地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

12月号-No.080
2001.12.10(毎月10日更新)

●特集「クリスマス&新春企画特集」

●クリスマス企画カレンダー
●年越し・新春企画カレンダー

●制作基礎知識シリーズVol.14


●クリスマス&新春企画特集

 今号は、クリスマス、年越し、新春企画などの年末年始のシーズン企画を特集して紹介します。

 千年紀を祝う華やかなイベントが続いた2000年、2001年に対し、今年は、地域の財政難も影響してか、年末年始の恒例行事を縮小したところが多く、時世を感じます。日韓共催のワールドカップを来年5月に控え、日韓文化交流事業などの取り組みが期待されましたが、教科書問題の煽りなどもあり、目立ったものは見あたりませんでした。
そんな中で年末年始企画に意欲的に取り組んでいるのが、茨城県の日立シビックセンター(財団法人日立市科学文化情報財団)です。日立市の駅前に1990年にオープンした同センターは、音楽ホール、科学館、会議室、図書館などを複合した大規模な施設で、オープン以来、「ひたちの春音楽祭」「伝統芸能紹介事業」「ひたち市民オペラ事業」など、市民との協同による文化のまちづくりを実践してきました。ミレニアムに行ったセンター前広場での「スターライトイルミネーション」の成功を受けて、今年は、点灯期間中の12月8日から25日まで、若手職員が市民の文化団体と協力して多彩な催しを企画。ミュージカル仕立ての点灯式に始まり、公募団体によるアトリウムコンサート、プラネタリウムでの天球ライブ、野外コンサートなど、施設全体でさまざまな催しが行われます。

第九コンサート in 倉敷
(倉敷市民会館)
このほかにも、ディズニー・ナンバーをオーケストラが演奏する「クリスマス・ファンタスティック・パレード」(人気のため完売)、カウントダウン・フェスティバル2002(オケをバックに自由参加で唄う第九、市民リクエスト曲のコンサート、花火など)、年明けの「第7回ニューイヤーオペラコンサート」(9年目になる目玉事業「ひたち市民オペラ事業」の総決算としてこれまでの演目から名曲を抜粋)と企画ものが目白押し。「ひたち市民オペラを育てる会」のメンバーが、この5年で約10倍の350名になるなど、文化による市民参加の土壌が育っている日立市ならではの年末年始風景となっています。
民間ホールではありますが、クラシック音楽ホールとして初のNPO運営を打ち出した第一生命ホール(767席)が、11月15日に東京・晴海の高層ビル街「トリトンスクエア」内にオープンしました。運営を担う「トリトン・アーツ・ネットワーク(TAN)」(東京都認可特定非営利活動法人)にクリスマス企画について取材したところ、「もちろんやります」とのこと。

茨城県日立市・日立シビックセンター
 ヒタチスターライト
イルミネーション2000
「芸術活動とコミュニティ活動を両輪にして運営する方針です。第一生命からは寄付金という形でご支援いただき、ホールを割引でお借りしています。年間30本程度の自主事業(共催含む)を予定しており、クリスマスには、“学生以上プロ未満”の若い演奏家のためのセミナーを企画の定番にする予定です」とオープニングプロデューサーの箕口一美氏。今年は、ヴァイオリンの松原勝也氏らの指導により「人に聴いてもらうための音楽づくり」を学ぶ集中セミナーを開き、受講生14名による「アドヴェント弦楽合奏団」が指導者とともにクリスマス・イブにお披露目コンサートを行います。
ミレニアムの喧噪を忘れ、今年は、地域の定番となったホールの催しで、落ち着いた新年を迎えるというのもいいのではないでしょうか。

●民話の著作権から市民企画における主催ホールの責任まで

制作基礎知識シリーズVol.14 著作権・契約編(最終回)

著作権・契約にまつわるQ&A

Q1 地域に残っている民話を原作にしてミュージカルを制作する場合、著作権はどうなりますか(ミュージカルのために新たに民話を発掘した場合/出版されている民話集を原作にする場合/海外の有名な民話や童話を原作にする場合)。

A まず、「新たに民話を発掘する場合」というのは、その民話が民話集などに載っているものではない、という意味でしょう。民話というものは、大抵は古いもので、作者などいないか、いるとしても誰だか判らない、という場合が多いように思います。たとえ、村の「古老」のような方からその民話を聞いたのだとしても、「古老A」は昔、別の「古老B」から聞いただけだったりすれば、その「古老A」が作者ということも言いにくいでしょう。その場合には、発掘された新たな民話には著作権はないか、あるとしても問題にはなりにくいと思います。
 そういうケースであれば、民話に基づいてミュージカルを制作することは、権利の問題にはならないでしょう。ただし、民話といいつつ、実は大部分がその「古老」さんの創作だったというならば、これは普通の小説等と同じ扱いになります。つまり、原作者である「古老」の許可が要るわけですね。
 次に、出版されている民話集を原作にする場合についてですが、ご質問の文脈からすれば、これは日本で最近出版された民話集なのでしょう。理論的な話をすれば、出版されていようが、「古老」から口承で聞いた場合と扱いは一緒です。
 しかし、現実的には、民話集として出版されている方がやや注意が必要でしょう。それは、民話集として出版されている場合、話によっては「編者」がかなりストーリーや台詞を原話と変えている可能性があるからです。特に「文:だれだれ」などと書かれている場合、この可能性が高まるでしょう。この種の書き直しは大抵、「しなけりゃいいのに」というものが多いのですが、それはさておき、この場合オリジナルの民話は「原著作物」で、民話集バージョンの方は「二次的著作物」ということになるかもしれません。すると、民話集バージョンで新たに加えられた要素で、「創作的な表現」と言える部分については、その作家に著作権があることになります(注1・2)。
注1 二次的著作物については、制作基礎知識シリーズ「著作権・契約編」第1回参照。
注2 例を挙げるならば、与謝野晶子は1942年没ですから、「みだれ髪」の著作権はもはや消滅しています。しかし、その「チョコレート語訳」には、(新たな創作性の認められる部分については)「二次的著作物」として、著作権の保護があります。ですから、「チョコレート語訳みだれ髪 ザ・ミュージカル」というミュージカルを作れば、おそらくは著作権侵害となります。念のため申し上げておけば、原作と「チョコレート語訳」、どちらがより高い独創性をもっているか、という問題はここでは関係ありません。

 最後に、海外の有名な民話についても話は一緒です。今は日本を含む世界のほとんどの国は著作権保護の国際条約(ベルヌ条約など)に加入していますから、海外の作品でも日本で著作権は守られます。ですから、著作権の保護が及ぶ作品を無断でミュージカル化することはできません。しかし、古い作品なら日本の民話の例と同じで、原則として利用は可能でしょう(注3)。
注3 例えば、ディズニーを見てください。古い作品を誰はばかることなく映画化し、誰はばかることなくストーリーを書き替えています。しかし、その書き替えたストーリーに基づいて日本でミュージカルを制作すれば、ディズニーの「二次的著作権」を侵害したことになるのです。なんだか割り切れませんが、法律的にはそうなります。
Q2  情報センターが所有しているレコード・ビデオ・本を使って、レコード・コンサート、ビデオ上映会、リーディングを行っています(無料・有料)。何か問題はありますでしょうか。

A まず著作権的なことがらから言えば、演奏権、上映権、口述権を侵害しているかもしれない、という問題があります。これらはいずれも、著作物について「公衆」、つまり不特定または多数の人々を対象に、直接に見せたり聞かせたりする目的で演奏、上映、口述を行う場合に関わる権利です(注4)。演奏については、レコードをかけることも演奏のうちです。ただし、こうした演奏、上映、口述については、非営利の場合の例外というものがあります。第2回でも申し上げましたが、@非営利目的の上演、演奏、上映、口述は、A観客から入場料等を受け取らず、B実演家や口述者に報酬が支払われないならば、著作権者の許可がなくてもすることができことになっているのです(注5)。
注4 不特定「または」多数ですので、たとえ数が非常に限られていても広く住民の方から参加者を募れば、それだけで「公衆」です。逆に、何らかの会のメンバーに参加者を固定すれば、それは「不特定」ではないかもしれませんが、「多数」ではありますので、やはり「公衆」です。
注5 著作権法第38条1項。

 ご質問の団体が非営利目的で活動していると想定してお答えすれば、口述の際の演者に報酬等を支払わない、入場無料のコンサートなどであれば、著作権的には問題のない場合といえましょう(注6)。他方、有料の場合、大変古い作品でもなければ、むしろ著作権侵害であるといってよいでしょう。
注6 ただし、他団体からレコードなどを借りて来る場合、貸し出しの条件として「コンサートなどに利用しない」ことが義務づけられているならば、話が変わってきます。これは著作権の問題ではなく、貸し出し元との約束(つまり契約)に違反することになるからです。

Q3 ホールの主催(契約主体はホール)で市民企画プロデュース事業を実施しています。こうした市民企画事業でトラブルが発生した場合、主催団体としてのホールの責任について把握しておきたいのですが。また、実行委員会や市民の任意団体を契約主体にした場合、どういった問題が生じますか。

A これは、すべてのケースを想定すると大変長くなってしまいますので、仮に市民企画の公演事業と仮定して、ポイントを絞ってお答えしましょう。
「トラブル」と一概に言っても、色々な種類のトラブルがあります。まず、契約にまつわるトラブルを考えてみます。例えば、俳優の事務所やオーケストラとの間で、公演への出演契約を結んだところ、企画と運営を担当する市民団体に落ち度があって、追加の費用を請求された。あるいは、市民団体の都合で公演中止となってしまった、といった事態です。
 この場合、ご質問ではこの公演に関する各種の契約はホールが結んでいるようですので、ホールの責任は大変にシンプルです。つまり、ホールは契約当事者として契約を結んだ以上、その義務を履行しなければなりません。ご質問では、落ち度は市民団体にあるわけですが、事務所やオーケストラとの関係では抗弁になるとは限らないとお考えください。なぜなら、市民団体は出演契約の当事者ではないからです。よって、ホールは(主催者だからというよりは、契約当事者として)出演料の支払などの責任を負うことになります(注7)。
注7 逆に、出演者側に契約違反があった時に、その責任を追及できるのもホールです。現実に困るのは市民団体なのかもしれませんが、法律上は、必ずしも市民団体が出演者側に直接クレームをつけたり損害賠償を請求できるとは限りません。

 次に、こうした契約書がない場合のトラブル、例えば会場での事故で観客の一人に怪我をさせてしまった、という場合を考えてみましょう。ホールは主催者として、チケットの販売も、当日の会場整理も実際に担当していたと仮定すれば、これまた比較的シンプルに考えられます。まず、チケットの販売というのは主催者と観客との一種の契約関係ですが、そこには会場内での安全の確保についての主催者の義務というものも付随しているように思えます(注8)。ですから、主催者であるホールにこうした安全管理上の落ち度があれば、まず観客との契約に違反した、ということができるかもしれません。
注8 安全配慮義務、などと言います。

 仮にこうしたチケット販売のことを考慮しないとしても、ホールが会場整理を実際に担当していたのであれば、ホールには会場の安全確保についてやはり責任があるでしょう。ですから十分な安全態勢をとらなかった点に落ち度があれば、やはり観客に対して責任を負うことになりそうです。具体的には、観客の怪我について、損害を賠償する責任を負うことになるでしょう。
 では、ホールは当日の会場整理は一切担当せず、運営関係は市民団体が一手に引き受けていたとしたらどうでしょうか。この場合でも、ホールの主催名義で公演が行われ、チケット販売も出演者との契約もホールが担当するならば、ホールは実態としても主催者か、少なくとも共催者と言えるように思えます(注9)。そうであれば、現実の安全管理の落ち度は市民団体にあるとしても、幾つかの理由でホールが全く責任を逃れるのは難しいのではないでしょうか(注10・11)。
注9 ここでは、収支の全部か大部分が、少なくとも第一次的にはホールに帰属していることがポイントになります。
注10 第一に、ホールが主催者で、市民団体はホールから運営を任されていた(「委託」と言います)、と考えるならば、委託を受けた市民団体の落ち度については、ホールは何らかの責任(例えば管理責任)を追求される可能性があります。第二に、これとは少し異なって、ホールと市民団体との共催が実態だったというならば、ホールは、市民団体と共同事業を行ったとみなされて、市民団体の落ち度に対して連帯して責任を負うことになるかもしれません。第三に、このような共催の場合には、市民団体に安全管理を任せっきりにした、というホールのいわば「不作為」自体が落ち度であった、と判断されるかもしれません。つまり、安全管理に全然タッチしていなかったことがそもそも問題だ、というわけです。
注11 もちろん、だからと言って、現実に安全管理に落ち度があった市民団体が責任を負わないという意味ではありません。両者は、多かれ少なかれ、連帯責任のような関係になる場合が多いだろう、ということです。

 最後に、任意団体が契約主体となれるか、という問題があります。この場合の「任意団体」とは、会社やNPOなどの法人ではない団体を指すことにします。その意味では、実行委員会も任意団体の一種といえるでしょうが、そもそもこうした任意団体が契約の当事者となれるかどうかは、実は大変に難しい問題です。法人でないからといって、団体名義では契約を結べないとは限りません。例えば、日本劇作家協会などは任意団体ですが、間違いなく協会として契約当事者になれます。他方、団体の組織や運営によっては、いくら団体名で契約を結んでいても、団体ではなく個々のメンバーが契約当事者とみなされる場合もあります。この場合、個々のメンバーが契約について個人責任を負うこともあり得ます。

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