地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

2月号-No.214
2013.2.1(毎月1日更新)

今月のニュース

●平成24年度「地域創造大賞(総務大臣賞)」表彰式


写真
左:北村茂男総務大臣政務官から表彰を受ける井手紘一郎真庭市長
右:出席者記念撮影


 平成24年度「地域創造大賞(総務大臣賞)」の表彰式が、1月18日、東京・グランドアーク半蔵門において行われました。この賞は、地域創造設立10周年を記念して、地域における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに特に功績のあった公立文化施設を顕彰する総務大臣賞として創設されたものです。これまでに65館が表彰され、その活動は広く全国に紹介されています。今年度は、レター1月号で発表したとおり全国から7施設の受賞が決定し、北村茂男総務大臣政務官ご臨席の下、表彰式が行われました。
  主催者である財団法人地域創造梶田信一郎理事長の挨拶に続いて、多彩な取り組みが行われている受賞施設の活動について映像による紹介が行われました。表彰状・楯の授与に併せて、北村政務官から新藤義孝総務大臣のお祝いの言葉とともに、「現政権では、地方を重視し、地域の再生を掲げておりますが、日本が元気になるためにも、それぞれの地域が元気になることが必要不可欠です。総務省といたしましても、更なる地域の活性化の観点から、地域の発想を大切にした伝統・芸術・文化の振興、人づくりなどに積極的な支援を行ってまいります」(政務官代読)との力強いエールが送られました。
  また、受賞施設を代表して、真庭市の井手紘一郎市長より「努力を積み重ねてきた市民、職員を評価していただき、大変励みになります。真庭市は、平成の大合併により9町村が合併して誕生しましたが、基礎自治体として地域の一体感を醸成していくのは並大抵なことではありませんでした。それを克服できたのは今日までの文化芸術活動によるところが大きく、中心となったのがエスパスセンターでした。市民の心の拠り所となった文化活動をこれからも大切にして、ふるさとの発展に繋げて参る所存です」と決意を込めた謝辞をいただきました。
  最後に、扇田昭彦審査委員長から、少ない予算で健闘されている小規模の市区町村の文化施設を重視しようという基本的な方針で審査に当たったことなど、選考の模様や各受賞施設についての講評が行われました。
  今回の賞は、受賞された施設のみならず、それらの施設を支え、文化・芸術による地域づくりに参加していただきました地域の皆様のご協力に対する感謝を込めて贈られるものです。心よりお祝い申し上げますとともに、今後のさらなるご活躍を期待しております。


●平成24(2012)年度地域創造大賞(総務大臣賞)受賞施設
◎札幌芸術の森(札幌市)
◎ひたちなか市文化会館(茨城県ひたちなか市)
◎飯田文化会館(長野県飯田市)
◎島根県芸術文化センター グラントワ(島根県)
◎真庭市久世エスパスセンター(岡山県真庭市)
◎とぎつカナリーホール(長崎県時津町)
◎三股町立文化会館(宮崎県三股町)


●平成24年度「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」〜大船渡市リアスホールの取り組み
 地域創造では、平成10年度からクラシック音楽の演奏家を地域に派遣する公共ホール音楽活性化事業に取り組んでいます。今年度は全国12カ所で事業を実施しますが、その中から東日本大震災により甚大な被害を受けた岩手県大船渡市のリアスホールでの事例をご紹介します。
  リアスホールは市民文化会館として2008年にオープンした施設で、大船渡の海食崖(波の浸食によってできた崖)をモチーフにしたユニークな建築で知られています。東日本大震災の際は比較的高台にあったことから津波被害を免れ、一時は470人もの市民の避難所となりました。10月に事業を再開してからは、沿岸部で機能している数少ない公共ホールとして多くの支援事業を受け入れてきました(当時の模様は、地域創造ウェブサイトの震災関連情報欄にメッセージとして掲載されています。
http://www.jafra.or.jp/j/guide/navi/data/message.html#message13)。
  こうした非常事態を事業担当として切り盛りしてきたのが、中村仁彦さんです。震災翌年の2月には、北上市さくらホールが中心となって実施した「公共ホール音楽活性化市町村連携モデル事業」(*)に参加し、ピアニストの新崎誠実さんと事業を企画して、アウトリーチを含む公演事業を実施しました。
  「当時はまだまだ多くの支援事業が無料で行われていて、ホールの日常を取り戻せる状況ではありませんでした。震災前から当館ではクラシックの1000円コンサートを実施するなどクラシックの普及事業に力を入れていましたが、アウトリーチのノウハウが不足していたのでおんかつにも興味をもっていました。街は復興途上で、アウトリーチや有料でコンサートを行うことはとても大変でしたが、訪問先からも評価していただき、親子で演奏会に来る姿を見て、手応えを感じました」と中村さん。その成果を踏まえて平成24年度のおんかつへの参加を決め、昨年11月29日から12月1日まで事業が実施されました。


◎「音話(おはなし)」づくりに挑戦

子どもたちはピアニストの新居由佳梨さん(左)とヴァイオリニストの北島佳奈さん(右)のレクチャーに興味津々。


 今回、大船渡市を訪れたのは、新たな事業担当となった近江啓吾さんが人柄に惹かれて決めたというヴァイオリニストの北島佳奈さんとピアニストの新居由佳梨さんです。アウトリーチは市内の小学5・6年生を対象に行われました。
  その中で特徴的だったのが、「音話(おはなし)」と名付けられたプログラムです。これは、演奏家が「どうしたら子どもたちとの出会いを生かしたプログラムになるか」を考えた企画で、まず、セザール・フランク作曲の傑作『ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調 第4楽章』から3つの部分を抜き出して演奏。子どもたちがそこから受けたイメージを言葉で自由に表現し、それらを使ってオリジナルの物語をつくるというものです。音楽から自由に発想して自分が感じたイメージを発表したり、自分たちの言葉が物語になっていく様子を目を輝かせて見ている子どもたちの姿がとても印象的でした。先生からは、「想像力を育むことが、お互いをわかりあえることに繋がるのではないかと思った」という感想もいただきました。



最終日のコンサートも聴く者を飽きさせないさまざまな工夫が凝らされていた


 最終日のコンサートでは、被災された方々へ「G線上のアリア」を捧げた後、照明で演出を工夫したデュオとソロの渾身の演奏を披露。また、最後に「音話」について紹介し、ソナタの演奏に合わせて大船渡の風景や子どもたちとの交流を写真で映しだすなど、アットホームなコンサートになりました。
  近江さんは、「本番中の客席も終演後のロビーも雰囲気がとても良くて、喜んでいるお客様の姿を見ることができてとても嬉しかったです。この事業を通じて、いろいろな人に支えられている事を改めて実感しました」と語っていました。
  日常のホール活動が戻ってくるには、まだ時間が必要かもしれませんが、ホールを介して二人の演奏家が地域の人たちと出会った今回のおんかつがその第一歩になれば幸いです。


●公共ホール音楽活性化事業(通称:おんかつ)
オーディションで選ばれたクラシック音楽のアーティストと、専門家のコーディネーターを公共ホールに派遣。ホールとアーティストが共同で企画した学校、福祉施設等でのアウトリーチ等と、ホールでの有料コンサートを実施することで、ホールスタッフの企画・制作力の向上を支援し、豊かな地域づくりを目指す事業。

*公共ホール音楽活性化市町村連携モデル事業
おんかつOB館が中心となって近隣市町村のホールと連携して実施するおんかつ事業。

●開催概要
[主催]大船渡市
[共催]財団法人地域創造
[日程]2012年11月29日〜12月1日
[派遣演奏家]北島佳奈(ヴァイオリン)、新居由佳梨(ピアノ)
[アウトリーチ対象]盛小学校6年生、吉浜小学校5・6年生、蛸ノ浦小学校・赤崎小学校5年生、末崎小学校6年生

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