まつり当日の様子 地域伝統芸能まつり


2月14日
麒麟獅子舞鬼太鼓佐渡おけさ・相川音頭撞舞
古典落語「田能久」松田の獅子舞い・夢宝太鼓牛鬼
2月15日 御陣乗太鼓遠野の昔語・青笹しし踊り淡路人形芝居
スーパー狂言「王様と恐竜」姫島盆踊り八代妙見祭

【大道芸】
【地域情報PRコーナー】
地域伝統芸能アンケートに寄せられたご感想


第4回 地域伝統芸能まつり
テーマ「変化(へんげ)」
 日本各地で受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介している「地域伝統芸能まつり」。4回目を迎える今年は、応募総数が2日間分の合計で1万4千通を上回るたくさんのご応募をいただきました。ご応募をいただきました皆様、誠に有り難うございました。当日は、両日とも晴天に恵まれ、多くの来場者を迎えることができ、会場は超満員でした。
 さて、今年はテーマ「変化(へんげ)」にまつわる各地の地域伝統の中から13の地域伝統をご披露いただきました。
 また、今回地域伝統芸能まつりでは初登場の古典落語や、2年ぶりに登場した新作スーパー狂言や新作能など盛りだくさん全15演目でした。

【司会】
 司会は、昨年と同じく2回目のNHKの阿部渉アナウンサー、そして、3回目の女優の竹下景子さんでした。お二人ともそれぞれの演目が終わる毎に、出演者にやさしく話しかけ、演じている内容の謂われや何を表現しているのか、練習での苦労話などを聞き出し、各地で地域伝統を受け継いでいる人々の姿を会場のお客様にわかりやすいようにうまく引き出していました。




■第1日 2月14日(土) 午後3時開演

 定刻通り午後3時の開演を迎え、会場内は照明が暗くなり、幕が開くと舞台には2頭の獅子による舞が始まりました。松本源之助社中による江戸の里神楽です。2頭の獅子の舞が終わると、舞台が鎮守の境内へと変わり、和楽器ロックバンド「六三四」による「地域伝統芸能まつり」のテーマ曲「曼陀羅21序章」の演奏が始まり、舞台の両側から出演者が紅白の鮮やかな手拭いを振りながら登場、客席からの手拍子で迎えられ、出演者全員が揃ったところで「ワッショイ!!」の大きな掛声、まつりの雰囲気を盛り上げていました。


麒麟獅子舞<きりんじしまい>  〔鳥取県鳥取市/因幡麒麟獅子舞の会〕

麒麟獅子舞 麒麟獅子舞は、頭には空想の神聖な動物、麒麟がついており、額に1本の角が生えている、因幡地方だけに伝わる独特な獅子舞です。鳥取市を中心に144の地区の神社で継承されており、それぞれの獅子は決して同じものがなく、獅子頭や蚊帳(胴体)のデザインは微妙に異なっているそうです。今回はたくさんある中から5地区の合同公演が行なわれました。合同公演の試みは初めてということで、普段とは違った獅子舞を見ることが出来ました。

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鬼太鼓<おんでこ> 〔新潟県佐渡市/加茂歌代鬼太鼓組〕

鬼太鼓 3月1日に1市7町2村が合併して新しく佐渡市が誕生することをお祝いして、佐渡の伝統芸能がメドレーで披露されました。
 最初に、すさまじい形相をした鬼の面を付けて、激しい太鼓を打ち鳴らし、悪魔祓いと五穀豊穣を祈り神社に奉納される「鬼太鼓」です。演じている途中で「こい、こい、こい」という提灯持ちの声に誘われ、司会の竹下さんや客席のお客様へ魔よけのわらじを配っていました。身を震わせ髪を振り乱し必死に太鼓を打ちながら、勇壮に舞い踊る姿は、とても迫力がありました。

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佐渡おけさ・相川音頭<さどおけさ・あいかわおんど> 〔新潟県佐渡市/佐渡民謡協会〕

佐渡おけさ・相川音頭 続いて、三味線の音色とともに「相川音頭」と「佐渡おけさ」が続けて謡われ、舞台の両側から踊り手が現われました。「佐渡おけさ」は、初めは普通のテンポの「正調佐渡おけさ」、だんだんテンポをあげて「ぞめき唄」、更に「選鉱場おけさ」と3つに変化させて謡われ、また、踊りも見ているだけでは真似の出来ない端正で綺麗な踊りでした。

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撞舞<つくまい> 〔茨城県龍ケ崎市/撞舞保存会〕

撞舞 高さ10mの撞柱の上で蛙の格好をした舞男が、四方に矢を放ったり、逆立ちしたりのアクロバティックな離れ業はスリル満点でした。特に、命綱も付けず、張綱を手放しで滑り降りる姿は、下から見ているだけで身がすくみ、さすが関東3大奇祭のひとつといわれる伝統芸能でした。

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新作能「 (くちなわ)」〈短縮版にて〉 [作:瀬戸内寂聴]

新作能「くちなわ」 中世の仏教説話をから生まれた「老い」と「嫉妬」に苦しむ女性の情念をテーマにした小説「」を基に寂聴色を残して、能としての表現に工夫が凝らしされた新作能。
 作者の瀬戸内寂聴尼よりわかりやすい解説があり、また、字幕による説明もされたことにより、初心者の方にも大変わかりやすくなっていました。

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古典落語「田能久(たのきゅう)」 [出演:立川談志]

古典落語「田能久」 ある日旅役者の田能久が、白髪老人に化けた大蛇にタヌキと聞き間違えられ、舞台道具を使っていろんな姿に化けてみせると、すっかり感心した大蛇が、互いの苦手なものを教え合おうと言って教えあった。夜が明け、ようやく大蛇から解放された田能久は一目散に里に下り、ことの次第を村の若い者に告げた。勿論、大蛇が苦手なたばこのやにのことも。それを聞いた村の者達から退治にあった大蛇は、怒って田能久が苦手だと言った金(千両箱)を庭に放り込んでいったという、今回のまつりのテーマにぴったりな内容でした。

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松田の獅子舞い・夢宝太鼓<まつだのししまい・むほうだいこ>
[沖縄県宜野座村/松田区芸能保存会]

松田の獅子舞い・夢宝太鼓 松田の獅子舞いは、元々は大陸から伝わっており、各地にある獅子舞の中でも独特の風貌と太鼓やドラのリズムに合わせてのユーモラスな踊りが特徴です。ふわあっとした毛足の長い胴体に手を伸ばして触ってみたくなるほどかわいらしく、愛嬌のある陽気な獅子でした。
 エイサーをもとにつくられた、新しい太鼓の芸能「夢宝太鼓」では、子供達が踊りながら叩いている太鼓の音色が、不思議なくらい心に浸みました。アンコールの曲は、元気の出るリズムで、会場から多くの拍手を受けました。伝統的な行事から新しい芸能が生まれるということを目の当たりにした、演目でした。

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牛鬼<うしおに>  [愛媛県宇和島市/宇和島市役所牛鬼保存会]

牛鬼 子供達が吹き鳴らす「ブーブー」(竹製のホラ貝)に迎えられ、登場した「牛鬼」は、顔が恐ろしい鬼の顔だが、悪魔払いをしてくれる。胴体6m、幅3mの巨大な赤と黒の2頭の牛鬼が、互いに口を大きく開けながら首をうち振る姿は、1日目の最後にふさわしい、とても迫力のあるものでした。

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■第2日 2月15日(日) 午後3時開演


御陣乗太鼓<ごじんじょうだいこ> [石川県輪島市/御陣乗太鼓保存会]

御陣乗太鼓 奇妙なお面を付けて、頭に海藻をつけて太鼓を乱打する「御陣乗太鼓」は、ミエの形や身のこなしなど個性的な芸が入ることと異様な雰囲気が相まって独特の迫力がありました。あたかも日本海の荒波に向かって太鼓を乱打し、敵を追い払っているかのようなものすごい迫力を感じました。

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遠野の昔語・青笹しし踊り<とおののむかしがたり・あおざさししおどり>
[岩手県遠野市/正部家ミヤ・青笹しし踊り保存会]

遠野の昔語・青笹しし踊り 遠野の昔話を聞かせていただき、遠野に昔から語り継がれ、それを絶やさないように次世代に語り続けている姿(口承伝承)や、方言に暖かさを感じ、伝統を守り伝え続けていく大切さを感じました。
 青笹しし踊りは、頭が獅子でなく鹿という大変珍しい獅子(鹿)踊りで、踊り手が太鼓・笛の囃子合わせ勇壮華麗に舞います。踊り手の中には小さな子供達も含まれており、次代の世代にしっかりと受け継がれている姿が見られました。

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淡路人形芝居<あわじにんぎょうしばい> [兵庫県南淡町/淡路人形座]

淡路人形芝居 今回のテーマにぴったりな「狐七化け」は、帝を悩まし那須野に逃げるが、三浦之介と上総之介に退治される話で、狐が様々な姿に変化する早替りや、淡路人形芝居ならではの人形遣いの衣裳の早替りといった見所があり、とても楽しめました。

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スーパー狂言「王様と恐竜(おうさまときょうりゅう)」 [作:梅原猛]

スーパー狂言「王様と恐竜(おうさまときょうりゅう)」 2年ぶりとなる梅原猛氏の風刺の効いた新作スーパー狂言の登場。今回は戦争をテーマに、笑いを通して人間の愚かさを鋭くえぐり出してありました。
 梅原猛氏の奇想天外なストーリーに笑いが止まらないが、しかし、最後には、お金のために戦う、奢り高ぶる人類に対する警鐘が鳴らされていました。

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姫島盆踊り<ひめしまのぼんおどり> [大分県姫島村/アヤ踊り保存会・キツネ踊り保存会]

姫島の盆踊り 古くから伝わる伝統的な踊りで、男性の荒々しい踊りと女性のしなやかな手踊りとが対照的な「アヤ踊り」は、男性の勇壮さと女性の優美さが調和された踊りに惹きつけられました。
 可愛らしいキツネの扮装をした子供達が踊る「キツネ踊り」は、一生懸命にユーモラスな格好で、愛嬌たっぷの踊りを踊っている子供達の姿がとてもほほえましく感じました。

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八代妙見祭<やつしろみょうけんさい> 〔熊本県八代市/出町亀蛇保存会〕

八代妙見祭 地域伝統芸能まつり実行委員会の委員である鈴木健二さんに 「八代妙見祭」の映像を見ながら解説していただきました。その中で紹介された、祭の主役である「亀蛇」(愛称:ガメ)が銅鑼の音と共に舞台中央に登場しました。亀蛇は、頭と首が蛇、胴体は亀の姿をした想像上の神獣で、全長は約4m、幅は2.5mで首を伸ばした長さは4m、重さは約140kgあり、回転させたり、長い首を上下させながら勇壮な舞を披露しました。また、尻尾の毛を抜くといいことがあると言われているということで、尻尾の毛抜きが始まり、司会の竹下さんも尻尾の毛を抜くことが出来ました。まつりを締めくくるには、とても縁起の良い演目で、会場も和やかな雰囲気に包まれました。

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【大道芸】

大道芸 今回初めて、幕間に日本のなつかしい伝統的な大道芸が取り入れられました。1日目は「南京玉すだれ」、2日目は「がまの油売り」をストリート・パフォーマーの石原耕さんにより披露されました。単に大道芸を見せるだけでなく、客席の中からお客さんを連れ出して一緒に参加していただいて、観客を飽きさせない、楽しい趣向が凝らされていた大道芸は、会場内から大きな拍手を受けて、まつりの雰囲気を盛り上げるのに一役買っていました。

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【地域情報PRコーナー】

 地域伝統芸能等の地元10団体に参加していただき、各地の伝統文化や観光等の地域情報や特産品等のPRを行う「地域情報PRコーナー」をNHKホール2階の北ロビーに設けました。
 イベント当日は、開演前や休憩時間を中心に、全国から集まった多くの観客がこのコーナーを訪れ、2日間とも大盛況でした。
地域情報PRコーナー

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地域伝統芸能アンケートに寄せられたご感想
伝統芸能・古典芸能を守る若い人達が一生懸命である姿に安心した。「能」を初めて観たが初心者にも大変わかりやすい説明と字幕で大変良かった。
こうした芸能をこれからも大切に守り育てていくために私も何かできることをしたいと思った。「伝統芸能まつり」は多くの人の関心を高め、守り育てていく上でとても意義のあるイベントだと思う。今後も続けて欲しい。
郷土芸能の美しさと伝承に新ためて感動した。
本物を間近に見ることができ、すばらしい時間をすごせた。少なからずこれからも古典芸能に興味をもつことができると思った。今日はその一歩。
地域の土産物、珍しい品があり良かった。人が多くてよくみられなかったのが残念だったが少々買物して家族への土産になった。
日本の古典芸能、地方の伝統芸能を絶やさないためにもこのような企画を続けてほしい。
伝統芸能を継続している人達にとってもNHK ホールで演じられるはげみにもなり観ている私達も演じられるその日にそこへ行かなければ観られないものを一堂で拝見させてもらえるすばらしい企画だと思う。関係者のご苦労に心から感謝するとともにぜひぜひ続けてやってほしい。
若い人達の来場を多くし興味を持たせ、次の世代に伝へる「まつり」に育てて欲しい。
宝くじって素晴しい。宝くじが地域に役立っていることを実感した。これからもこの地域伝統芸能まつりを継続させて欲しい。
幼児から子供、大人までが一団となって祖先が作った芸能を今に伝え、それによって地域がまとまり、子供へのいじめ等もない本来の会社が出来上っている。見ていてすがすがしいし、日本人の本来の姿でないかと感じた。
伝統芸能は地域で大切にしてほしい。方言も大切にしてほしいと思った。
大変楽しんだ。日本全国まだまだ知らない伝統芸能があると思い知らされ、なみだの出る程の感動を覚えた。
今年始めて、こんなのがあるのを知った。新聞などでもっとPRして欲しい。
今後も継続して欲しい。地域の活性化のチャンスとなる。現地へ行って観覧したくなった。伝統芸能のあるところは魅力的なすばらしい風土、文化が息づいていると思う。
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