のいいものを選んでください。"百見は一聞に如かず"ではありませんが、音楽用語を実際に耳で聴いて確かめられるCD-ROM「音でわかる楽典」(音楽之友社)という優れものもあります。美術辞典は新潮社の「世界美術辞典」などたくさん出版されています。演劇用語は「演劇映画舞踊テレビオペラ百科」(平凡社)、ホール機構や舞台の裏方用語は「裏方用語事典」が手軽で便利です。
 
  作品の内容については、古典関係は百科事典的なものでカバーできますし、ガイドブックも多いですが、新作は日頃から情報誌などを細かくチェックしておくか、新聞記事検索で確認するのが手っ取り早いと思います。ちなみにCD目録としては「作曲家別クラシックCD&LD総目録」「コンパクトディスク総カタログ」、映画ガイドとしては「ぴあシネマクラブ邦・洋」などがあります。戯曲については、戦後から現在までをカバーした「現代日本戯曲全集」(三一書房)が現在刊行中です。新作は「せりふの時代」(小学館)、小・中・高校演劇の戯曲は晩成書房の戯曲集があります。


●業界団体の発行物も活用しよう
 
  業界団体が作成している発行物にもホール職員の実務に役立つ参考資料があります。地方公演を予定している団体の公演リストを集めた「公演事業資料」(公文協)、全国のホールの施設概要がわかる「全国ホール名鑑」(全国ホール協会)はよく知られています。手前味噌になりますが、公立文化施設の最新情報と動向がわかる地域創造レターと雑誌もお役に立つのではないでしょうか。
 
  また、クラシック関係の業界団体である日本音楽マネージメント協会やポップス関係のACPCが発行している加盟団体リストには、所属アーティストと団体の連絡先などが掲載されており、出演交渉をする時に活用されています。このほかにも、業界にはさまざまな団体や連絡会があり(日本芸能実演家団体協議会、日本オーケストラ連盟、全国オペラフォーラム、芝居小屋会議etc.)、リストや報告書を作成していますので、集めると役に立ちます。また、全国の音楽祭リストが掲載されているヤマハ音楽振興会発行の手帳や、文化団体・施設のイエローページが付いている「ぴあ手帳」なども情報源として使えるでしょう。


●入門書的なハンドブックが欲しい
 
  ホール・マネージメントの入門書としては、「芸術経営学講座」(東海大学出版会)を1セット揃えておくといいと思います。実務に直接役立つというものではありませんが、基本的な考え方は押さえられるのではないでしょうか。ホールの裏方実務をマスターするという意味では、仕込みから音響、照明までを詳しく解説した「STAFF」(晩成書房)がお薦めです。高校演劇の現場の指導者が生徒のために書いた入門書で、ビデオ版もでています。
 
  古典を鑑賞する手引き書にはいろいろなものがあります。例えば、オペラだと本格的なものとしては「オペラ名曲百科上・下」(音楽之友社)、入門書では「オペラワンダーランド」(ぴあ)、歌舞伎、能、狂言、文楽については、三省堂からでているハンドブックが便利です。歴史解説、業界構造、鑑賞の仕方、作品ガイドまでが大変コンパクトに整理されています。音楽の鑑賞の手引きもジャンル別にいろいろと出版されています。シリーズとしては立風書房の「200CDシリーズ」が古楽、ジャズ、クラシック、ロック、オーケストラなどを多彩な切り口で紹介しています。


●芸術文化領域の教養に触れたい
 
  ちなみに、芸術文化領域の教養に触れてみたいということでしたら、大手出版社が発行している新書(岩波新書、中公新書、ちくま新書など)や選書の中に参考になるものがあります。図書館の新書コーナーに行って(書店よりも既刊本が揃っています)、表題をながめてみてください。テーマを絞って歴史的な流れを解説したものや現代的な課題を扱ったものが多く、専門書に比べてはるかに読みやすくなっています。ガイドブック的なものも多いので、目録を入手してチェックしましょう。また、巻末の参考文献をうまく活用すると、芋づる式に面白い資料が見つかります。自分が興味のもてるテーマを決めて(できるだけテーマを狭くするのがコツです)、何冊か読んでみてください。
 

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