地域創造

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地域創造レター

News Letter to Arts Crew

4月号-No.264
2017.4.1(毎月1日更新)

今月のニュース

ステージラボ豊田セッション報告 2017年2月21日〜24日


写真
左上:迫りに乗るなどして、舞台の構造を学ぶ(ホール入門コース「コミュニケーション・ツールとしての舞台技術」)
右上:音楽コース、中川賢一さんと受講者による発表
左中:共通プログラムではフラッシュモブを体験。市内のショッピングセンターで成果を披露した
右中:最終日に行われた演劇コースの成果発表
左下:オーボエ奏者の石田正さんらの指導でオーボエのリードを製作(ホール入門コース「ワークショップ『リードをつくる』」)


●コースコーディネーター
◎ホール入門コース
林健次郎(公益財団法人愛知県文化振興事業団 愛知芸術劇場 企画制作部長代理 兼 広報・マーケティンググループ チーフマネージャー)
◎自主事業T(音楽)コース
榎本広樹(公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 事業企画部 音楽企画課長)
◎自主事業U(演劇)コース
岩崎正裕(劇作家・演出家/劇団太陽族主宰、 AI・HALL〈伊丹市立演劇ホール〉ディレクター)


 今回は、トヨタ自動車が本社を置く企業城下町であり、オリンピック級のアスリートが多数在籍する中京大学が立地する豊田市で開催されました。会場となった豊田市民文化会館は、かつて挙母城(通称:七州城)のあった高台の一角に立地し、近くには国際的な建築家として知られる谷口吉生設計による豊田市美術館もあります。豊田市民文化会館を指定管理者として運営する豊田市文化振興財団はジュニアオーケストラの育成に力を入れ、現在、小学4年生から大学2年生までの64人の団員が活動しています。豊田セッションでは、ホール入門コース、音楽コース、演劇コースが開講され、共通プログラムでは中京大学ダンス部の和光理奈監督と一緒につくったフラッシュモブも披露されました。


●公立ホールの先輩がコーディネート
 ホール入門コースと音楽コースのコーディネーターを務めたのは、かつてのステージラボ受講生であり、長年にわたって地域の公立ホールの現場で経験を積んできた先輩の林健次郎さんと榎本広樹さんです。林さんは扶桑町の扶桑文化会館、春日井市民会館、愛知県芸術劇場、榎本さんは、アウトリーチ活動で知られる小出郷文化会館、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館でホール事業に携わってきた実務家です。
  ホール入門コースでは、豊田市民文化会館の舞台技術者が全面協力し、実際のホールで技術スタッフの仕事を学ぶゼミ「コミュニケーション・ツールとしての舞台技術」が行われました。綱元や迫りを実際に動かしながら危険な箇所を体験するとともに、音響の八の字巻きなどの基本技術を学びました。林さんは「舞台技術者と交流できないホール職員も多い。照明のバラシが手伝えるようになれば、事務職、企画職である受講生と舞台技術者との溝が埋まり、コミュニケーションを取るきっかけになります」と話します。
  また、演奏者を理解するちょっと変わった試みも行われました。オーボエ奏者は音色を左右する木製リードを自分たちで手づくりします。今回は、演奏家の指導により、材料の葦の茎からリードを削る仕上げ作業を体験。そのリードを使った演奏にも耳を傾けるなど、演奏家の日常に触れるゼミとなりました。
  音楽コースでは、榎本さんの経験を伝えるチケットセールス方法などの音楽事業制作ゼミが連日行われました。また、今回最も力を入れたのが、演奏家と受講生のコラボレーションによる創作ワークショップです。おんかつ支援登録アーティストであるピアニストの中川賢一さんと打楽器・マリンバ奏者の宮本妥子さんの全面協力により、2チームに分かれて計7時間にわたる創作ワークショップが行われました。発表では、「現在・過去・未来」と「春夏秋冬」をテーマにした事前課題の作文を素材に、受講生のリーディングと音楽家による即興演奏でつくり上げられた緊張感溢れるパフォーマンスが披露されました。


●地域社会における演劇の有効性を学ぶ
 演劇コースのコーディネーターを務めたのは、劇作家・演出家であり、伊丹市のAI・HALLディレクターでもある岩崎正裕さんです。今回は、「地域社会における演劇の有効性」をテーマに、教育現場で実際に行われているアウトリーチを体験するゼミや、演劇を地域活性化に有効活用している三重県文化会館の事例を学ぶゼミなどが行われました。
  アウトリーチについてのゼミでは、地域創造のリージョナルシアター事業派遣アーティストとして豊かな経験をもつ劇作家・演出家/田上パル主宰の田上豊さんが講師となり、実際に学校で行っているワークショップの一端を体験。グループに別れて簡単な台本づくりを行い、劇場内で好きな場所を選んで発表しました。田上さんが、「台本はつくったグループが上演するのではなく、シャッフルし、発表後は必ず講評します。台本を交換するとスタート位置がフラットになり、書いた人の自意識から開放されて演出の自由度が広がる。他の人が演出することによって他者の想像力が入り、書いたチームは自分たちがつくったものを客観的に見ることができます。また、外部から来た人が講評することにより、演劇の見方を伝えることができますし、自己肯定感をつくり出すことができます」とプログラム構成について解説。何気なく受けていたワークショップの隠された意図を知り、受講生は納得の表情でした。
  また、演劇による地域活性化事例では、公立ホールと民間小劇場を運営するNPOがタッグを組み、街中の飲食店で食事付きリーディングを行う人気企画「M-PAD」など、さまざまな事業を展開してきた三重県文化会館事業課長の松浦茂之さんとNPO法人パフォーミングアーツネットワークみえ代表理事/津あけぼの座・四天王寺スクエアプログラムディレクターの油田晃さんが講師として登壇。「他でやっていて面白いと思ったことはパクればいいと考えています。M-PADも仙台で行われている『杜の都の演劇祭』がモデルです。みなさんは劇場単位で考えていると思いますが、僕は津市という町単位で事業を考えてきました。本気で演劇をよくしようと思っている民間小劇場があるのだったら、そこと組んだ方がいいに決まっています。今では文化会館の事業を津あけぼの座でやるなど、官民協働でさまざまな連携を図っています」という松浦さんの取り組みは沢山のヒントで溢れていました。
  このほか、受講生が俳優となり、岩崎さんと名古屋在住の鹿目由紀さんがラボのために書き下ろした短編台本を上演するなど、贅沢なプログラムとなりました。


豊田セッション プログラム表

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