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制作基礎知識シリーズVol.35
美術館の改修A
世田谷美術館の事例[2]

講師 橋本善八
(世田谷美術館 美術課長)

 前号(2012年10月号)のレターに掲載したとおり、世田谷美術館の改修におけるポイントは下欄の5点である。今回は、B「改修環境づくりと安全な職場環境の確保」C「空調関係の設備更新のあり方」について紹介する。


●世田谷美術館改修のポイント
@指定管理施設における改修計画づくり
A1万6,000点に及ぶコレクションの扱い
B改修環境づくりと安全な職場環境の確保
C空調関係の設備更新のあり方
D休館中の事業展開(継続事業の存続と広報)


B改修環境づくりと安全な職場環境の確保

 改修作業に入るためには什器等すべての荷物を倉庫に移動する引っ越し作業が伴った。実はこれが美術館スタッフ総動員で行わなければならない膨大な作業となる。また、休館中の事務所スペースをどこに確保するかも重要なポイントとなる。
  世田谷美術館の場合、美術館内の区民ギャラリーのスペースに総務部と学芸部が移動して休館中の業務を継続した。いわば工事現場の中に事務所があるため、コレクションのセキュリティ対策はもちろんだが、美術館スタッフの安全を確保する職場環境の保全にも留意した。ヘルメットを着用し、何時から何時にどこを通るのかを細かく申請するなど、館内での移動や作業を一括管理した。仮出入り口の周囲が暗いため、夜間用の仮街灯の設置なども行った。
  また、結露防止のための二重サッシ化や、地震に備えて窓に飛散防止フィルムを貼るなど、改修では窓に関わる工事が多かった。窓ガラスがない期間は、1日の作業が終わるごとに板を打ち付け、侵入者を感知する赤外線センサーを取り付け、作業員は立ち入り範囲によって色分けした腕章を着用。収蔵庫に入る際は警備室への報告義務を課すなど、何段階ものチェック体制を整えてセキュリティ対策を行った。


C空調関係の設備更新のあり方

 世田谷美術館は建築家の故・内井昭蔵氏の設計によるものだ。改修にあたっては、区の理解もあり、当初の設計思想や空調設備のあり方を熟知している内井建築設計事務所が監修を行ったのが最大のポイントとなった。
  世田谷美術館で特に改修が必要とされたのが、設置から25年を経過し、耐用年数を迎えていた空調設備の更新だった。とりわけ、収蔵庫系統、展示室系統は重要事項として位置付けた。収蔵庫は言うまでもなく24時間稼働し続け、展示室もまた収蔵庫と同様の環境を維持することが求められるからだ。機械室の限られた空間に最適な機器を設置し、正確に運転を実施するためには、試行を繰り返す必要がある。
  加えてバリアフリー化されていなかった箇所の改修と魅力向上のためのカフェの設置が行われた。

●世田谷美術館
〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
[開館]1986年3月
[敷地面積]19,000u
[建築面積]4,882u
[延床面積]8,577u
[設置者]世田谷区
[運営者](公財)せたがや文化財団
[設計者]内井昭蔵建築設計事務所

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