地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

2月号-No.130
2006.02.10(毎月10日更新)

●今月のニュース

●リージョナルシアター・シリーズ
●制作基礎知識シリーズVol.24



●リージョナルシアター・シリーズ

第1回登場作品を劇場プロデュースで再演


写真:大阪市立芸術創造館プロデュース『背くらべ』
大阪市立芸術創造館プロデュース
『背くらべ』(撮影:谷古宇正彦)
写真:劇団無限蒸気社『BARBER ORCHE STRA』
劇団無限蒸気社
『BARBER ORCHE STRA』
(撮影:加藤幸広)
  全国各地の若手・実力派劇団を紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」が2月17日〜3月5日、東京芸術劇場小ホール1で開催されます。このシリーズは、地域創造と東京国際芸術祭との共催で1999年にスタート。これまでに全国の計30団体を紹介してきました。7年目の今年は、第1回に公演された飛ぶ劇場の『IRON』が、劇場プロデュース作品として再演されます。劇団と劇場が組み、どのような変化を遂げたのか注目です。

●劇団公演部門、この3劇団に注目

  今年登場するのは、札幌から劇団SKグループ、盛岡から現代時報、2度目の登場となる大阪の劇団Ugly ducklingの3劇団。エンターテイメント性豊かな作品と躍動感溢れる役者陣が魅力のSKグループ。落ち着きのある作風で人間関係を密に描く現代時報。現代社会と個人を対比させた代表作を、演出に磨きをかけ“改訂版”として再演する劇団Ugly duckling。ぜひご期待ください。

●あの『IRON』が満を持して登場

  シリーズ1回目で飛ぶ劇場の上演した『IRON』が、北九州芸術劇場プロデュースとして再び登場。演劇専用ホールをもつ同劇場のオープンなど、劇団を取り巻く環境はこの7年で大きく変化しました。また俳優たちは、演劇公演以外にも多種多様なワークショップに参加し、劇作家・演出家の泊篤志は、他地域での演劇活動も多くこなすなど、より活動の幅を広げてきました。北九州芸術劇場のテクニカルスタッフと共同作業でつくり上げたこの作品。東京公演までの間に伊丹・松本・博多・熊本でも上演。大きく成長した姿を披露します。

●今年のミーティングは「リーディング」

  参加劇団や各地の演劇関係者が集う恒例のリージョナルシアターズ・ミーティング。今年は“リーディング”をテーマに開催します。ここ数年、リーディング公演が盛んに行われるようになるなど、この言葉を耳にする機会も増えましたが、その目的、手法や成果、そして今後の可能性について、俳優の小田豊氏、劇作家・演出家の鈴江俊郎氏、プロデューサーの奥山緑氏にそれぞれの立場からお話をうかがいます。どなたでも参加できますので、関心のある方は担当までお問い合わせください。

リージョナルシアターズ・ミーティング「リーディング」
[日時]3月3日(金) 14:00〜16:30
[会場]東京芸術劇場 中会議室
[参加費]無料
[参加方法]事前申込制
[パネリスト]小田豊(俳優)、鈴江俊郎(劇作家・演出家)、奥山緑(神奈川芸術文化財団演劇部門プロデューサー)
[進行]津村卓(地域創造プロデューサー)

●劇団Ugly duckling『改訂版さっちゃん』(大阪)

劇団Ugly duckling『改訂版さっちゃん』[日程]2月17日(金)19:00、18日(土)14:00/19:00、19日(日)14:00
[作]樋口美友喜[演出]池田祐佳理
[出演]出口弥生、中村隆一郎、吉川貴子、ののあざみ、村上桜子、中野聡、山田一幸(朱亜shu-A)、後藤七重(WI'RE) ほか
1995年に旗揚げ。劇団本公演の全作品は、作・樋口美友喜、演出・池田祐佳理のコンビによるオリジナル作品を上演。現代社会を斬新な価値観でとらえ、奇想天外かつダイナミック、ときにはファンタジックに描いた劇世界を表現し続けている。
[お問い合わせ]劇団Ugly duckling Tel. 06-6933-3455

●現代時報『親密な他人』(盛岡)

現代時報『親密な他人』[日程]2月21日(火)19:00、22日(水)14:00/19:00
[作・演出]高村明彦
[出演]三好永記、蛇口仁志、中村剛造、田中美圭、前川寛子、佐々木つかさ
1997年、現代表の高村明彦が大学在学中に社会学研究サークルの友人や高校時代の演劇仲間に呼びかけ結成。高村が大学卒業後もメンバーを増やしつつ活動の場を広げ、より高い演劇表現を追及している。誇張を排し、端的な表現で登場人物の心情を描写し、丁寧に紡がれた奥行きのある世界観に定評がある。
[お問い合わせ]現代時報 Tel. 019-658-1108

●劇団SKグループ『再演A。』(札幌)

劇団SKグループ『再演A。』[日程]2月25日(土)14:00/19:30、26日(日)14:00
[作・演出]すがの公
[出演]小山めぐみ、江田由紀浩、福村澄江、すがの公
1998年旗揚げ、年3〜4回のペースで本公演を発表し続け、動員数平均1,000人。発表した全ての作品は、団長のすがの公のオリジナル脚本・演出作品。芝居づくりで心がけることは、「芝居は見世物」。当たり前すぎて忘れがちな言葉を念頭にSKグループ芝居の芸術からの離脱を目標とする。札幌で活動を展開することにこだわり「東京にも通用する札幌の芝居」を目指し、今回初の東京公演を行う。
[お問い合わせ]劇団SKグループ Tel. 090-9434-1105

●北九州芸術劇場×飛ぶ劇場『IRON』(北九州)

北九州芸術劇場×飛ぶ劇場『IRON』[日程]3月3日(金)19:00、4日(土)14:00/18:00、5日(日)14:00
[作・演出]泊篤志
[出演]寺田剛史、永井秀樹(青年団)、木村健二、橋本茜、藤尾加代子、鵜飼秋子、門司智美、加賀田浩二、内田ゆみ、佐成哲夫(sanaridance)、藤原達郎 ほか
【飛ぶ劇場】1987年結成。北九州市を本拠地に、東京・関西・九州各地に積極的に出向いている。93年に泊篤志が東京からUターンし、作・演出として劇団の舵取りを開始。97年『生態系カズクン』で第3回日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞。日常の機微を描く脚本と、方言など言葉へのこだわり、歌や舞踊での「祝祭」の高揚感を重視した演出を展開している。
【北九州芸術劇場】2003年8月オープン。地元の演劇人を中心にした作品から大規模な作品まで全国に向けて発信する公演を創作している。普及事業では、戯曲塾、舞台技術、俳優のワークショップなどを実施し、育成にも力を注いでいる。
[お問い合わせ]北九州芸術劇場 芸術文化情報センター Tel. 093-562-2655

●平成18年度からリージョナルシアター・シリーズが変わります!

 この事業は、来年度から「リーディング公演部門」と「創作・育成プログラム部門」の2つから構成される企画になり、より充実した作品創造の場と地域に還元できるプログラムになります。
[リーディング公演部門]複数の劇団・団体が同時期に1週間東京に滞在して稽古を行い、東京にてリーディング公演を実施します。稽古期間中、他劇団と交流することでネットワークを広げることが可能になります。稽古と公演をプロの劇作家または演出家に見てもらい、アドバイザーとして劇団とコミュニケーションをとりながら劇団のレベルアップを目指します。ここで上演された作品は必ず地域に戻り、通常の演劇公演として上演され、地域のお客様により充実した作品を観劇していただくようになります。
[創作・育成プログラム部門]リーディング公演部門に参加した劇団・団体の中から1名の作家または演出家を翌年度の「創作・育成プログラム部門」に選出します。東京に6〜8週間滞在し演劇公演を1作品創作・上演します。また、ワークショップ、アウトリーチ活動や演劇に関するさまざまな研修を受講し、今後の演劇活動に活かせるプログラムをプロのアドバイザーとともにつくります。
リージョナルシアター・シリーズに関する問い合わせ
芸術環境部 大垣・有本 Tel. 03-5573-4124

制作基礎知識シリーズVol.24 舞台監督の仕事(2)

●具体的な業務

 講師 草加叔也(空間創造研究所・劇場計画コンサルタント)
 一人格で担いきれない仕事量と、分業の必要性

●業務の分類
 前回は、劇場で行われる創造活動を支える舞台監督の存在について紹介したが、今回はその具体的な業務について整理したい。
 前にも述べたとおり、舞台監督は、演出家や各デザイナーというクリエイティブ・スタッフに対して、舞台技術を中心としたプロダクション・マネージメント・スタッフに属する職能と基本的には考えられる。しかし、日本語で「舞台監督」と言うと、その職能を大きくはみ出した業務を担うことも多い。そこでここでは、基本的な業務内容を説明するために、欧米の劇場の職能である「プロダクション・マネージャ(PM)」「テクニカル・マネージャ(TM*1)」「ステージ・マネージャ(SM*2)」という分類(職名)に従って整理した。
*1 「Technical Stage Manager」「Technical Director」と呼ばれることもある。
*2 「Production Stage Manager」と呼ばれることもある。

 もちろん、欧米の劇場でも必ずしもこの3つの職能が常に独立して機能しているわけではなく、明確に区分けできるものでもない。むしろそれぞれが担う業務は相互に重複する関係にあると言ってよく、作品や公演の規模によっては、PMとTM、PMとSMあるいはTMとSMなどがそれぞれ一人格で機能していることもある。従ってあくまでこの整理は、舞台監督の専門業務を“把握する”ことが目的であると理解していただきたい。
 誤解を恐れずに言えば、基本的に「舞台監督=PM+TM+SM」ということになる。
 以下、それぞれの職能の違いに着目して、その特長を整理する。

◎プロダクション・マネージャ

  舞台技術とプロダクション・マネージメント・チームの責任者。公演に関わる予算の調整を行うとともに、舞台セット建て込みと輸送、ツアーに関連する舞台技術上の責任を担う。また、場合によっては舞台セットの運搬・搬入、仕込み、そしてバラシや搬出・移動に関する責任も担う。
 劇場技術面での経験が豊富で、予算管理や交渉能力を長けていることが望まれる。

◎テクニカル・マネージャ

  舞台全般の技術的責任を担う。舞台セットの仕込みやバラシの進行管理を行い、舞台技術者や大道具の管理と責任を担う。
 舞台セットの製作に関する豊富な知識と舞台設備についての正確な知識が求められる。

◎ステージ・マネージャ

  舞台進行管理チームの責任者で、小道具・家具(既製品)などの調達についての予算を管理し、リハーサルを通して顕在化する全ての課題に対処するとともに、PMへの報告を行う。上演中のバックステージでの責任を担うとともに、舞台転換の指示と舞台スタッフの指揮をとる。
 全般的に豊富な知識を持つとともに、出演者や演出家としての経験も望まれる。

●創造から公演終了までの業務と役割
 さて、先に整理したPM、TM、SMそれぞれの業務を公演の立上げから、リハーサル、そして仕込み、本番、バラシの時間軸に沿って整理をしたのが下の表である。
 この表からわかるように、「プロダクション・マネージャ」は、作品創造の過程から上演まで、公演に関わる全般的な業務の総括的な責任者としての役割を負う。もちろん舞台美術、舞台照明、舞台音響などの進行管理、それに伴う予算管理、そして実際の作業を行う舞台スタッフの決定まで公演の大枠に関わる方針の構築と決定を行うのが、このPMということになる。
 また、「テクニカル・マネージャ」は、大道具や背景など舞台セットや製作が必要な小道具などを演出家や舞台美術家の意図に沿うように、より効率的・効果的に製作することと、そのための予算と製作の管理を中心に行う。
 最後に「ステージ・マネージャ」は、リハーサルの進行と管理を通して、その過程で顕在化する上演に関わるさまざまな課題を整理し、具体的な解決策を講じていく。また、リハーサルを通して舞台セットや舞台照明、舞台音響などの転換のためのきっかけ(キュー出し)を司る役割を担う。もちろん、本番では、舞台進行の全てのきっかけはこのSMによって仕切られることになる。また、本番スタッフをコントロールするのもSMの役割である。
 以上のように創造から上演まで、公演に関わるPM、TM、SMの役割を全て統括した職種が、実は舞台監督ということになる。もちろん、公演が少人数の構成であったり、舞台セットがシンプルで転換もほとんどないようであれば、一人の舞台監督がその全てを仕切ることも不可能ではない。しかし、公演が一定規模を超えるようになると、一人の舞台監督が担う業務としては負担が大きくなるばかりか、時間的にも両立は不可能になる。まして、舞台設備が多機能・高機能化してきている劇場での上演を考えると、すでに一人の舞台監督が負うことへの限界が見えはじめてきている。
 しかし、現実としてPM、TM、SMを別人格としてスタッフ・ワークする公演は、我が国ではまだまだ少ない。今後、舞台監督に求められる技能が単なる技術ではなく、演出家をはじめとするクリエイティブ・スタッフとの協働による創造活動とその支援であるということの認識が高まるにつれ、分業化や専門性の確立が求められるようになってくるのではないだろうか。

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参考文献
Stage Management and Theater Ad-ministration(Hawkins & Menear)

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