地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

6月号-No.134
2006.06.10(毎月10日更新)

●今月のニュース

●平成18年度公共ホール音楽活性化事業/公共ホール現代ダンス活性化事業「全体研修会」
●制作基礎知識シリーズVol.25



●平成18年度公共ホール音楽活性化事業/公共ホール現代ダンス活性化事業「全体研修会」
  2006年4月19日〜21日/4月24日、25日

ますます充実。音楽、ダンスのプレゼンテーション


 地域創造の新年度を告げる全体研修会が、今年も4月中に相次いで開催されました。平成18・19年度の新規登録アーティスト12組(16名)のお披露目が行われた「公共ホール音楽活性化事業」(4月19日〜21日)、昨年度から2年間のモデル事業として実施されている「公共ホール現代ダンス活性化事業」(4月24日、25日)の全体研修会には、全国から合わせて約70人以上のホール担当者、自治体の事業担当者が東京に集合しました。指定管理者制度への移行期ということもあり、研修会に臨む参加者が時折見せる張り詰めた表情が印象的でした。

●実力派揃いの新規登録アーティスト

音活全体研修会、中村透氏のゼミ
  「公共ホール音楽活性化事業」(以下、音活)は、オーディションにより選ばれた登録アーティスト(2年入替制)を公立ホール等に派遣し、地方公共団体との共催でコンサートおよびアクティビティ(地域との交流を図るプログラム)を開催するものです。昨年度までは、音活OB館の研修会も同時開催していましたが、今年度からは8月に別途「おんかつ支援事業プレゼンテーション」(仮称)をスタートするため、新規登録アーティストと新規参加館(29団体)というフレッシュな顔合わせとなりました。
 19日に行われた研修では、前登録アーティストのマリンバ奏者宮本妥子さんをゲストに迎え、アーティストの立場から音活の経験について話していただいたほか、地域を巻き込んで事業を実施した相模湖交流センターの事例や、若手職員3名がチームを組み、お揃いのTシャツや名刺を作成して事業に臨んだ青森市文化会館の事例(レター2005年11月号参照)など、昨年度の取り組みを映像を交えながら紹介。会議室には新旧音活担当者ら80人近い人が溢れ、大変な熱気でした。
 また、津田ホールで行われたプレゼンテーションでは、今回からアーティストが存分に実力を発揮できるよう演奏時間を延長。1アーティスト(グループ)25分ずつ、12組が計6時間にわたってトークと演奏のデモンストレーションを行いました。今回で登録アーティストも5期生となり、実力派のメンバーが揃っているのに加え、新たにリコーダー、クラシック・ギター、箏・地唄三味線も加わり、初年度とは思えない素晴らしいパフォーマンスが披露されました。
 箏・地唄三味線の片岡リサさんは、「邦楽という凝り固まったイメージでは敬遠されてしまうので、エッこんなのがあるの? という曲も紹介して、邦楽の魅力に少しでもふれてもらえれば」と言い、古典から多様な奏法を駆使した現代曲、ベルカント風な唄を付けて弾き語りした『アメージング・グレース』などを披露。
 また、オペレッタを得意とするソプラノの渡邊史さん、ギタリストの父の横で子どもの頃からギターをおもちゃにして育ったという益田正洋さん、身体構造を理解するために鍼灸学校で学んでいるというヴァイオリニストの早稲田桜子さん、海外でソリストとして活躍している第一線のヴァイオリニスト小野明子さんなど、参加館が人選に迷うほどのタレントばかりでした。
 四日市市市民文化課の秦昌洋さんは、「とてもバリエーションに富んでいて、アーティストの演奏以外の個性もわかり、とても面白かった。今日の演奏を聴き、下手な小細工をしないで音楽の力と子どもたちをがっぷり四つに組ませたいと感じた。演奏家を学校に連れて行けば何とかなると安易に考えていたが、全体研修会でいろいろな事例を聞いて、きちんと下地をつくっておかないとダメだというのがわかり、目が覚めた。帰ったら早速チームをつくって対応を考えたい」と興奮気味でした。

●公共ホール音楽活性化事業「全体研修会」スケジュール
1

13:30〜 ゼミ(1) 「おんかつとは何か(アウトリーチについて・おんかつ事業の基本的な考え方)」児玉真
14:30〜 ゼミ(2) 「おんかつ事業の作り方」小澤櫻作(地域創造)
15:45〜 ゼミ(3) 「平成16年度の事業より〜新潟県吉田町の事例〜」
能祖将夫、宮本妥子(16・17年度登録アーティスト)
16:55〜 ゼミ(4) 「平成16年度の事業より〜神奈川県相模湖町の事例〜」
箕口一美、福島恒昭(神奈川県立相模湖交流センター)
18:10〜 ゼミ(5) 「平成17年度の事業より〜青森県青森市の事例〜」
楠瀬寿賀子、碇谷英里子、田澤拓朗、町田直子(財団法人青森市文化スポーツ振興公社)
19:20〜 ゼミ(6) 「事例報告を振り返って」吉本光宏
2

9:30〜 ゼミ(7) 「アクティビティーを読む」中村 透
10:40〜 プレゼンテーションの見方・考え方
講師:コーディネーター、アドバイザー
11:30〜 平成18・19年度登録アーティストプレゼンテーション
18:30〜 交流会
3

9:30〜 ゼミグループ別企画検討
ナビゲーター:
  コーディネーター(児玉、津村、能祖、楠瀬、丹羽、宮地、本田、片山、柴田、山本)
  アドバイザー(中村、吉本、深作)
13:30〜 ゼミ「企画発表“3分間プレゼン”」
公共ホール音楽活性化事業平成18年度実施団体
北海道中標津町、北海道豊頃町、岩手県北上市、秋田県横手市、秋田県秋田市、埼玉県川口市、千葉県東金市、東京都品川区、富山県砺波市、石川県金沢市、石川県珠洲市、福井県鯖江市、福井県若狭町、山梨県山梨市、長野県長野市、岐阜県可児市、静岡県浜松市、三重県四日市市、京都府京丹後市、兵庫県朝来市、岡山県津山市、広島県廿日市市、徳島県海陽町、香川県丸亀市、愛媛県松山市、佐賀県唐津市、長崎県雲仙市、熊本県熊本市、宮崎県清武町
平成18・19年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト
奈良希愛(ピアノ)、小野明子(ヴァイオリン)、早稲田桜子(ヴァイオリン)、荒川洋(フルート)、加藤直明(トロンボーン)、大熊理津子(マリンバ)、益田正洋(クラシック・ギター)、江崎浩司(リコーダー)、片岡リサ(箏・地唄三味線)、渡邊史(ソプラノ)、Duo Yamaguchi/山口博明・山口真由美(ピアノ&チェロ)、Quartet SPIRITUS(サクソフォン四重奏)
公共ホール音楽活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 小澤・有本・柿木田・水上・飯川 Tel. 03-5573-4076
●昨年度の総括を踏まえ、より実践的に
 「公共ホール現代ダンス活性化事業」(以下、ダン活)では、3月13日に昨年度の参加館による報告会(レター5月号参照)が行われるなど、今年度の参加館の担当者は十分な予備知識をもって全体研修会に臨みました。ゼミの内容も、具体的な制作業務チェックポイントやアウトリーチの日程の組み方など、極めて実践的なもので、最終日には館ごとに招聘アーティストを想定した企画づくりのシミュレーションが行われました。
 今回のプレゼンテーション会場は東京芸術劇場リハーサル室。登録アーティストは2年目ということもあり、30分の持ち時間を有効に活用して、ワークショップと作品のデモンストレーションを行いました。特にワークショップでは、昨年のプレゼンテーションと異なり、参加館の担当者に実際に体験してもらうものが多く、「コンテンポラリーダンスのワークショップがどういうものかよくわかった」と好評でした。

◎参加者コメント(小松淳子・かすがい市民文化財団)

 「私は昨年3月まで大分県文化スポーツ振興財団でダンスの担当をしていた。春日井でも機会があればぜひやりたかった。多治見のダン活の話を聞き面白そうだったので応募した。報告会に参加して、アウトリーチ先との交渉や動員など思ったより大変だなと感じた。特に公演については、舞台にこだわりをもっているアーティストの要望に技術的に応えられるのか不安だった。しかし、今回の全体研修会で、事業の進め方について具体的な説明があり、またテクニカルスタッフの派遣が可能になるなど、前回のダン活の反省点を踏まえた見直しが行われている事がわかり、少し安心した。プレゼンテーションについては、雑誌などで紹介されているようなアーティストが一堂に会していて、それもあんなに間近で見ることができてとても感動した。それぞれのアーティストの動きが全く違っているのがよくわかった。ワークショップも自分で体験してダンスの楽しさがわかったし、これから事業を企画していく上でとても参考になった。財団にはギャラリーを担当している美術グループの職員がいて、学校の先生との交流があるので、そういうネットワークが活かせる企画にしたい。夜になると市役所のガラス窓に向って踊っている若者たちもいるので、彼らをうまく取り込めればと思っている」
ダン活登録アーティストプレゼンテーションの模様

山田うん

岩下徹

山田珠実
平成18年度公共ホール現代ダンス活性化事業開催地
北海道函館市、福島県会津若松市、神奈川県相模原市、神奈川県平塚市、愛知県三好町、愛知県春日井市、大阪府箕面市、奈良県奈良市、岡山県倉敷市、宮崎県都城市
平成18年度公共ホール現代ダンス活性化事業登録アーティスト
伊藤千枝、岩下徹、笠井叡、勝部ちこ、北村成美、室伏鴻、山田うん、山田珠実、上村なおか+笠井瑞丈、砂連尾理+寺田みさこ
公共ホール現代ダンス活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 畑間・南谷・栗林・関根 Tel. 03-5573-4067

制作基礎知識シリーズVol.25 チケット営業(1)

●営業の役割と事前準備

 講師 佐藤和久(北九州芸術劇場)
 公演事業にとって重要な興行収益を確保

 制作基礎知識の新シリーズとして、今回から3号にわたり、公演事業のチケット営業について紹介します。

●公演事業における営業の役割
 作品の招聘や自主制作などの公演を実施する場合、チケット営業の役割はとても重要だ。公演事業を実施するに当たって、一般流通や会員組織だけですべての作品のチケットを完売させることが理想だが、現実的にはとても困難なことである。
 東京のマーケットにおいても、魅力的なミュージカルや演劇作品が数多く上演されているが、すべての作品が興行として成立しているわけではない。特に舞台芸術作品の場合は、制作コストが多くかかるので、興行収益が重要なポイントになってくる。そのため、制作者は観客を集客できるよう企画に工夫を凝らし、戦略的な広報・宣伝プランを立案し、営業は1枚でも多くチケットを販売する。それが興行の一般的な形態となっている。
 近年、公立ホールにおいても、新規顧客の開拓や団体の獲得などを行い、事業収入(収益率)の向上を図ることが課題となり、営業の必要性が重要視されるようになってきた。公演事業を成立させる要因はさまざまだが、営業力を強化することが、公演を成功に導く上での鍵となるのは間違いない。
 また、営業での動員数が推測できる状況が確立されてくると、招聘作品や自主制作作品を企画する際に、公演回数を設定する目安にもなる。ただ、営業力を強化することだけが公演事業の成否を決定するわけではなく、公演事業に関わる全スタッフが、作品を成功に導く意識を持ち合わせてこそ、より良い状況が生まれるのである。

●営業の種類と事前準備
 公演に関わる営業を大別すると「協賛営業」(*1)と「団体営業」に二分される。ここではチケットの団体営業に重点を置いて、営業活動に入る前の準備、営業実践や実務、営業に関連する業務について説明しよう。ただし、営業には決まったスタイルはないので、担当者は日々の業務の中で自分なりのスタイルを確立していっていただきたい。
 チケットの団体営業は、一般発売前から営業活動に入り、買い取りや斡旋を行う企業や団体へ販売交渉することが主な活動内容となる。買い取りの場合は、先方の予算や条件を考慮しながら交渉することになる。「斡旋販売」(*2)より早い営業が必要となってくる。
 チケットの団体営業は特殊な営業とは言えないが、やみくもに企業や団体を訪問することは得策ではない。事前に情報を収集して、営業する訪問先を確定して活動に入ることが必要となる。営業活動に入る前に行う業務は以下のとおり。

(1)公演企画書の作成

 作品のストーリーや公演概要、出演者プロフィールなどが入った資料を作成する。この公演企画書は、プレスリリースと兼用する場合もあるので、受け取る側が興味を喚起されるような内容に仕上げよう(事業担当者が作成する場合もある)。

(2)営業リストの作成

 営業活動に入る前に、営業(訪問)先リストを作成する。効率よく営業するためには、営業先として想定される企業や団体などの資料や情報を入手してリスト化することが必要(*3)。

(3)買い取りおよび斡旋の割引率の設定

 買い取りおよび斡旋の割引率は毎回設定する必要はないので、目安となる割引率を事前に設定しておこう。買い取りの場合は、先方の予算や条件を含みながら交渉するケースが多い。また、買い取りのチケット枚数は大口と小口の場合があるので、その際の割引率の設定も必要となる。斡旋の場合は、こちらからの提示である程度成立する。ちなみに北九州芸術劇場の斡旋販売は、10%程度の割引率を目安にしている(*4)。

(4)地域の状況をリサーチする

 新聞や雑誌(情報誌)、公演チラシやTVスポットなどからも営業のヒントとなる情報を入手することができる。例えば、公演チラシやTVスポットに協賛名が表記されている場合は、その企業に一度訪問してみる価値は十分にある。また、公立ホールの関係者や地元の興行主催者と接する機会を意識的に設けることにより、公演事業や営業活動に活用できるさまざまな情報や現状などを入手することができる。

*1 協賛(冠)営業は、公演事業の採算を多少なりとも有利にするために、企業などから資金援助を得ることを目的としたもの。営業時には、公演企画書に協賛要項を添付した資料を準備する必要がある。

*2 斡旋販売とは、事前にチケットの仮押さえを行い、申し込み締切日を設定して、企業や団体が主な窓口となって社員や職員に公演チケットの斡旋案内を行うこと。斡旋方法や受付手段、チケット代金の入金方法はさまざまな形態が存在する。

*3
【参考資料の例】
会社四季報、法人や団体が発行する季刊誌、特殊法人・団体などの一覧表、イエローページ、インターネットで検索
【営業先として想定される企業・団体の例】
カード会社、生活協同組合、百貨店友の会、自治体(官庁・県庁・市役所・警察署・消防署・郵便局など)の厚生課、教職員組合・教職員互助会、勤労者互助会(中小企業の福利事業担当)、学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・専門学校・大学)の教職員および鑑賞事業がある学校、中学校・高等学校の演劇部、病院、ホテル、JA、児童会・子供会、PTA、演劇鑑賞団体、医師会、歯科医師会、弁護士会、一般企業の総務課(厚生課)、労働組合/婦人会/市民センター、メンバーズや特殊な会員組織がある団体

*4
【買取の割引率(例)】
10枚〜100枚(価格の10%割引)
100枚以上(価格の10%〜20%割引)
300枚以上(価格の15%〜25%割引)
500枚以上(価格の20%〜30%割引)
【斡旋の割引率(例)】
チケット価格の10%〜20%割引

●営業準備に関連する業務

営業する公演について事前に行うべきプランニングと作成する営業資料は次のとおり。

(1) 営業としてのマーケット分析

 一般的には、公演アンケートから居住区や年齢・男女比などを分析して、営業開拓や宣伝展開などを行う。また、劇場への来客エリアは、地域の商業圏と大きな開きはないので、関連する文献や資料などからも集客エリアを分析することができる。また、地元の広告代理店や流通業の販促担当者などからも、営業的な情報を収集することができる。

(2) 公演事業のフレームづくり

 公演の規模によっては、テレビ局や新聞社などと共催事業として組み立てることも有効な手段である。マスメディアと共催することで宣伝プロモーションを強化することができ、チケットの販促にも繋がる。また、名義主催ではなく、共同事業(損益折半)にすることによって、劇場(会館)の自主事業で実施する公演回数より多く実施できる可能性も出てくる。同様に、地域の鑑賞団体や関連団体と公演の協力体制を構築することにより、集客率の増加を見込むことができるので、新規来場者の開拓にもなる。

(3) 公演概要の設定

【一般発売日】実施する公演が決定したら、まず第一にチケットの一般発売日を設定する。チケット営業を含めた興行デザインは、一般発売日を軸として設計するので、発売日を決めないことには全体の作業が構築されない。
【チケット価格】一般販売価格を設定する。価格の設定は、制作カンパニーが自主公演で設定した価格や地域の状況、総経費を考慮しながら設定することを勧めたい。
【クレジット】主催、後援、協力などの公演クレジットを決定する。チケット券面や公演チラシ・ポスターなどに明記する。

(4) プロモーションプランの作成

 一般発売日を軸として、プロモーションプランを作成する。広報や宣伝担当者が作成することになるが、プロモーション展開は、営業の販促業務と密接な繋がりをもつので、プランの作表は、営業担当者が作成する意識をもちたい。

(5) 観劇企画の立案

 チケットの販促プランとして、観劇と食事などをセットした企画を実施することで、団体客を獲得することができる。食事の場合は、ホテルや有名なお店を選定することや、パック料金の割安感を出すなど、企画を立てる際にはさまざまな工夫が必要である。北九州芸術劇場では、新聞媒体と組んで食事のプランを実施したり、交通(移動手段)と食事に施設見学をセットしたプランを実施している。この観劇プランは、慰安会や観劇会などを実施している団体を中心に営業を行っている。

(6) 公演試算表の作成

 実施する公演事業にかかる総経費をチケット収入で試算する一覧表を作成する。この試算表を作成することにより、公演事業の採算分岐点が設定され、チケットの販売目標数値を設定することができる。また、チケット単価の設定のためにも必要だ。

(7) チケット押さえ表の作成

 この表を基に営業で販売するチケットの管理を行う。営業押さえ表と同じ書式で、会員や一般流通での抑え表を作成すると総販売枚数を管理することができる。仮押さえ状況が一覧出来ることにより、公演日別の販売状況や確定日などを確認することができる。また、営業押さえ表を基に票券担当者が配券(配席)を行う。次回の参考資料としても役立つ。


公演試算表の例

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