地域創造

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今月のレポート

福岡市
3 月号-No.083


「雅楽だよ! 全員集合!!」


  「雅楽は難しいと思っているかもしれませんが、皆さんがよくご存じの『黒田節』も雅楽のリズムが元になっています。それでは、一緒に歌詞カードを見ながら『越天楽(えてんらく)』の唱歌を唄ってみましょう。太鼓のリズムに合わせて、ひざをたたいてみてください。では、ハイ。チ〜ラ〜ロ〜ルロ タ〜ア〜ルラ〜ア〜チ〜ラハ」

 雅楽と言えば、結婚式や神社のお祭りを思い浮かべ、高貴で神聖な音楽との印象をもっていたが、福岡市の大濠公園能楽堂で開催された小中学生のための雅楽コンサート「雅楽だよ! 全員集合!!」を取材して、会場を埋め尽くした約600名の親子が楽しそうにひざをたたいている姿を見ているうちに、誰もが楽しめる音楽なんだと実感した。
 この催しは、1月27日に福岡市文化芸術振興財団の主催で行われたものだ。子どもたちに伝統芸能に触れる機会を提供する催しとして、昨年の「見てみよう! やってみよう! 今津人形芝居」に続いて企画された。雅楽集団の伶楽舎(れいがくしゃ)のメンバーの指導により『越天楽』唱歌の合唱や楽器の解説を楽しむという約2時間のプログラムで、当初150名の定員で募集したのに対し、このところの狂言や津軽三味線の伝統芸能アイドルブームも手伝って希望者が殺到。
「少人数で楽器にも触れてもらうようなワークショップを考えていたのですが、約750名もの応募があり、企画内容を変更せざるを得ませんでした。前回は、大人たちが中心となり、地域の子どもたちと積極的にかかわりながら、今津人形芝居の伝統を伝えている恵比寿座の「子ども組」に出演していただきました。ワークショップに参加した子どもたちが、実際に文楽人形や三味線に触れ、最後は「子ども組」による人情劇『傾城阿波の鳴門』を鑑賞するプログラムでした。この催しは、「福岡にこんなに素晴らしい人形芝居があったんだ」と同伴されていた保護者に特に好評でしたが、今回は、子どもたちの率直な意見も聞きたいと思い、同じ目線で事業を進め、広報などにも工夫を凝らしました」という福岡市文化芸術振興財団の石井千恵さん。カラフルなチラシ、楽しそうなイラスト、鑑賞決定通知も子どもたち宛に出すなど徹底し、パンフレットには伶楽舎のメンバーの子ども時代の写真も掲載した。PRには地元の学校の先生や子ども劇団、ピアノ教室の先生の協力も仰いだ。
 舞台上では楽器に触れることができなくなった子どもたちのために、休憩時間に少しでも体験してもらおうと、地元の浄土宗の僧侶らで結成されている雅楽集団、鎮西楽所に協力を依頼した。メンバーは日頃から小中学校で雅楽のコンサートを行っていることもあり、子どもたちのためならと、能楽堂のロビーに楽太鼓や鞨鼓を並べた、楽器体験コーナーを設置して指導に当たった。
 また、コンサートを締めくくりには質問コーナーを設け、子どもたちからは「琵琶の先端はどうして曲がっているの?」「雅楽を始めたきっかけは?」「楽器の値段は?」などの質問が続出していた。伶楽舎芸術監督の芝祐靖さんは、「日本の学校では、今まで伝統音楽を教えてこなかった。子どもたちの選択肢に自国の伝統音楽はなかったのです。来年度からは、邦楽の授業が始まりますが、私たちも協力して子どもたちのニーズに応えられればと思います」と言う。伝統音楽に飢えているのは子どもたちだけではない、というほど保護者たちが盛り上がっていたことを付け加えておこう。

(大坪真樹)
「雅楽だよ!全員集合!!」
[日時]1月27日
[場所]大濠公園能楽堂
[出演]芝祐靖、伶楽舎
[対象]小中学生
[主催]青少年のためのワークショップ実行委員会、財団法人福岡市芸術振興文化財団、福岡市

地域創造レター 今月のレポート
      2002.3月号--No.83

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