地域創造

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表方は「舞台に集中できる空間づくり」を
行う接客業

12月号-No.068

●「制作基礎知識シリーズ 表方の仕事」

制作基礎知識シリーズ Vol.13
表方の仕事編(1)


表方の通常業務とスケジュール
講師 星野茂登子 (シアターマネージメントプラン代表)

  通常、バックステージにおいて技術を担当する「裏方」に対し、ホワイエ・客席エリアにおいて来場者管理を行う人のことを「表方」と言います。このような表方業務を担当する人は、近年「フロントスタッフ」あるいは「レセプショニスト」と呼ばれるようになりました。 表方の業務内容は、公演時において来場されるお客様に対し、チケットのもぎりをしたり、客席案内をしたりといったことにとどまらず、開演後の客席扉の外側にもさまざまな仕事があります。しかし、こうした業務や役割については知っているようで知らないことが多く、その真の必要性について理解している方はあまり多くないのが現状です。今シリーズでは、知っているようで知られていない表方(以下フロントスタッフと呼ぶ)の仕事を取り上げ、解説していきたいと思います。

●フロントスタッフの業務内容
 フロントスタッフの業務内容は公演に際して必ず行う「通常業務」と緊急時の避難誘導やVIP・障害者対応など、状況に応じて行う「特別 業務」の2通りがあります。後者については次号に譲り、今号では通常業務の内容について整理したいと思います。 通常業務の主な内容をまとめたのが15ページの@からHです。フロアチェック、チケットもぎり、客席案内、クローク、客席扉の開閉、途中入場者の管理、禁止行為者の発見・注意、安全管理、事故防止などが主な仕事です。表のスケジュール例のように、時間帯によって業務内容が変わるため、こうした点に留意して人員配置を決めていく必要があります。また、フロントスタッフ全体を統括するマネージメント業務も必要になります。こうした体制づくりについては次号でご紹介したいと思います。

●フロントスタッフの役割
 フロントスタッフの役割には大きく分けて3つあります。1つが前述のような業務によって公演時の来場者の管理を行うこと。2つ目が舞台を鑑賞しているお客様と舞台上の演者のために、「舞台に集中できる空間」をつくりあげること。3つ目が来場したお客様が、開場時から終演時まで心地よく過ごせるような接客を行うことです。
  1つ目については比較的よく知られていますが、それ以外についてはあまり理解されていません。公演に際しては何百人という観客と、舞台上の演者が同じ空間を共有するため、当然のようにさまざまなことが起ります。時には1人の観客の行動が、悪気はなくても「舞台に集中できない空間」をつくってしまうこともあります。 例えば、開演後に遅れて来られたお客様が勝手に客席へ入り、暗い客席内で自分の座席を探して歩き回ったとしたら、客席内はどうなるでしょうか。こうしたことが状況によっては舞台の進行まで妨げることになります。 フロントスタッフは、このような事態が起こらぬよう、途中入場者に対する客席への入場管理などを行いますが、こうした業務は機械的に行うのではなく、あくまで「舞台に集中できる空間づくり」という目的に沿ったものであることが必要です。
 また、こうした業務は基本的にお客様を対象にした接客業になります。お客様は、舞台上の演目を楽しみに来られますが、ホールで最初に出会い、直接関わりをもつのは、フロントスタッフです。この時、開演前のワクワクとした気持ちに水を差すような対応があったら、せっかくの気分が台無しです。また、上演中、舞台に集中できないような環境では、感動も半減しますし、感じの悪い態度で見送られたら、舞台の余韻は消されてしまいます。 つまり、フロントスタッフの対応如何で、その公演全体の印象を変えてしまうこともあるのです。だからこそ、お客様との接点として舞台に集中できる環境づくりを担うフロントスタッフの質は、ホールのプレステージ(威信・名声)に関わる重要な要素になります。 日常を離れた「ハレ」の場でもある劇場・ホール空間をどのようにつくりあげるのか、といった運営の基本について、フロントスタッフの役割を通 じて考えてみることも必要なのではないでしょうか。

●フロントスタッフの通常業務

 フロアチェック (開場前から終演後まで) 客席・ホワイエ・トイレ内を、不審物がないか、清潔であるか、ごみ箱があふれていないかなど、厳重にチェックします。このフロアチェックは、開場前のみならず、開演後・休憩終了後・終演後の計4回必ず行います。このチェックは、お客様の安全を確保し、劇場・ホールで快適にお過ごし戴けるように行う重要な業務なのです。
 チケットもぎり エントランスにおいて、ただチケットを切っているだけではありません。通 常30分間の開場時間内においては、1人のお客様に対して約3秒で対応しなくてはならないのです。この3秒間のうちに、チケットに書かれた全ての情報(1. 会場名 2. ホール名 3. 公演名 4. 公演日 5. 開演時間等)を確認し、チケットをもぎります。万が一、正しくないチケットをもぎってしまえば、そのチケットは、その場で無効となってしまいますので、細心の注意が必要です(どのチケットの裏面 にも「入場前に半券を切り離すと無効となります」と印字されています)。
 客席案内 (開場時から開演まで) 指定席の場合には、お客様が迷われることのないよう、ご自席へ案内します。特に、1ベルから開演までの5分間は、お客様に速やかに着席していただかなくてはなりません。時間ぎりぎりに来場されたお客様は焦って座席が見つからないものです。こちらから積極的にお声がけをして、座席へ誘導する必要があります。本ベルと同時に客席内が暗くなる演出の場合は、要注意です。
 クローク 開場時において、お客様のお荷物やコートは、ある規則性を持って確実にお預りしなくてはいけません。終演時には、一気にお客様がクロークへ集中します。この時いかに速やかに、また確実にお荷物・コートをお返しできるかが重要となるのです。そのためには、お預りの際にどれだけ効率良くお預りできるシステムとなっているかが大切となります。
客席扉の開閉管理 (開場時から終演まで) 公演が始まったら閉め、終わったら開けるだけではありません。開演後に客席扉が開いているということはあってはいけないことなのです。開演直前の一番忙しい時間帯に、いかに効率よく、確実に全ての扉を閉めるのかが大切なのです。また、終演時のアンコールやカーテンコール後の開扉は、舞台の感動や余韻を壊すことのないよう、細心の注意を払って、客電の点灯と同時に、タイミング良く開けなくてはなりません。
  途中入場者の入場管理 (開演後) 開演後の客席内への入場のタイミングは、あらかじめステージマネージャーや演出家によって決められています。舞台進行を妨げたり、感動を台無しにすることのないよう、途中入場者の対応は、確実に行わなくてはなりません。
禁止行為者 (写真撮影・客席内での飲食等)の発見・注意 上演中の写真撮影は舞台進行の妨げになるだけではなく、プロの公演の場合には、肖像権の問題も発生します。写 真撮影は現行犯での発見・注意が原則ですので、状況によっては上演中であっても、客席内の該当者の座席へ止めに行かなくてはなりません。
来場者の安全管理 H不審者の進入やイタズラなどの事故防止

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