地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

8月号-No.292
2019.8.1(毎月1日更新)

今月のニュース

令和2(2020)年度助成要綱決定

 「地域の文化・芸術活動助成事業」は、地方公共団体等の自主事業の企画制作能力の向上および公立文化施設の利活用の推進等を図るため、地域において自主的に実施する文化・芸術活動を支援するものです。
 また、「地域伝統芸能等保存事業」は、地方公共団体等が実施する、各地域固有の伝統芸能等の記録・保存・継承事業に対して助成するものです。

募集締切:令和元(2019)年9月30日(月)

●地域の文化・芸術活動助成事業

[1]創造プログラム
◎一般分
地域の活性化に寄与する長期的展望を有し、発展的・継続的に事業を実施する上で他の地域の参考となるような顕著な工夫が認められる事業(最大3年間の助成。ただし、各年度の申請を審査した上で決定)。
◎企画制作力向上特別分
 都道府県・政令指定都市が行う自主事業の企画制作力の向上や、他施設への波及効果をもたらす単年度の事業。
※創造プログラム(一般分)とは別枠で利用可能。

[2]連携プログラム
 地方公共団体等が単独では実施できず、経費削減など連携することにより初めて実施できるもので、3以上の地方公共団体等が連携して共同で制作する事業や、そのために行う連絡調整に係る事業(原則1年間。ただし、連絡調整に係る事業は、翌年度の公演等の助成も可能)。

[3]研修プログラム
 公立文化施設等で企画運営に携わる職員や「地域文化コーディネーター」など地域の文化・芸術活動を担う者のスキルの向上、ノウハウの習得などを目指す実践的な人材育成事業(1年間)。

[4]公立文化施設活性化計画プログラム
 公立文化施設の地域において果たすべき役割と、それを実現するための方策を登載した計画を策定する事業。

●地域伝統芸能等保存事業

[1]地方フェスティバル事業
 地方公共団体等が実施する、地域固有の伝統芸能等を保存・継承するための公演事業に対して助成する事業。

[2]映像記録保存事業
 市区町村が実施する、各地域の失われつつあり、かつ記録に残されていない地域固有の伝統芸能等を映像に記録・保存する事業に対して助成する事業。

[3]保存・継承活動支援事業
 市区町村が実施する、地域固有の伝統芸能等の保存・継承のために活動している団体等への支援事業に対して助成する事業。

(参考)平成31(2019)年度
「地域の文化・芸術活動助成事業」採択実績

申請事業数決定事業数
創造プログラム(一般分)8474
創造プログラム(企画制作力向上特別分)2420
連携プログラム2929
研修プログラム1818
活性化計画プログラム00
合計155144

(参考)平成31(2019)年度
「地域伝統芸能等保存事業」採択実績

申請事業数決定事業数
地方フェスティバル事業99
映像記録保存事業119
保存・継承活動支援事業1919
合計3937

令和2(2020)年度「公共ホール音楽活性化事業・支援事業」

事業の枠組みを変更〜わかりやすくシンプルな事業体系および対象経費の拡大により柔軟な事業展開が可能に〜

 公共ホール音楽活性化事業(通称:おんかつ)は平成10(1998)年度より昨年度までの21年間で延べ370団体が実施してきました。その間、公共ホール音楽活性化支援事業(通称:おんかつ支援)に加え、発展継続事業、発展継続支援事業、文化庁連携事業など、さまざまな事業展開をしてきましたが、現行のおんかつ事業およびおんかつ支援事業等を見直し、令和2(2020)年度以降新たな枠組みで事業を実施します。仕組みをわかりやすくシンプルなものとするとともに、対象団体および対象経費を拡大することで、実施団体においては現行の仕組みよりも柔軟な事業展開が可能となります。また、過去に当該事業を実施した団体も一定の条件のもとで改めて参加できるようになりました。
◎公共ホール音楽活性化事業[導入プログラム]
 現行のおんかつ事業から事業内容の変更はありませんが、おんかつ未実施の市町村等に加えて、管理運営者の変更や同一団体内での担当者の変更によるノウハウの蓄積が失われてしまった経験市町村等でも、一定の条件を満たせば実施可能となります。
◎公共ホール音楽活性化支援事業[支援プログラム]
 現行のおんかつ支援事業、発展継続事業、発展継続支援事業、文化庁連携事業を一本化し、原則として最大5カ年までに限り実施可能となります。助成対象経費を上限100万円とし、地域交流プログラムのアクティビティに加えて公演に係る直接経費も対象となり、1年目は2/3、2年目以降は1/2(従来は1/3)を支援します。対象団体は、これまでの経験団体となりますが、過去の実績や提出いただく計画書から判断し、予算の範囲内で選定します。また支援プログラムに申請した場合でも、実施状況によっては導入プログラムからの実施を推奨することもあります。

令和2(2020)年度「公共ホール音楽活性化事業・支援事業」実施団体募集

 新たな仕組みによる公共ホール音楽活性化事業・支援事業の実施団体を募集します。公共ホールの利活用の促進やホールスタッフの企画・制作能力の向上、創造性豊かな地域づくりにぜひ活用ください。概要については、下記表でご確認ください。

募集締切:9月20日(金)必着

2020・2021年度「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」登録アーティストが決定しました

齊藤 一也(さいとう かずや)[ピアノ]

齊藤 一也(さいとう かずや)[ピアノ]

1990年山梨県生まれ。東京藝術大学附属高校、同大学を経て、パリ国立高等音楽院ピアノ科第一課程、第二課程を最高成績で修了。現在ベルリン芸術大学ソリスト科修士課程に在籍中。東京音楽コンクール最高位、日本音楽コンクール第2位をはじめ、カンピージョス、マッサローザ国際コンクールなどで優勝。また、ロン・ティボー、マリアカナルス、サンタンデールなどの著名な国際コンクールでも入賞している。

石上 真由子(いしがみ まゆこ)[ヴァイオリン]

石上 真由子(いしがみ まゆこ)[ヴァイオリン]

日本音楽コンクールなど、国内外のコンクールで優勝・受賞。海外の音楽祭にも多数出演。長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山メンバー。Ensemble Amoibeシリーズ主宰。MusicDialogueアーティスト。CHANEL PygmalionDays室内楽アーティスト。京都コンサートホール登録アーティスト。日本コロムビアよりCD「ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ」好評発売中。

梅津 碧(うめつ みどり)[ソプラノ]

梅津 碧(うめつ みどり)[ソプラノ]

山形県出身。青山学院大学英米文学科卒業。東京音楽大学声楽演奏家コースを首席で卒業。ウィーン、プライナー音楽院を首席で修了。ウィーン国立音楽大学オペラ科に在籍。シェーンブルン劇場『魔笛』(夜の女王)、日生劇場『魔笛』(パパゲーナ)、東京オペラ・プロデュース『ロメオとジュリエット』(ジュリエット)ほか、国内外にて数々のオペラ、コンサートに出演。高い歌唱力と自然な演技で好評を博する。

竹多 倫子(たけだ みちこ)[ソプラノ]

竹多 倫子(たけだ みちこ)[ソプラノ]

第47回日伊声楽コンコルソ第1位および歌曲賞受賞。第82回日本音楽コンクール第1位および岩谷賞受賞。伊・オルヴィエート第20回国際声楽コンクール『蝶々夫人』部門、蝶々夫人役で優勝。2015年伊・マンチネッリ歌劇場・『蝶々夫人』蝶々夫人役、2017年日生劇場・オペラ『ルサルカ』ルサルカ役等出演。平成26年度文化庁新進芸術家海外研修生。平成29年度第28回五島文化財団オペラ新人賞受賞。

新野 将之(にいの まさゆき)[打楽器]

新野 将之(にいの まさゆき)[打楽器]

国立音楽大学卒業。イタリア国際打楽器コンクール、チェジュ国際金管打楽器コンクール、日本国際打楽器コンクールにて最高位を受賞。クラシック音楽に留まらず、パントマイムや朗読を取り入れた多彩なパフォーマンスを展開しており、テレビ等のメディアにも出演している。米国ハニーロック社から自作曲を出版しているほか、海外のコンクールにて審査員を務めるなど国際的に評価されている。

實川 風(じつかわ かおる)・高橋 ドレミ(たかはし どれみ)[ピアノデュオ]

實川 風(じつかわ かおる)・高橋 ドレミ(たかはし どれみ)[ピアノデュオ]

2人のソリストによるピアノデュオ。それぞれの高度な技術とアンサンブルの経験を活かし、室内楽としての4手連弾・2台ピアノ作品の魅力を追究している。“ピアノデュオのイメージが変わった”“オーケストラのように立体的に聴こえてくる”など、各地での演奏会にて好評を博している。

ステージラボ富士見セッション報告

左上:ホール入門コース「アウトリーチを体験しよう」(BLACK BOTTOM BRASS BAND(BBBB)によるアウトリーチ体験)
右上:自主事業コース「自己紹介、意識共有」(多田淳之介さんの講義)
左下:自主事業コース「地域のプログラムを考えるWS[2]〜地域を見る〜」(多田さん、泊篤志さん、白神ももこさんと近隣の難波田城公園を散策)
右下:共通プログラム「本気の文化による街作り」(平田オリザさんの講義)

 令和最初のステージラボは、全国に先駆けて芸術監督制を採用し、平成19(2007)年度には地域創造大賞も受賞している富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(2002年開館)を会場に開催されました。ホール入門コースと自主事業コースの2コースで、公立ホールでの経験豊富なアーティストがコーディネーターを務めました。

参加者の“面白い”を深掘りする〜ホール入門コース

 ホール入門のコーディネーターは、公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)登録アーティスト(2004・2005年度)をきっかけに、15年にわたり全国の公立ホールとさまざまな事業を展開してきたBLACK BOTTOM BRASS BAND(BBBB)のリーダー、トロンボーン奏者のヤッシーさんです。「各地の公立ホールで仕事をして思うのは、大変なことがあっても人生を面白がっている人と仕事をするのは楽しいということ。まずは遊んで、心の奥にあるそれぞれの面白いという気持ちを深掘りし、それを躍動(スイング)させるようなプログラムを考えた」とヤッシーさん。
 ホールの先輩職員である田澤拓朗さん(上田市交流文化芸術センター)による入門講座の後、ヤッシーさんによるイメージトレーニング(身体においしい空気を入れて身体を開き、スイングを楽しむ)やBBBBによるカーニバルのようなアウトリーチ体験、そして同じく登録アーティストのピアニスト・白石光隆さんによる目からウロコのワークショップが行われました。
 白石さんは、楽器を理解するためのピアノ解体ショーなどを行った後、演奏家の身体性について知るワークを展開。「ピアノのような楽器は西洋人に使いやすくできている。例えば農作業では、日本人はクワを手前に引くときにリズムがあるが、西洋人はスコップを土に立てるときにリズムがある。歩行では、日本人は足を下げるとき、西洋人は足を上げるときにリズムを感じる。ピアノを弾くには西洋人のようなリズムにならなければならない」という説明の後、みんなで歩きながらリズムの違いを体感しました。
 このほか、面白さのみ追求した企画・15人以下の参加者を想定した小規模企画をグループごとに考えるワークショップでは、離島をアーティストと一緒に青色に染める「青フェス」「方言ラップ」、アーティストがあえて落とした物を捜す「落とされ物」など、参加者の想像力がスイングしたおもしろ企画が目白押しで、とても楽しい発表会になりました。

地域のホール運営に携わるアーティストが講師〜自主事業コース

 自主事業コースのコーディネーターは、昨年度までキラリ☆ふじみの第3代芸術監督を務めていた演出家の多田淳之介さんです。講師には、松井憲太郎キラリ☆ふじみ館長のほか、第4代芸術監督を共同で務める劇作家・演出家の田上豊さんとダンサー・振付家の白神ももこさんに加え、北九州芸術劇場ローカルディレクターの泊篤志さんという地域のホール運営に携わっているアーティストを配置。参加者たちはタイプの違うアーティストとじっくり交流しました。
 多田さんは、「僕目線だけでなく、田上、白神、館長の4者4様の見方があることを感じてもらいたかった。地域のホールの芸術監督を務めて、僕は劇場での公演と劇場の外で起きていることを同等にとらえられるようになった。アーティストと地域をマッチングするのがホールの仕事だということを参加者に伝えたかった。アーティストとホールは一緒に育っていくものであり、その両輪が上手く回ればお互いに成長できる希望がある」と話していました。
 なかでも面白かったのが、北九州の学生演劇から始まった演劇と劇場にまつわる半生を職業人の歩みとして振り返った泊さんの講義です。東京でのサラリーマン生活を経てUターン。「飛ぶ劇場」の劇作家・演出家として演劇活動を再開するとともに、演劇祭事務局で臨時職員、劇場開設プレイベント事務局で嘱託職員、北九州芸術劇場学芸係で専門嘱託などを務め、その中で他ジャンルとコラボした創作やワークショップ、バックステージツアー、リーディング、高校演劇、演劇人育成、アウトリーチ、市民参加劇、まちなかイベントなどを経験してきました。泊さんは、「地域で演劇を続けるというのは離島の医者みたいなもので、何でも屋であることが求められる。劇場の仕事のひとつは地元演劇人といろいろな人を出会わせること。そこに面白いことが生まれる可能性がある」と話していました。

平田オリザの挑戦〜共通プログラム

 共通プログラムでは、キラリ☆ふじみの初代芸術監督であり、その後もアドバイザーとして長く関わっている平田オリザさんを講師に迎えました。平田さんはご存じのとおり、演劇人として地域の文化によるまちづくりを推進してきたフロントランナー。今年度中に主宰する劇団「青年団」の拠点を自らが文化政策担当参与を務める豊岡市に移転し、2021年4月に開校予定の演劇による人材育成を行う兵庫県立「国際観光芸術専門職大学(仮称)」の学長に就任する予定です。
 2時間にわたる講演は、人口減少社会への問いかけから始まり、富士見市の取り組み、豊岡市の演劇による小中学校教育改革など多岐にわたりました。特に時間を割いて解説されていたのが、2020年から始まる大学入試改革です。「2021年春から行われる大学入学共通テストで『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』に加え、『主体性・多様性・協働性』が評価されるようになる。インターネットの時代には知識(認知スキル)ではなく、学ぶ力、議論する力(非認知スキル)が問われるようになる」と言い、こうした力を養うための演劇による教育改革について力説されていました。最新情報満載の講義に、ホール入門コースでは急遽「平田オリザを振り返る」という時間が設けられるほど刺激的な講義となりました。

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