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今月のレポート

福井県鯖江市
7月号-No.219

吹奏楽フェスティバル in SABAE2013


 福井県鯖江市といえば「眼鏡」「越前漆器」を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、今では起業家をバックアップし、オープンデータを推進する「ITのまち」、大学生とまちづくりを進める「学生連携のまち」として注目を集めている(*)。その鯖江市が新たに打ち出したのが、吹奏楽によるまちづくりだ。
  越前市まで含めた丹南地区は吹奏楽が盛んで、北陸大会、全国大会に出場する強豪校が集まるほか、社会人楽団も精力的に活動している。そうした吹奏楽をもっと気軽に楽しんでもらいたいと、昨年からスタートしたのが「吹奏楽ライヴ! in SABAE」だ。今年度は、会期を2日間に延ばし、「吹奏楽フェスティバル in SABAE」として、市内小・中学校6校、丹南地区5高校、市民楽団ソノーレ・ウィンドアンサンブルなどが参加して開催。延べ2,500人が吹奏楽のまちをエンジョイした。

 1日目が新企画の「吹奏楽スペシャルコンサート」で、東京佼成ウインドオーケストラの仲田守さんによる「全日本吹奏楽コンクール課題曲クリニック」と、全国トップクラスの愛工大名電高校吹奏楽部を招いたエンターテインメントなコンサートを開催。会場一杯の小・中・高生たちは、熱心にメモを取りながら鑑賞していた。
  2日目が鯖江市ならではの「吹奏楽ライヴ!」だ。体育館にシートを敷き詰め、飲食自由、出入り自由で、13時から4時間余り、趣向を凝らした小・中・高生の合同演奏、地元出身のプロミュージシャンとの競演等が繰り広げられた。また、体育館前には午前中から屋台が並び、楽器体験コーナーや、親子ブラス、市民バンド、中学生アンサンブルが野外演奏を行い、お祭り気分を盛り上げていた。
  圧巻はラストを飾った約150人の高校生合同バンド。吹奏楽ライヴの企画者であり、武生商業高校吹奏楽部顧問、福井県吹奏楽連盟理事長、そして今回の実行委員長でヴォーカリストでもある植田薫先生が登場し、自身のバンドも加わり大熱演。『Funkyなんやって!』のオリジナル曲などで牧野百男鯖江市長も交えて盛り上がり、観客総立ちで踊るなど、まさに“音楽浴”状態だった。



上:会場が一体となって盛り上がる吹奏楽ライヴ!/下:コンサートに参加している吹奏楽部員による「楽器体験」コーナーも大盛況

 ではなぜ、これほど破天荒な企画が実現したのだろうか。きっかけは地元出身のギタリスト・竹内朋康さんが、牧野市長に気軽に楽しめる吹奏楽イベントを提案したことだった。1995年に開かれた世界体操競技選手権鯖江大会で、3万人もの市民がボランティアとして携わったことが分岐点となり、同市では市民協働を積極的に推進してきた。この提案も吹奏楽顧問の先生を交えて検討され、実行委員会が立ち上がる。
  初日のプログラムを企画した今回の副実行委員長、鯖江中学校吹奏楽部顧問、ソノーレ・ウィンドアンサンブル副団長の廣比知徳先生は、「実現できたのは、丹南地区吹奏楽連盟で学校を越えた合同演奏会を定期的に開催するなど、日頃から繋がりがあったからです。何より、市が事務局を担当して全面的にバックアップしてくれているのが大きい。ソノーレも文化センターを拠点にさせてもらっていますが、昨年は収益金を吹奏楽部の活動支援金に回していただくなど、本当によく理解していただいています」と廣比先生。その言葉どおり、会場では裏方に撤して、楽器運びなどに汗を流す職員の姿が絶えなかった。
  また、教え子のプロミュージシャンに声をかけてライブをコーディネートした植田先生は、「自分たちが心から楽しんで演奏すれば、お客様にも伝わり、ハッピーな心のコミュニケーションができます。それは小さな地域からいずれは世界平和にも繋がる。目標は“世界平和”だ!と半分くらいは本気で主張しています(笑)。ゲストには、彼らの原点である吹奏楽に戻って、そこを基盤にどういう音楽世界を広げているかを地元の子どもたちに見せて、聴かせてほしいと伝えました。これからも吹奏楽と他の音楽ジャンルの垣根を越え、一般の人々との繋がりを広げるイベントにしていきたいです」とコメント。
  6万8千人のまちの営みから生まれたこのフェスティバルによって、音楽の温かい血が鯖江のまちを駆け巡っているような気がした。

(ライター・土屋典子)


●吹奏楽フェスティバル in SABAE2013
[主催]吹奏楽フェスティバル in SABAE実行委員会
[共催]鯖江市、鯖江市教育委員会
◎吹奏楽スペシャルコンサート(5月25日/鯖江市文化センター)
[出演]全日本吹奏楽コンクール課題曲クリニック指導:仲田守(東京佼成ウインドオーケストラ)/課題曲演奏:鯖江中、中央中、東陽中吹奏楽部/招待演奏会:愛工大名電高校吹奏楽部
◎吹奏楽ライヴ!(5月26日/鯖江市総合体育館)
[出演]惜陰小、神明小、立待小、鯖江中、中央中、東陽中、鯖江高校、丹南高校、武生高校、武生商業高校、武生東高校、ソノーレ・ウィンドアンサンブル
[ゲスト(鯖江市出身アーティスト)]竹内朋康(ギター)、大槻真希(ヴォーカル)、白崎志歩(フルート)、Kana(フルート)、ナオリュウ(シンガーソングライター、ルーパー)、平岡愛子(マリンバ)、植田薫(ヴォーカル、バンド「The New Beads」)

*京都精華大学の学生約100人が漆器のまち河和田町に夏休みに1カ月間滞在し、職人などと交流する「河和田アートキャンプ」は、鯖江市がバックアップしているアートによるまちづくりプロジェクトのひとつ。

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