地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

10月号-No.210
2012.10.1(毎月1日更新)

今月のニュース

地域創造フェスティバル2012報告
2012年7月31日〜8月2日


写真
左上:調査研究事業シンポジウム「文化・芸術を活用した地域活性化に関する調査研究」
右上:ダン活支援アーティストプレゼンテーション(東野祥子)
左下:おんかつ応用セミナー「コンサートへの柔らかなアクセスとアートリテラシー〜ポップ・カルチャーをハイ・カルチャーへ〜」
右下:おんかつ支援アーティストプレゼンテーション(Buzz Five)


 昨年に引き続き、横浜赤レンガ倉庫を会場に7月31日から8月2日まで地域創造フェスティバル2012が開催されました。今年で5年目となるこの催しは、地域創造の登録アーティストによるプレゼンテーションや最新の調査研究結果に基づくシンポジウム等により地域創造の事業を広く紹介し、併せて公共ホール職員等のネットワークづくりの場となることを目的としています。今回は、クラシック音楽や現代ダンスのプレゼンテーション・アーティスト56組、全国から参加者241名が集い、活発な交流を行いました。ご尽力いただきました関係者の皆さまには、心からお礼申し上げます。


●文化・芸術による地域活性化に向けて
 オープニングプログラムとして行われたのが、平成22・23年度に実施された「文化・芸術を活用した地域活性化に関する調査研究」(*)の成果を報告するシンポジウムです。冒頭、地域の参考になるような事例収集を行ったこと、その分析・検証により幅広い領域において文化・芸術が地域に活力をもたらしていることなど、(株)ニッセイ基礎研究所の大澤寅雄研究員より調査結果の概要が報告されました。
  その後、本調査の提言検討委員会委員としてご協力いただいた熊倉純子東京藝術大学教授がコーディネーターを務め、現地調査でご協力いただいた北海道東川町の松岡市郎町長、徳島県神山町のNPO法人グリーンバレーの大南信也理事長、本調査の事例検討会委員で神戸市のNPO法人DANCE BOXの大谷燠代表および提言検討委員会委員の田辺国昭東京大学公共政策大学院教授を加えた豪華なパネラーによるセッションが2時間にわたって行われました。
  特に興味深かったのは各地の事例報告です。写真の町を宣言し、全国の高校写真部が集う「写真甲子園」や国際写真コンクール「東川賞」などを実施してきた東川町の松岡町長は、「1986年に『写真の町に関する条例』を制定したことが事業を継続できた理由のひとつです。写真写りのいい町を目指し、また人間愛の溢れた心を写す町として、記念写真とともに婚姻届や出生届の写しを贈る事業などをはじめました」とその広がりについて紹介。
  1999年に神山アーティスト・イン・レジデンス事業をスタートしたのをきっかけに誕生したNPO法人グリーンバレーは、過疎地域の課題解決により役立つ人に空き家を紹介する移住交流支援センターを運営するなど新たな発想で地域に貢献。「ウェブデザイナーやパン屋など、住んでほしい人にワーク・イン・レジデンスしてもらうという考え方です。今では自分たちで借り上げて大学の建築学科の学生と家を改修して貸し出す試みも始めました。アートを媒介にして、人が人を呼ぶ状態になっており、現在では7社がサテライトオフィスを構えています。漠然と過疎化をとらえるのではなく、過疎化を受け入れ、的確な目標設定をすれば、クリエイティブな人が集積する創造的な過疎地域を構築していくことができるのではないでしょうか」と大南さん。
  また、神戸を拠点にしたNPO法人DANCE BOXは、70歳以上の地域住民、障がい者、高校生とそれぞれ共同して行った作品づくりについて紹介。大谷さんは、「既存の価値観にとらわれないコンテンポラリーダンスには、共同で作品をつくることを通じて、かつてコミュニティがもっていた循環的な社会や顔の見える関係をつくり出すことができる可能性があります」と話していました。
  1970年代からの文化政策の歩みを振り返って、「財政状況が厳しくなった1990年代半ばから排他的行政から包括的行政へと変わり、文化で幅広い行政領域を横串にしていくことが求められるようになってきた」という田辺委員の総括など、中身の濃いセッションとなりました。

*「文化・芸術を活用した地域活性化(行政効果の検証)に関する調査研究」
幅広い行政分野(安心・安全、福祉、教育、観光・商工振興、地域の環境、地域・コミュニティ等)における文化・芸術を活用した事例を収集し、事例を分析する事例検討会と、提言を取りまとめる提言検討委員会によって議論したもの。その成果を本編と資料集の2分冊の報告書として発行。報告書は地域創造ウェブサイトよりダウンロード可能。
http://www.jafra.or.jp/j/library/investigation/22-23/index.php
[問い合わせ]芸術環境部 角南
Tel. 03-5573-4183



●盛りだくさんなプレゼンテーションとセミナー
 地域創造フェスティバルの最大の魅力は、登録アーティストたちによる多彩なプレゼンテーションです。今年は公共ホール音楽活性化支援事業(おんかつ支援)登録アーティスト49組(各15分)、公共ホール現代ダンス活性化支援事業(ダン活支援)対象アーティスト7組(各30分)が延べ10時間にわたるプレゼンテーションを披露しました。おんかつプレゼンでは、東日本大震災の被災地を元気づけるために中川賢一さんが作曲し、ヴァイオリニストの神谷未穂さんと熱い演奏を披露した『大漁唄い込み』、おんかつアーティストになって10年というピアニストの田村緑さんによる未就学児のための曲当てクイズなどなど。15分という短い時間ながらアーティストの蓄積と構成力が活かされた素晴らしいパフォーマンスばかりでした。
  ダンスでは実力派のアーティストがパフォーマンスとともに参加者を対象にしたワークショップを実施。「“やりたないわ”という人が格好良く見えるようにして巻き込んでます」という北村成美さんや「紙や布など物のもっている面白さを活用しながらワークショップをやっています」という新井英夫さんなど、それぞれのノウハウをわかりやすく伝えていました。
  このほか、コーディネーターへの素朴な質問を通しておんかつの基礎を学ぶセミナー、大衆的な音楽を入口にしても技巧を尽くしたピアノ・アンサンブルの魅力を伝えるプログラムにできることを実演によって実証した応用セミナーなど、おんかつを中心にした事業紹介が行われるとともに、助成要綱説明会やワークショップ体験など、多彩なプログラムを実施しました。


地域創造フェスティバル2012 プログラム(会場:横浜赤レンガ倉庫1号館)

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