地域伝統芸能まつり

このまつりは、ジャンボ宝くじの売上金から助成を受けて実施しました。


 応募総数およそ一万二千通の中から、幸運にも抽選で選ばれた方々で、その日NHKホールは3階席までほぼ満員でした。照明が落ち、ざわつきが落ち着くと、午後3時4分、和太鼓奏者・林英哲の敲く大太鼓で、第一回「地域伝統芸能まつり」の幕が開きました。当日の出演者が、和楽器ロックバンド「六三四」が奏でるビートの利いたテーマ曲にのって、ステージに登場。民俗芸能の衣装を身にまとった地域の方々や、はっぴ姿の威勢のいい若者、そして凛とした立ち居ふるまいの能楽師・狂言師など、地域の芸能と古典芸能が一堂に会する初のイベントとしてのこの「まつり」への期待感が高まるオープニングとなりました。

司会は葛西聖司(NHKアナウンサー)と女優の藤村志保。なじみがあまり無く、難しいと思われがちな古典芸能や、都会では触れる機会のあまりない地域の民俗芸能を、落ち着いた語り口でわかりやすく紹介。豊富な知識に基づく、それぞれの芸能や祭りのいわれや意義などの解説に、「なるほど」と思った方々も多かったことでしょう。

 

24日
25日
鬼剣舞
(岩手県北上市)
勇壮な大人の舞に続いて保育園児の愛らしい演舞に盛んな拍手が。地域が郷土の芸能を誇りとし、大切にする姿が印象的でした。
神田祭(東京都)
江戸の心意気が2日目のトップを飾りました。朗々と響く木遣りの荘厳な雰囲気から神輿のお囃子へ。会場は一気に「まつり」ムード。


高千穂の夜神楽
(宮崎県高千穂町)
舞台上には、素朴な民家と、高千穂の真冬の夜が再現されました。どこか懐かしい、日本の原風景がここにあります。
琵琶「平家物語〜耳なし芳一」
初めて聴く琵琶に感動した方も多かったようです。一人語りの琵琶の音が亡霊の恐ろしさ、そしてもの悲しさを引き立てます。


新作狂言
「ムツゴロウ」
「古典芸能は現代も生き、創作し続けられている芸能だ」(梅原会長)の言葉どおり、世相風刺がふんだんに盛り込まれ、爆笑の連続。
西馬音内盆踊り
(秋田県羽後町)
星空を背景に、かがり火に照らされて揺れるあでやかな舞い姿には、観客からため息ももれるほど。会場は幽玄な雰囲気に。


「恋重荷」
恋にさいなまれ怨霊と化した老人の、押し殺した中にもあふれる情念が鬼気迫る。当代一流の能楽師ならではの迫真の舞台でした。
花祭り
(愛知県東栄町)
土の匂いがする素朴な芸能、覚えやすく親しみやすい笛の音に不思議な懐かしさを感じます。


舞楽「蘇莫者」
古代から伝わる天王寺舞楽の秘曲。初めて見る方も多いはず。エキゾチックな衣装と音曲に大陸の匂いが感じられます。
文楽「菅原伝授手習鑑・ 天拝山の段」
人形とは思えない絶妙な動き、表情が観客を釘付け。大夫のせりふとともに迎えるクライマックスに拍手が鳴りやみません。


なまはげ
(秋田県男鹿市)
知っているようで知らない素朴な芸能に会場は興味津々。土地の言葉でのやりとりに心がなごみます。ふるさとの習俗の大切さを実感。
新作能「無明の井」
臓器移植という現代的なテーマの重みが古典であるはずの能によって見事に表現。脳死の漁師の表情が胸に迫ります。


新居浜太鼓祭り
(愛媛県新居浜市)
幕が上がると二百人のかき夫が姿を現し、巨大な神輿がせりに乗って登場。大迫力に会場は一瞬どよめき、そして祭のフィナーレへ。
狂言「蛸」
滑稽ながらももの悲しい無惨な自らの死に様を語る蛸の亡霊。笑いが多い狂言ですがこんなのもあったのかと思わせる作品。

エイサー
(沖縄県沖縄市)
ご存知南国沖縄の陽気な「盆踊り」。若者の打ち鳴らす太鼓と指笛に乗って観客も一気に舞台へ。感動的なフィナーレでした。

 

消滅の危機にある地域の芸能の中には中央のメディアに取り上げられたり、地域外の人に評価されることで、その価値を見いだされ、それにより地域の人自らが見直し再興しているものも多くあります。「地域伝統芸能まつり」は、そうしたきっかけとなるよう、受け継ぐ人々に自分たちの芸能を見直していただき、そしてまた全国の人々に日本のよさを再認識していただく、そんなイベントになっていけばと願っています。

 

◇◇◇アンケートから◇◇◇
期待をはるかに越えた素晴らしさ、充実した一日。
なかなか地域の伝承行事に触れる機会が無い中、ステージで再現された舞台は見応えがあり、21世紀を迎えた時に、最も必要な企画であると感じた。
来て良かったです。始めも終わりも最高でした。ありがとうございました、感激しました。
古典芸能と地域の祭りに共通する精神、信仰をまとめて理解させて下さる趣向、大変に参考になりました。
ジャンボ宝くじがこんな有効に使われているので私も宝くじを買います。本当にありがとうございます。
異なる伝統芸術を一度に見せて貰って本当に贅沢な一時でした。日本各地の暮らしの中で受け継がれたものと芸術分野に発展したものを対比でき、力強く感じた。
今後も演じてもらいたい。各演出に感動し、涙が出た!
文化はすごいと思いました。文化を受け継いでい、残していこうとする人々の思いや努力の結晶を見ました。心をなごませ、平和をもたらしていくのも文化だなあと感 じました。
とても贅沢な企画だったと思います。これだけのジャンルのものを一度に見られる なんて幸せ!伝統の芸能のはずなのに、なぜ見る機会が少ないのでしょうね。不思議です。手を変え品を変え、こういう企画をこれからもお願いします。名残おしいです。ありがとうございました。