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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

6月号-No.290
2019.6.1(毎月1日更新)

今月のニュース

令和元年度「公共ホール音楽活性化事業」全体研修会報告

左上:平成30・令和元年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティストによるプレゼンテーション。酒井有彩さん(ピアノ)
右上:同じく登録アーティストの泉真由×松田弦(フルート、ギター)
左下:セレノグラフィカによるダンスワークショップ
右下:「おんかつを知るVol.3〜事例紹介編〜」(左から山本若子さん、塚越慎子さん、花田和加子さん)

 令和元年度公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)の参加団体やコーディネーター、登録アーティストが一堂に会する全体研修会が、4月22日から24日まで地域創造会議室とHAKUJUホール(東京都渋谷区)を会場にして開催されました。今回の研修会では、2年目となる登録アーティスト(平成30・令和元年度)8組による公開プレゼンテーションに加え、今年度の事業に参加する担当者を対象にしたワークショップやレクチャーが行われました。

おんかつの基礎を学ぶ講座

 初日の研修では、公共ホール現代ダンス活性化事業登録アーティストのセレノグラフィカ(隅地茉歩+阿比留修一)によるコミュニケーション・ワークショップが行われました。ペアになって身体を使うワークなどで心と身体を開放した参加者たちは、おんかつについて学ぶ基礎講座や実際の現場を学ぶ事例講座に臨みました。
 事例講座では、平成28年度にテューバ奏者の喜名雅さんを招いた関市文化会館の長尾哲男さん(関市教育委員会)が登壇。市内2カ所の中学校でのアウトリーチや、小中学校の教員と教育委員会の職員の理解を得るための取り組み、演奏会の取り組みについて学びました。
 テューバの演奏会という特殊な公演だったため、コーディネーターのアドバイスを受けて、チラシには“テューバが主役”という大きな文字と普段とは雰囲気の違うアーティスト写真を使い、アウトリーチの実施校など遠隔地から来やすいようにバスの路線図を掲載。関係者の理解を得るために行ったいわゆるインリーチにも大きな効果があったとか。長尾さんは、「この事業をやるのは大変ですが、でも、本当にやりがいがあります」と話していました。
 また、演奏家から学ぶ事例講座では、平成28・29年度登録アーティストとして全国8地域でおんかつ事業を行ったマリンバ奏者の塚越慎子さんが登壇。JA職員を対象にしたアウトリーチで地元の野菜や果物について織り込んだ茨城県鉾田市、特別支援学校でのアクティビティを実施した京都府舞鶴市の取り組みについて学びました。
 「アクティビティでは、音楽に馴染みのない人にどうしたら興味をもってもらえるかを考え、地域の情報を取り入れるなどの工夫をしています。私たちが地元を理解したいと思っていることが相手に伝わり、距離が縮まったと感じたときはとても嬉しかったです。障がいをもつ子どもを対象にしたアクティビティでは、下見のときに、子どもたちの詳細を確認し、手づくり楽器を持参するなど、それぞれが音楽体験できるよう工夫しました。まずは演奏家に要望やアイデアを伝えていただいて、一緒に考えていければと思います」

演奏家の個性溢れる公開プレゼンテーション

 2日目には2年目となった平成30・令和元年度登録アーティスト8組による公開プレゼンテーションが行われました。トップバッターは、昨年度のプレゼンでオカリナの演奏楽器としての可能性・表現力を披露して注目された山本奈央さん。今回は高音のエネルギーを感じてほしいという『夜の女王のアリア』などを披露しました。
 平成30・令和元年度には中野翔太さん、岡田奏さん、酒井有彩さんという3名の実力派のピアニストが登録されています。そのトップを切った中野さんは、ニューヨーク留学時代にジャズも勉強したという技巧派で、ジャズのテイストを織り交ぜたリストの『愛の夢』などの演奏を披露しました。15歳から12年間、フランスに留学していたピアノの岡田さんは、ショパン、ドビュッシー、ラヴェルというピアノ曲の王道を演奏。なかでも小悪魔が飛び回るベルトランの詩集からラヴェルが着想した難曲『スカルボ』の演奏は圧巻でした。昨年はオール・ショパン・プログラムだった酒井さんは、「音楽から広がる想像の世界を旅してもらいたい」とサン=サーンス『白鳥』のピアノ・ソロ版とチェロ版を弾き比べてイメージの違いを表現しました。
 フルート&クラシックギターの泉真由さんと松田弦さんは、磨きのかかった軽妙なトークで会場を沸かせていました。「昨年度は、古民家で肩を寄せあって演奏したり、ふるさとをテーマに絵本作家とコラボしたり、聴覚障がいの子どもに骨伝導でフルートを体感してもらったり、とても感動しました」と泉さん。
 アーバンサクソフォンカルテットは、「ソプラノからバリトンまで、楽器が役割を交替しながら協力して演奏するのがサクソフォン四重奏の醍醐味です」とアピール。また、昨年同様、言葉を失ったオペラ歌手というトリッキーな登場をしたテノールの糸賀修平さんは、「歌詞が外国語でも音楽や演技でいろいろなことが伝わります」と実演し、圧倒的な声量で会場を魅了していました。また、サクソフォンの田中拓也さんは、『G線上のアリア』を即興パートを交えて演奏。「動物をテーマにした曲で子どもたちと一緒にストーリーづくりもしています」と、持ち前の温かい雰囲気で会場を和ませていました。
 個性的な登録アーティストによるおんかつは今年の秋以降に本格的に始まります。近くで開催される取り組みをぜひ視察していただければと思います。

令和元年度「公共ホール音楽活性化事業」全体研修会スケジュール

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