地域創造

WWW を検索 jafra.or.jp を検索 powered by google

書庫

戻る

地域創造レター

News Letter to Arts Crew

8月号-No.280
2018.8.1(毎月1日更新)

今月のニュース

平成31年度助成要綱決定

 「地域の文化・芸術活動助成事業」は、地方公共団体等の自主事業の企画制作能力の向上および公立文化施設の利活用の推進等を図るため、地域において自主的に実施する文化・芸術活動を支援するものです。
 また、「地域伝統芸能等保存事業」は、地方公共団体等が実施する、各地域固有の伝統芸能等の記録・保存・継承事業に対して助成するものです。

募集締切:平成30年10月1日(月)必着

地域の文化・芸術活動助成事業

[1]創造プログラム
◎一般分
 地域の活性化に寄与する長期的展望を有し、発展的・継続的に事業を実施する上で他の地域の参考となるような顕著な工夫が認められる事業(最大3年間の助成。ただし、各年度の申請を審査した上で決定)。
◎企画制作力向上特別分
 都道府県・政令指定都市が行う自主事業の企画制作力の向上や、他施設への波及効果をもたらす単年度の事業。
※創造プログラム(一般分)とは別枠で利用可能。


[2]連携プログラム
 地方公共団体が単独では実施できず、経費削減など連携することにより初めて実施できるもので、3以上の地方公共団体が連携して、共同で制作する事業や、そのために行う連絡調整に係る事業(原則1年間。ただし、連絡調整に係る事業は、翌年度の公演等の助成も可能)。


[3]研修プログラム
 公立文化施設等で企画運営に携わる職員や「地域文化コーディネーター」など地域の文化・芸術活動を担う者のスキルの向上、ノウハウの習得などを目指す実践的な人材育成事業(1年間)。


[4]公立文化施設活性化計画プログラム
 公立文化施設の地域において果たすべき役割と、それを実現するための方策を登載した計画を策定する事業。

地域伝統芸能等保存事業

[1]地方フェスティバル事業
 地方公共団体が実施する、地域固有の伝統芸能等を保存・継承するための公演事業に対して助成する事業。


[2]保存・継承活動支援事業
 市区町村が実施する、地域固有の伝統芸能等の保存・継承のために活動している団体等への支援事業に対して助成する事業。

※映像記録保存事業は平成31年度も実施予定ですが、現在詳細について検討中です。

現在検討中の事業

道路、公園等の公共空間で行われる文化・芸術活動で一定のものを新たに助成対象とすることについて現在検討中です。


(参考)平成30年度「地域の文化・芸術活動助成事業」採択実績

申請事業数決定事業数
創造プログラム(一般分)9871
創造プログラム(企画制作力向上特別分)2516
連携プログラム6652
研修プログラム2110
活性化計画プログラム30
合計213149

(参考)平成30年度「地域伝統芸能等保存事業」採択実績

申請事業数決定事業数
地方フェスティバル事業159
映像記録保存事業55
保存・継承活動支援事業2018
合計4032

ステージラボ滋賀セッション報告

左上:自主事業(音楽)コース「サウンドと語り合う〜イメージ編〜」(松本太郎さんから尺八のレクチャーを受ける)
右上:事業入門コース「コンテンポラリーダンス編 ワークショップを経験して、クリエーションと公演を企画から創ってみる」
左下:ホール入門コース「夢宣言」
右下:共通プログラム「合唱の愉しみ〜人はなぜ歌声を和することに喜びを感じるのか?」

 文化芸術に携わる職員を対象に平成6年より実施し、これまで3,120人が受講しているステージラボは今回で49回目を迎えました。今回はホール入門、事業入門、自主事業(音楽)の3コースが開講され、56人の方が参加されました。会場となったのは、開館20周年を迎えるびわ湖ホール(滋賀県立芸術劇場)です。現在は2代目の沼尻竜典さんが芸術監督を務め(初代は故若杉弘さん)、開館当初からプロデュースオペラや子どものためのオペラを制作。日本で唯一の専属声楽アンサンブルを有する“関西オペラの拠点”として知られています。

原点に立ち返った入門2コース

 入門者向けに、公立ホール職員として自らと向き合う「ホール入門コース」と、舞台芸術の事業企画について考える「事業入門コース」の2コースが開講されました。前者のコーディネーターは地域創造の調査研究事業で全国をリサーチしてきたニッセイ基礎研究所の吉本光宏さん、後者が地域創造プロデューサーであり、びわ湖ホールや北九州芸術劇場、サントミューゼの立ち上げに携わった公立ホールの第一人者である津村卓さんです。
 ホール入門では、自治体規模別のグループで徹底的なディスカッションが行われました。受講生たちは、事前課題として作文「ホールで実現したいこと」を提出。社会と関わりながら育成から鑑賞まで循環するプログラムを実践するホールやNPOの先進事例を学び、中川賢一さん(ピアニスト)と宮本妥子さん(パーカッショニスト)が北海道深川市で小中学生を対象に行い、手応えを感じたというアウトリーチ・プログラムを体験。ステージ上でアーティストを囲むように座った受講生たちは、雰囲気のある照明の中、メトロノームを小道具のように使ったカーゲルの現代音楽『MM51』、ピアノとパーカッションの前衛的なコラボレーションなど妥協のない演奏にふれ、改めて舞台芸術の真髄について思いを巡らせていました。
 最終日には、ひとりずつステージに立ち、ホールで実現したい“夢”を宣誓。「マルシェをやりたい」「自分を変え、地力を上げていきたい」「一時的なものに終わらせない、参加から始まる好循環を実現したい」「大きなリビングルームのような場にしたい」「市役所の職員との繋ぎ役になりたい」「ものづくりの魂がまちの資産」などなど、それぞれの思いを言葉にしていました。
 事業入門では、演劇、音楽、ダンスのジャンルごとに、地域での豊富な経験をもつアーティストのワークショップと実務家の講義を受け、ホールでの事業企画としてまとめる「体験から企画まで」を各4時間で行う実践に挑みました。
 音楽では、宮本さんが仏具のオリンやさまざまな道具による音世界を披露し、打楽器の幅広い魅力をアピール。それを踏まえて演奏家と意見交換し、企画づくりを行いました。また、ダンスでは、セレノグラフィカ(隅地茉歩さん、阿比留修一さん)とJCDN代表の佐東範一さんが、これまでのノウハウを踏まえた新たなワークを展開。参加型で人の動きをつくり出すための手法を学び、グループに分かれて振付家・音楽家・衣装家・照明家などの役割分担を行い、ダンス作品の模擬創作体験を行いました。隅地さんは、「あらかじめ学んだことを皆さんが自主的にアレンジされていて、そのアプローチがプロの振付家と同じだったのでとても感動した。つくるということはそれほど特別なことではないので、もっともっとホールでダンスをつくっていただきたい」とエールを送っていました。

風土とびわ湖ホールに学んだ音楽事業〜自主事業(音楽)コースと共通プログラム

 自主事業(音楽)コースのコーディネーターを務めたのは、2017年まで沖縄県南城市のシュガーホール芸術監督を務めた作曲家の中村透さんです。初めに地域の音資源について語り合い、各々の問題意識をもって、北島佳奈さん(ヴァイオリニスト)、松本太郎さん(尺八奏者)と協働して音楽パフォーマンスをつくるコラボレーションに挑みました。
 まず、演奏家からそれぞれの楽器について学習。松本さんは尺八について、レファソラドの5音しかないこと、演奏法によって十二平均律にも対応できること、ムラ息奏法、西洋音楽の形式を取り入れた尺八の創作音楽などを紹介。「西洋音楽は小節という刻まれた時間の中に音楽があるが、日本の音楽は自分の中に時間がある」(中村)という邦楽の特徴にふれた尺八チームの受講生は、まるで労働を象徴するかのような槌音の響き、風や祭りのざわめき、谷川俊太郎の詩『生きる』の言葉、松本さんの尺八の響きを構成し、自然と人間の営みを見事に表現したパフォーマンスを披露しました。また、地域を再発見するフィールドワークとして、大津市歴史博物館と三井寺の視察も行われました。
 今回の共通プログラムでは、びわ湖ホールの声楽アンサンブル(全国規模のオーディションにより選考された劇場専属ソリスト16 名)の取り組みを学ぶとともに、合唱の楽しみにふれるワークショップが行われました。今回は、その桂冠指揮者であり、大阪音楽大学学長の本山秀毅さんから直接指導を受けるという贅沢なワークショップになりました。最初はまともに声の出なかった受講生たちは、本山さんの一言一言で魔法にかかったように共鳴しあい、最後はひとつの響きになっていました。「日本では大人になると大勢で合唱する機会がないが、6万人で合唱する国もある。合唱はみんながそれなりに参加できるものであり、共鳴と呼吸が大切」と本山さん。合唱の大いなる可能性を体感した貴重な機会となりました。

ページトップへ↑