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今月のレポート

さいたま市

プラザノース「ノースであそぼう!あーとひろばの日2018」

 北区役所、北図書館および市民文化活動支援施設を集約したさいたま市(*1)のプラザノース(以下、ノース)が10周年を迎えた。この施設は北区の地域拠点としてPFI方式によって整備されたもの。その特徴となっているのが、PFI事業者が設計段階から関わり、「コミュニティ機能」「芸術創造・ユーモア機能」のために提案した多彩なアトリエなどを活用した体験講座で、年間約120件(単発講座、連続講座など)も実施されている。5月20日、PFI施設と集約型施設の現場を取材するため、市民参加イベント「ノースであそぼう!あーとひろばの日」を訪ねた。

ものづくり体験ブースの様子

 これは2012年にスタートし、今年で7回目。電動ろくろや糸のこなどを体験するオープンアトリエ、市民文化団体や講師によるドラム、ウクレレ、キッズダンス、ヨガなどのワークショップ、フラワーアレンジメントやクラフトなどのものづくり体験ブース、若手美術家による展示など、週末を中心に多彩な催しが行われた。
 取材当日には、メインイベントとしてブラック・ボトム・ブラス・バンド(以下、BBBB)による1日音楽体験を実施。BBBBと植竹中学校吹奏楽部と飛び入り参加者が隣接するショッピングモールで野外演奏した後、みんな一緒にノースに向かってパレード。ホールコンサートは、演奏に誘われて入場した家族で大盛況だった。

「わっしょいパレード」

 施設長の関口ふみさんは、「ノースらしいアートを主体としたイベントをという市の要望を受け、予約なく誰もが当日来て参加できるものとして企画した。普段は交流のない施設の利用者と来場者との接点をつくる機会になればと、オープンアトリエや文化団体の方を公募した創作のひろばを行っている。図書館やショッピングモールの利用者が創作活動と出合うきっかけにもなっており、続けてきたことでノースの認知度も上がっている」と話す。
 現在、人口約14万7千人の北区は、2003年に政令指定都市に移行したのを機に誕生した副都心。ノースは旧大宮市の市民文化交流施設構想を引き継いだものだ。旧浦和市に同様のプラザイースト、プラザウエストがあったことを踏まえ、加茂宮駅前の富士重工大宮製作所跡地を、ノースを含む芸術文化・行政・商業・業務などの機能を集積した「ノーザンハートきたまち」として再開発し、県北からの玄関口となっている。
 さいたま市文化振興課の鈴田功至さんは、「北区は漫画家・北沢楽天ゆかりの地であり、ユーモアもノースのテーマのひとつになっている(*2)。さいたま市は人口約10〜15万人の区で構成されており、「ノーザンハート」きたまちにはこれから病院も出来るなど、都市機能が集約されて市民がいろいろなことをして過ごしやすい町になっている。文化施設の利用者には高齢者が多いが、ここは子育て世代も多く、ノースには若い世代も訪れている。そこを突破口にして、文化施設に無関心な働き盛りの世代が週末都内に行くのではなく、地元の施設で楽しむモデルケースになってくれればと個人的には思っている。そのためには地道に“小さな成功事例を積む”ことが重要だと考えている」と話す。
 施設長に「ヒット講座は?」と質問すると、「やさしいヒップホップ」「陶芸入門教室」「ハーブ入門」「無添加パン教室」「おやこヨガ教室」、そして自分力を磨くメディア講座の「デジタルカメラ初級講座」「SNSはじめて講座」…という返事が返ってきた。その他にも中高年のための音楽講座(ジャズピアノ、カンツォーネ、長唄)、鉛筆デッサン教室、水墨画教室、書道教室、短歌入門など多彩な講座が並ぶ。そして、「市民が創作活動に触れあうきっかけを提供し、継続できる場を提供していくのが(PFI事業者として求められている)私たちの使命」と続けた。
 さいたま市では活力ある都市づくりの新たな指針として「さいたま市文化芸術都市創造条例」(*3)を掲げ、市民等が文化芸術を楽しむライフスタイルの確立を標榜しているが、ノースでは親が買い物をしている間に子どもがダンスを学び、役所の手続きのついでに長唄を習い、低料金で文化生活を楽しむスタイルが生まれつつある。これが地域力にどう還元されていくのか、新市のこれまでにないストーリーをぜひとも読んでみたいと思った。 (編集部:坪池・三田)

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