まつりのテーマは「怨霊」。ちょっと意外な感じもしますが、実はこの「怨霊」、日本各地に伝わる多くの祭や伝統芸能の基本となるテーマなのです。怨霊を鎮め、息災、安寧を願う人々の思いが形になって今に伝えられています。今回はそうした祭や伝統芸能が登場。私たちのまわりは意外とたくさんの「怨霊」にあふれているのかもしれませんよ・・・。
鬼剣舞
(おにけんばい)
(岩手県北上市)
2月24日(土)実演
鬼剣舞は、北上地方の農民たちが伝承する民俗芸能。盆の精霊供養のために踊る風流念仏踊りの一種で、正式には「念仏剣舞」と称すが、威嚇的な鬼の面をつけ、勇壮に踊るところから「鬼剣舞」と呼ばれ親しまれてる。大同年間(806〜810)に羽黒山の法印・善行院が荒沢鬼渡大明神で、大日如来の化身から悪霊退散・衆生済度の念仏踊りとして伝えられたのが始まりとも、また、大宝年間(701〜704)に修験の祖・役行者小角(おづぬ)が、厄を祓い天下太平を願って念仏を広めるために始めたともいわれている。
【北上市】
高千穂神楽(宮崎県高千穂町)
2月24日(土)実演
天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩屋戸に隠れられたおりに岩戸の前で天鈿女命(あめのうずめのみこと)が調子面白く舞ったのが始まりと伝えられ、古来人々は永い間、それぞれの地区の氏神様の祭りとしてこの神楽を伝承し、今日に及んでいる。毎年11月の末から翌年2月にかけて各地農村で、三十三番の夜神楽を奉納し、秋の実りに対する感謝と翌年の豊穣を祈願する。神楽の順序は、行われる地域によって異なる。夜神楽は、午後2時頃の宮神楽、道行き神楽(御神幸)、舞入れ、御神屋始めに始まり、夜を徹して三十三番の神楽を舞い明かす。
【高千穂町】
手杵祭り(福井県小浜市)
2月24日(土)映像のみ
毎年4月3日に行われる矢代地区加茂神社の例祭。奈良時代に矢代の浜に漂着した唐の女王の一行を財宝に目がくらんだ住民が襲い惨殺した言い伝えを悔み、たたりを恐れた子孫が平安時代からこの祭りを始めた。祖先の行いを再現することで、その悪行の戒めとするとともに女王らを供養すると伝えられている。劇の配役は、主催の大禰宜を始め、区の住民(戸主・長男・娘)が務めなければならない。杵や弓を持った村人役の男性8人と、唐船にみたてた木製の丸太船をかかげた舟かき役の青年6人、女王・侍女役の少女3人が太鼓とともに唄いながら境内をまわり、女王一行を惨殺するシーンが演技される。
【小浜市】
なまはげ(秋田県男鹿市)
2月24日(土)実演
秋田県男鹿半島に伝わる奇習で、戦前は旧正月の1月15日に行われるたが、戦後からはほとんど大晦日に行われている。木や皮で作った面をつけ、藁でできた衣装を着て、包丁や御幣などを持ち、なまはげに扮した2、3人の若者が、奇声を上げながら家々をまわる。各家では家の主人が正装で迎え酒肴でもてなす。共同社会の秩序の維持を図ることを目的とする行事で、そのため、それぞれの家に新しく加わった構成員、子供や初嫁に対して,共同社会の権威を示し、また祝福を与えるものであるとされる。
【男鹿市】
新居浜太鼓祭り(愛媛県新居浜市)
2月24日(土)実演
絢爛豪華かつ勇壮な男祭りとして全国に知られ、10月16日から18日の期間中、約30万人の観衆を集める。金糸、銀糸で立体刺繍された飾り幕を付けた、高さ5.4m、長さ11m、重さ約2.5トンもの太鼓台を、約150人のかき夫と呼ばれる男衆が担ぐ。この新居浜太鼓台は、祭礼の神輿渡御の際、神輿に供奉する山車の一種で、もともと豊年の秋を感謝して氏神に奉納していたもの。発祥時期は不明だが地域の伝承では平安時代あるいは鎌倉時代ともいわれる。太鼓台は、別子銅山の開坑により産業や地域経済が発達するにつれ巨大化、祭りの主役となった。市内4地区に分かれて神社などでの勇壮なかき比べが行われる。
【新居浜市】
神田祭(東京都)
2月25日(日)実演
5月15日(明治以前は9月)に開催される神田明神の祭礼。8世紀に創設された神田明神は、1309年に平将門の霊を祀り、江戸時代には江戸城の鬼門の守護神となった。天下祭、御用祭ともいわれ、山王日枝神社と並び、江戸の二大祭とされた。江戸時代には、神輿の渡御の際、氏子各町内から36台もの山車が加わり、地域内を巡幸して壮観を極めた。
西馬音内盆踊り
(にしもないぼんおどり)
(秋田県羽後町)
2月25日(日)実演
秋田県羽後町伝統の盆踊り。他の盆踊りとは趣が異なり、野生的で激しい囃子と、対照的に流れるような動きの上方的な美しい踊りが特徴。その由来は諸説あり、豊年踊りとして始まった説、落城した城主の為の家臣による慰霊祭として始まった説が伝えられている。かがり火の照らす幻想的な空間に、踊り手の美しい衣装が優雅に舞い、それとは対照的な華やかで勇ましい囃子が響き、独特な世界を醸し出す。見る者を幽玄の世界へと誘う祭り。
【羽後町】
花祭り(愛知県東栄町)
2月25日(日)実演
鎌倉時代末期から室町時代にかけて始まったと言われている一種の神楽。「花」の由来は諸説ある。五穀豊穣祈願から、五穀の「花」を意味するという説、極楽浄土を指すとする説、また、奥山に没した花山院の怨霊を慰めるための祭、花山祭の略であるとする説など。従来、当番の宿「花宿」の土間を舞処としていたが現在では地区の公民館などで行われることが多い。当日は、かまどを築いて湯をたぎらせ、一昼夜舞う。見どころは「鬼の舞」。鬼とともに町の人も観光客も囃子声をあげ盛り上げる。そのあとの「湯ばやし」も山場の一つ。舞子が釜の中の湯を振りかけまわり、湯を浴びると一年間健康で過ごせるという。
【東栄町】
エイサー(沖縄県沖縄市)
2月25日(日)実演
旧盆(盂蘭盆)に行われる沖縄の代表的な芸能の一つで、独特の衣装を着た青年男女が太鼓を打ち鳴らし、舞いながら家々をまわる。仏典を広めるために発生した念仏踊りがしだいに姿を変えていったもので、沖縄本島の北部から中部で特に盛ん。各部落で青年団があり、踊りや歌もそれぞれに特色がある。
【沖縄市】
■上記出演日時、変更の場合もございます。