●コンサートホールの分類図

◎シューボックス形式
 
18世紀頃につくられた初期のコンサートホールから、今日に至るまでの数多くの実施例をもつタイプ。この分類に含まれるホールの多くが、長方形の平面をもち、また天井も基本的に平らに近い形をしていることから「靴箱」型のホール、つまりシューボックスと呼ばれている。この形式のホールでは、長方形の短辺の一方に舞台が設けられ、その舞台に対してほぼ平行に客席を並べることが基本型となっている。必要に応じてバルコニー席が設けられることもある。最も古いものとしては、交響曲の父と呼ばれるヨゼフ・ハイドンのパトロンであるエステルハージ家が所有するオーストリア・アイゼンシュタットにある城の大ホール(1700年・400席)がある。




◎アリーナ形式
 
舞台を取り巻くように客席を配置した形のコンサートホールのこと。この形式のコンサートホールの平面は、長方形というよりは、むしろ多角形になることが多い。また、舞台の四周に客席を配置するため、シューボックス形式のコンサートホールに比較して大きな収容力をもつ客席を計画することができる。この形式は、比較的規模が大きく、なおかつ複雑な建築計画が求められることから、施工技術が高められた近年になって登場したもの。アリーナ形式を称してワインヤード形式と呼ぶこともある。ぶどう畑が段々に連なる様をイメージした呼称として魅力的ではあるが、アリーナ形式を総称して呼ぶにはやや無理があり、アリーナ型コンサートホールの1分類と捉えるほうが適切。我が国の代表的な例としては、ザ・シンフォニーホール(1982年・1704席)、サントリーホール(1986年・2006席)など。




◎扇型形式
 
扇を開いたような状態の平面をもつことから付いた名称。扇の要に当たる部分に舞台が設けられ、ちょうど要のところを中心に、円弧を描くように客席が配置されている。メガホン型と呼ばれることもある。この形式のコンサートホールは、先に示したシューボックス形式のように長方形に近い平面をもつわけではなく、またアリーナ形式のように舞台を取り囲むように客席が配置されているわけでもない。いわば、両方の中間的な建築条件を備えたコンサートホールと言える。我が国の代表的な例としては、熊本県立劇場・コンサートホール(1983年・1813席)、東京芸術劇場・コンサートホール(1990年・2017席)など。




(注)建築音響の研究者の中には、ホールの平面形状の違いから「長方形タイプ」「扇型タイプ」「馬蹄形タイプ」「多角形タイプ」の4種類に分類する例もある。


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