地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

5月号-No.109
2004.05.10(毎月10日更新)

●今月のニュース

●平成16年度財団事業紹介
●制作基礎知識シリーズ


平成16年度財団事業紹介

●10周年を機に事業を拡充・強化

 財団法人地域創造は、芸術文化の振興による創造性豊かな地域づくりの実現を目指して1994年9月に設立され、今年で10周年を迎えます。
 折りにふれご紹介してきたとおり、この10年間の地域における環境変化や新たな要望を踏まえ、本年度から新たに事業の拡充・強化を図ることといたしました。これまで以上に地方公共団体等の皆様と緊密な連携を図りながら事業を実施したいと考えております。ご支援、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

●時代の流れに対応した支援事業を創設
 市町村合併など公立文化施設を取り巻く環境が大きく変化するなか、地域の中で新たに公立文化施設の果たす役割をとらえ直し、中・長期的な活性化計画を策定・実施できるよう、計画の策定から目的達成のための事業実施を段階的・継続的に4カ年にわたって支援する「公立文化施設活性化支援事業」を創設しました。
 また、地域における国際的な観点からの芸術文化交流がさらに推進されるよう、都道府県及び政令指定都市等が実施する大規模な国際音楽祭や海外公演等を対象にした「芸術文化国際化推進事業」と、市町村等と海外の各地域との芸術文化交流事業を対象にした「地域芸術文化海外交流支援事業」をスタートしました。

●音楽・美術・ダンス事業への支援を充実
 音楽や美術の分野に関する事業への支援が大きく拡充されたのも、特徴のひとつとなっています。
 音楽分野では、新進のクラシック演奏家を地域の市町村に派遣する「公共ホール音楽活性化事業」が大変好評をいただき、本年度も例年を上回る全国29ホールの参加が決定していますが、その“都道府県版”ともいうべき「公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業」がスタートします。これは、都道府県や政令指定都市との共催により、地域の公共ホールと連携しながら、クラシック演奏会やアウトリーチ手法に関する研修会、住民と演奏家との交流事業、フォーラム等を開催するものです。その第1回が4月27日からの全体研修会を皮切りに熊本県下で開催されます(事業の模様はレター紙上において報告予定)。
 美術分野におきましては、美術館同士の連携がより一層図られるよう、都道府県および政令指定都市の美術館が共同で企画立案して制作・実施する共同巡回展を支援する「都道府県立美術館等共同巡回展支援事業」、市町村立美術館等活性化事業の発展型である「市町村立美術館等共同巡回展支援事業」、そして都道府県と当該都道府県内の市町村の美術館が共同して企画立案して制作・実施する共同巡回展を支援する「地域の公立美術館等ネットワーク事業」を新たに実施します。
 また、財団の自主事業として初めて現代ダンスジャンルを取り上げる「公共ホール現代ダンス活性化事業」に着手することといたしました。これは、地域において現代ダンスをより身近なものとするため、振付家およびダンサーを公立ホールに派遣し、地方公共団体等と共催で公演し、地域との交流を図るプログラムを実施するものです。本年度は、2005年度からの派遣に向けて登録アーティストを選定するためのオーディションを開催します。

●既存事業も内容を拡充
 支援事業の柱である「地域の芸術文化環境づくり支援事業」において昨年を大幅に上回る197事業が採択されているのをはじめ、10周年を機に既存事業も大幅に拡充しました。財団設立以来、力を注いできた研修事業については、ステージラボ・マスターコースで企画された事業の実施を支援する「研修企画支援事業」を創設。また、アートアプローチセミナーでは、新たに文化振興担当幹部職員を対象にした研修を実施する予定です。
 地域の公立ホール等を活動拠点にしている劇団を紹介している「リージョナルシアター・シリーズ」では、新たに地域劇団と公立ホールが連携したプロデュース公演を紹介します。また、地域創造と複数の公共ホールの連携作業により、演劇の企画・制作・公演を行う「公共ホール演劇制作ネットワーク事業」において、本年度2作品をプロデュースするなど、引き続き積極的な事業展開を図ってまいります。
 情報交流事業では、公共ホール等における人材全般にわたる各種情報をホームページに掲載する「公共ホール人材ネットバンク事業(仮称)」をスタートする予定です。
 このほか、公立文化施設の効率的な運営を支援する「調査研究専門職員派遣事業」への取り組みや、創立10周年を記念した「JAFRAアワード事業(仮称)」(地域の芸術文化環境づくりに特に功績のあった公立文化施設を顕彰)の創設など、新たな飛躍を目指す地域創造の事業にご期待ください。

●平成16年度事業スケジュール(予定)

研修会/公演・展示事業 芸術提供・共催事業 要綱発行・募集
4月 ●公共ホール音楽活性化事業全体研修会(東京・北とぴあ/20日〜22日)
●公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業全体研修会(熊本/27日、28日)

◎ステージラボ新潟セッション参加者募集
◎芸術提供事業 共催希望団体公募
5月 ●ブロックラボ(全国6カ所/〜7月) ◎小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトV(栃木/9日)
◎小澤征爾音楽塾とちぎ特別演奏会
◎ステージラボ・マスターコース参加者募集
◎ステージクラフト参加者募集
6月 ●ステージラボ新潟セッション(新潟・りゅーとぴあ/22日〜25日)
●公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業(熊本/26日〜7月11日)
●市町村立美術館等共同巡回展支援事業「北斎漫画と北斎の富士展」(全国4カ所/5日〜12月5日)
◎鎌倉芸術館オーケストラ・シリーズ2004─1東京都交響楽団(鎌倉市/27日)
7月 ●舞台芸術・芸能見本市2004大阪(大阪国際会議場/29日〜31日)
●公共ホール音楽活性化事業コンサート&アクティビティの実施(全国29カ所/〜2月)
◎能楽座公演(札幌市/17日、長野市/24日) ◎都道府県立美術館等共同巡回展支援事業 18年度実施団体募集
◎地域の公立美術館等ネットワーク事業 17年度要綱発行
◎都道府県立美術館等共同巡回展支援事業 17年度要綱発行
8月 ●アートアプローチセミナー:市町村長等向け(滋賀・大津市北部地域文化センター/6日)
●公共ホール演劇製作ネットワーク事業『ハロー、グッバイ』(全国8カ所/26日〜9月25日)
●ステージクラフト(彩の国さいたま芸術劇場)
●芸術見本市2004東京(東京芸術劇場/29日〜31日)

◎地域の芸術文化環境づくり支援事業、芸術文化国際化推進事業、地域芸術文化海外交流支援事業、公立文化施設活性化支援事業要綱発行
◎アートアプローチセミナー(幹部職員向け)参加者募集
9月 ●市町村立美術館等活性化事業「エコール・ド・パリの夢と哀愁(仮称)展」(全国4カ所/3日〜12月19日)
●地域創造設立10周年記念式典、JAFRAアワード授与(都内/15日)
◎能楽座公演(三春町/26日) ◎公共ホール音楽活性化事業、公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業17年度参加ホール募集
10月 ●地域の公立美術館等ネットワーク事業「ひょうご美術館連携事業」(兵庫県内2カ所/2日〜12月5日)
●アートアプローチセミナー:幹部向け(都内/中旬)
●公共ホール演劇製作ネットワーク事業『天の煙(仮題)』(全国8カ所/28日〜12月4日)

◎ステージラボ・アートミュージアムラボ京都セッション参加者募集
11月
◎能楽座公演(直方市/22日) ◎公共ホール演劇製作ネットワーク事業18年度企画(案)募集
◎市町村立美術館等活性化事業18年度参加団体募集及び20年度以降企画募集
12月


1月 ●地方都市オーケストラフェスティバル(東京・すみだトリフォニーホール) ◎能楽座公演(鹿児島/15日)
2月 ●ステージラボ・アートミュージアム京都セッション(京都芸術センター/1日〜4日)
●地域伝統芸能まつり(東京・NHKホール/26日、27日)
●リージョナルシアター・シリーズ(東京芸術劇場/〜3月)
◎能楽座公演(宇部市/5日)
3月 ●公共ホール演劇製作ネットワーク事業 18年度事業説明会 ◎子どものための音楽会(東京/19日)
◎能楽座公演(岡谷市/21日)
◎「国立劇場」歌舞伎公演(瀬戸市/26日)
◎能楽座公演(福岡市/31日)


制作基礎知識シリーズVol.20 アートNPOの基礎知識(2)

●アートNPOの活動内容とタイプ分類

 講師 吉本光宏
 芸術文化振興の新たな担い手、芸術サービス型NPO

 今回は、実際に国内のアートNPOがどのような活動を行っているのか整理してみたい。ひと口にアートNPOといっても、公演や展覧会を主体にしたもの、アーティストの支援を行うもの、芸術文化による国際交流やまちづくりに取り組むものなど、その目的や活動の内容は実にさまざまであり、厳密なタイプ分類は難しい。
 前回で紹介した535件のNPOの活動目的にざっと目を通してあえて分類してみると、現在のわが国のアートNPOは、おおむね下の表に整理した6つのタイプに分けられそうである。ただし、タイプの異なるNPOでも活動内容は相互に関連し、個々のNPOも幅広い活動に取り組んでいることから、実際には、複数のタイプが複合されたようなNPOが多いものと思われる。

●わが国のアートNPOのタイプ分類
タイプ 概 要
文化事業主催型 演劇やダンス、音楽、伝統芸能、美術、映画、生活文化など、芸術の各分野の公演や展覧会などの文化事業を主催するNPO。特定の芸術分野に特化したものが多い。
文化施設運営型 劇場やギャラリースペース、稽古場等の運営をベースに、それらを拠点としてさまざまな文化事業を実施するNPO。
実演団体型 劇団や舞踊団、オペラ団体、オーケストラなど、実演団体をNPO法人化するケースも増えている。
鑑賞団体型 全国各地の「子ども劇場」に代表されるような鑑賞団体がNPO化したもの。
芸術サービス型 アーティストや芸術団体の支援・育成、子どもや市民を対象にしたワークショップ等のアウトリーチ活動などを中心に行うNPO。
芸術文化活用型 文化事業の実施や歴史的建造物の保存・活用によって、地域の活性化やまちづくりを指向したり、諸外国との国際交流を目的に文化事業を実施するなど、別の目的に芸術文化を活用するNPO。

 これらのタイプのうち、特に注目されるのは芸術サービス型のNPOであろう。具体的には、アーティストや芸術団体の活動を支援したり、子どもや市民を対象にしたワークショップ、障害者や高齢者へのアウトリーチ活動などを行ったりするNPOである。それ以外のタイプのNPOは、NPO法の施行以前から何らかの形で存在していた。しかし、サービス型のNPOは、社会的な問題意識に基づいて、市民が主体となって芸術文化の振興や普及に取り組もうというもので、NPO制度が契機となって、新たに芽生えてきた動きである。
 サービス型NPOをあえて定義すれば、「舞台芸術や音楽等の公演、あるいは展覧会といった芸術鑑賞型の事業を中心に行うのではなく、芸術の振興やインフラづくりを目指して、芸術コミュニティに対する支援・育成サービスや、地域市民に対する芸術サービス、あるいは両者を結びつけるような活動を行う組織」とでもなろうか。
 具体的には、(1)市民や地域とアートとの新しい関係を構築する、(2)(特定の)芸術分野の活動や団体、アーティストを支援することで芸術文化を振興する、(3)芸術文化による新しい社会サービスを開拓する、といった活動を行うNPOである。
 こうしたNPOは、文化政策の担い手たる専門家の市民組織ととらえることも可能で、これまで、国や地方自治体、あるいは民間企業や財団などが中心となってきた分野で、市民の視点から活動を立ち上げているのが特徴であろう。言い換えれば、これらのNPOは、芸術文化の振興を政府機関や企業メセナだけには任せておけない、という強い使命感に支えられており、それまで見落とされがちだった分野や活動に目を向けたり、実験的な取り組みによって、行政の文化政策をリードしたりするような役割も期待できる。
 Japan Contemporary Dance Network(コラム参照)、あるいは雑誌「地域創造」12号で取り上げた「芸術家と子どもたち」(通称ASIAS(エイジアス)/小学校にプロの芸術家を派遣し、一般的に学校教師が苦手とする、子どもたちとの双方向型・参加型の体験授業を、総合的なテーマに関連づけやすい芸術を題材に実践している)などは、典型的なサービス型NPOである(注1)。これらは専門家集団としてのNPOが大きな成果を上げた成功例と言える。

注1 海外事例になるが、雑誌「地域創造」5号(P61〜65)で紹介した、有能な若手演奏家を発掘・育成するニューヨークのヤング・コンサート・アーティスツ(YCA)もサービス型NPOの代表例である。

●Japan Contemporary Dance Network(JCDN)
 コンテンポラリー・ダンスやワークショップの企画を立てるとき、公立ホールの担当者はどうすればいいか。全国にどんなアーティストや制作者がいて、ギャラはどれくらいか、といった情報をどう入手するか。一方、アーティストが地元以外で作品を上演したいと思ったとき、どこにコンタクトすればいいか―。「社会とダンスの接点をつくること」を掲げ、京都を拠点に全国的に活動しているNPO法人、Japan Contemporary Dance Networkでは、こうしたニーズをとらえ、ダンスを取り巻く環境を向上させるべくさまざまな事業を行っている。
「踊りに行くぜ!!」アフタートークの様子。 「踊りに行くぜ!!」は全国のパフォーマンススペース間を結んだ、ダンスの巡回公演プロジェクトである。各地域にさまざまなアーティストを紹介することで観客を開拓し、振付家やパフォーマーは地元以外での公演を行うことで成長する。地域、あるいはホール間でコミュニケーションが生まれたり、新たなダンスムーブメントが起こることを目的としている。年々規模が拡大し、4回目の2003年は札幌から沖縄まで11都市で開催された。
 コンテンポラリー・ダンスに関する情報収集・公開としては、アーティストやプロデューサー、公立ホールや民間のスペース、積極的に支援している企業や財団、評論家などの情報を網羅した「JCDNダンスファイル」を製作。これはブック形式と、動画も収録したCD-ROM形式を交互に、毎年改訂しながら発行していく方針。
 ウェブサイトでは、こうした情報のほか、ダンス公演やワークショップの予約サービス「JCDNダンスリザーブ」を運営。ダンス公演・ワークショップを検索し、チケットを予約できるシステムだ。
 各地の公立ホールや文化財団、NPOとのコラボレーション事業、コンサルテーション事業も積極的に展開している。ダンス関係者だけでなく、未経験者や老人、子ども、障害者を対象にしたダンスワークショップや、アーティストが長期滞在して、参加者とひとつの作品をつくり上げる企画などを継続的に実施、評価されている。
 さらに、「日米振付家レジデンシープロジェクト」や、海外からのインターン受け入れを行うことで、ダンスの国際交流を推進したり、情報交換の場を創出する「JCDNダンスフォーラム」をはじめ、セミナー、シンポジウムを開催している。
 幅広い世代の人々にダンスにふれる機会をつくり、ダンスのもっている「力」を社会の中に活かしていくことをミッションとしたJCDNの活動は、今後さらに広がりを見せるだろう。
(土屋典子)


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