まつり当日の様子 地域伝統芸能まつり


2月11日 阿波おどり藤守の田遊び大塩天満宮獅子舞半能「融 酌之舞」
祇園のお座敷遊び「拳」桐生八木節講談「め組の喧嘩」竿燈
2月12日 竹ン芸雅楽(舞楽)「胡徳楽」嘉瀬の奴踊り石岡のおまつり−土橋の獅子舞−
狂言「蝸牛」生國魂神社の枕太鼓おはら祭り

地域情報PRコーナー
当日のアンケートに寄せられたご感想

第6回 地域伝統芸能まつり  テーマ「遊(あそび)」

地域伝統芸能まつりの様子 日本各地で受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介している「地域伝統芸能まつり」。6回目を迎える今年は、応募総数が1万4千通を上回るたくさんのご応募をいただきました。ご応募をいただきました皆様、誠にありがとうございました。当日は、両日とも晴天に恵まれ、多くの来場者を迎えることが出来ました。
 さて、今回のテーマは「遊(あそび)」です。日常生活から解放される「祭」と「遊び」。そこに共通するのは、生きていく上で不可欠な明日への活力になるということではないでしょうか。そんなテーマにまつわる地域伝統芸能と古典芸能が披露されました。

【司会】
司会の竹下景子さんと石澤典夫アナウンサー 司会は、地域伝統芸能まつりではお馴染みの女優の竹下景子さんとNHKの石澤典夫アナウンサー。
 二人の絶妙なトークによって地域の伝統芸能の面白さとそれを受け継いでいる人々の魅力が存分に引き出されていました。



■第1日 2月11日(土) 午後2時30分開演

 会場内が暗くなり、三味線の音が鳴り響き緞帳が上がると徳島の阿波おどりによる熱気溢れるオープニングが始まりました。その後「地域伝統芸能まつり」のテーマ曲「曼荼羅21序章」にあわせて、各地の地域伝統芸能を披露していただく皆さんが登場。紅白の鮮やかな手拭いを振りながらの入場に、客席から大きな手拍子がおこっていました。


阿波おどり<あわおどり> 〔徳島県徳島市/多田小餘綾・四宮生重郎・娯座留連〕

阿波おどり  400年を超える歴史を持つ徳島の夏祭り。「エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイヨイ」の歌と三味線でスタートすると、舞台上の障子に写ったシルエットが踊り出しました。これは、徳島「娯座留連」を率いる78歳の四宮生重郎さん。四宮さんのソロ踊りに客席は釘付けになり、その後、大勢の地元の子どもたちが躍り込むと会場は一段と賑やかになり、観客の心も今にも躍り出しそうな雰囲気に。そして「阿波よしこの」を歌うのは99歳になるお鯉さん(多田小餘綾(ただこゆるぎ))。昭和初期に阿波おどりの全国PRに一役買った自慢の美声を聞かせました。そんな世代を超えた一体感が地域伝統芸能のあるべき姿を期待させるオープニングになりました。

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藤守の田遊び<ふじもりのたあそび> 〔静岡県大井川町/藤守の田遊び保存会〕

藤守の田遊び  日本古来の伝統神事である「田遊び」は、1年間の農作業を歌と踊りで表現して、豊作を願うものですが、その中でも「藤守の田遊び」は、1000年の歴史を持つと言われて、毎年3月17日に行われています。本来は番組が25番以上あるため夕方から深夜まで続くところを今回は抜粋して演じていただきました。インタビューや解説を通じて伝承の重みを感じることができました。

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大塩天満宮獅子舞<おおしおてんまんぐうししまい>
〔兵庫県姫路市/大塩天満宮獅子舞保存会〕

大塩天満宮獅子舞  「獅子どころ」と言われるほど獅子舞が盛んな兵庫県播州地方からは、「大塩天満宮獅子舞」が登場しました。大塩天満宮の氏子は、8つの地区がそれぞれ異なる獅子を持っており、例年10月14日・15日に姫路市の大塩天満宮秋季大祭で奉納されます。秋季大祭では、8頭の獅子が勢揃いして神前で競演しますが、今回は小林丁と中之丁の2地区から2頭の獅子舞が参加し、野性味溢れ、ダイナミックな獅子舞に客席は息をのみました。

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半能「融 酌之舞(とおる しゃくのまい)」(観世流) 〔出演:梅若六郎ほか〕

半能「融 酌之舞」  「融」は、光源氏のモデルとなった融大臣(とおるのおとど)のことです。京都六条、河原の院を訪れた僧の前に現れた潮汲みの老人が語る懐旧の想いと廃墟を照らす月光に浮き上がる融大臣。かつての風雅を楽しみ月下に袖を翻し舞いはじめます(酌之舞)。優雅に月下を舞遊ぶシテ(主役)を能楽師梅若六郎さんが演じ、観客はその舞の美しさに引き込まれ、舞台から消えた後の余韻を会場全体が共有していました。

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祇園のお座敷遊び「拳」<ぎおんのおざしきあそび「けん」> 〔京都市/祇園甲部の皆様〕

祇園のお座敷遊び「拳」  美しい伝統的な町並みの中をあでやかな舞妓さんが歩く姿が見られる京都・祇園には、今も祇園独自のお座敷遊びが伝えられています。そんな「祇園のお座敷遊び」が地域伝統芸能まつりの舞台に登場。華やかな8人の芸妓さんたちによる「祇園小唄」や、ジェスチャーでするじゃんけん「とらとら(和藤内)」など、普段は映画やドラマの中でしかお目にかかれない祇園芸妓の艶やかさに「本物はすごいね」という声があちらこちらから聞こえていました。その中で「とらとら(和藤内)」では、竹下景子さんと石澤アナウンサーも参加し、京都の一夜を満喫する贅沢な時間となりました。

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桐生八木節<きりゅうやぎぶし> 〔群馬県桐生市/桐生八木節連絡協議会〕

桐生八木節  江戸時代末、八木節は、「新保広大寺くずし」という戯れ歌が日光例幣使街道の宿場として栄えた八木宿に伝わり、明治末期に足利市八木宿の馬引き堀込源太が現在の八木節にまとめ、全国に広めたといわれています。毎年8月第1金・土・日曜日の3日間開催される桐生八木節まつりは、市内各所で、やぐらを囲んでの八木節踊りのほか、八木節音頭の日本一を決める「全日本八木節競演大会」など、多くのイベントが繰り広げられます。今回会場でも、エネルギッシュで迫力ある歌と踊りが披露され、4歳の子どもから大人まで、その一生懸命な踊りに客席から温かい拍手が送られました。

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講談「め組の喧嘩(めぐみのけんか)」 〔出演:一龍斎貞水(いちりゅうさいていすい)〕

講談「め組の喧嘩」  「め組の喧嘩」は文化2年に実際に起きた騒動を元にしてできた講談です。命を張って火消しをする事に誇りを持っていた江戸の町火消しと力士との間で些細なことから小競り合いが生じ、ついにはめ組以外の大勢の火消しや話を聞きつけた力士たちまでもが集まり大乱闘に・・。講談界初の人間国宝一龍斎貞水さんによって、客席では江戸庶民の娯楽を存分に味わうことができました。

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竿燈<かんとう> 〔秋田県秋田市/秋田市竿燈会ほか〕

竿燈  竿燈は、真夏の病魔や邪気を払うねぶり流し行事として、江戸時代の宝暦年間(1751〜63)にはその原型となるものができ、やがて、厄よけ・みそぎ・五穀豊穣などを願う現在の形が徐々にできあがってきたといわれています。
 竿燈は、大きなもので高さが12メートルを超え、稲穂に見立てた提灯を付けたその重さは50キロもなります。この竿燈を差し手の手のひら、額、肩、腰などに乗せてバランスを取る妙技が披露されました。NHKホールの天井に届きそうな巨大な竿燈の迫力と、それを操る妙技の素晴らしさに拍手喝采でした。

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■第2日 2月12日(日) 後2時30分開演


竹ン芸<たけんげい> 〔長崎県長崎市/若宮稲荷神社竹ン芸保存会〕

竹ン芸  竹ン芸は、直立した青竹の上で狐に扮した若者が、独特の竹ン芸囃子にのせて、天の逆ほこ(竹のテッペンでの逆立ち)をはじめ古くから伝わる芸を演じる芸能です。10メートルを超える二本の竹を使いお稲荷様のお使いであるキツネが竹の上で遊び戯れる様を表したものですが、「遊び戯れる」とはうらはらに、難易度の高い技が次々に繰り出され、会場は大いに沸き上がりました。

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雅楽(舞楽)「胡徳楽(ことくらく)」 〔出演:天王寺楽所雅亮会(てんのうじがくそがりょうかい)〕

雅楽(舞楽)「胡徳楽」  雅楽の中で、舞を伴うものを「舞楽」といいます。舞楽はパターンの組み合わせによって構成され、いわば抽象的な舞が多いのですが、胡徳楽はストーリー性のある特異な曲で、舞と言うよりパントマイム的です。内容は、主人が客を招き、酒宴を催します。従者は酒を盗み飲みし、酔った客人は舞台を舞い、演奏する楽人へからんでしまいます。昔も今も変わらない酔態に観客も苦笑いしていました。

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嘉瀬の奴踊り<かせのやっこおどり> 〔青森県五所川原市金木町/嘉瀬奴踊り保存会〕

嘉瀬の奴踊り  約三百年前、「鳴海伝右衛門」という藩士が新田開墾の命を受け旧金木町嘉瀬地方に派遣されましたが、使役する農夫たちの苦労を思い無理させず、要領よく立ち回ることをしなかったため不遇でした。主人思いだった鳴海の忠僕「(奴)徳助」は深く嘆き、主人を慰めるため、秋の取入の振舞酒の席や月見の夜など、即興の踊りを踊ったり唄ったりしたのが始まりと伝えられています。
 軽快な津軽三味線と民謡に併せて「津軽あいや節」、「嘉瀬の奴踊り」が披露されました。

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石岡のおまつり−土橋の獅子舞−<いしおかのおまつり−つちばしのししまい−>
〔茨城県石岡市/石岡囃子連合保存会、土橋獅子舞保存会〕

石岡のおまつり−土橋の獅子舞−  関東三大祭の一と称されている「石岡のおまつり」こと常陸国総社宮大祭は、毎年9月に開催され、豪華絢爛な山車が町中を練り歩き、格式高い神輿も出ます。その大きなお祭りで、土橋町の獅子舞は神輿巡行の先陣露払を務める重責を担っています。お囃子だけでなく交代要員まで乗せた「幌獅子」と言われるその大きな獅子舞が観客の度肝を抜きました。

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狂言「蝸牛(かぎゅう)」(大蔵流) 〔出演:茂山逸平、茂山宗彦、茂山茂ほか〕

狂言「蝸牛」  主人から蝸牛(かたつむり)をとってくるようにいいつけられた太郎冠者、ところが蝸牛を知りません。頭が黒く、腰に貝をぶら下げ、時に角を出し、人ほどもあるものもいるという事を教わります。そして藪の中に探しに来た太郎冠者が蝸牛と思い声をかけたのはナント山伏。山伏の法力に遊ばれる太郎冠者、やがて心配になって探しに来た主人も「でんでんむしむし・・・」とその術に遊ばれます。そのおかしさに客席も術中にはまったように、「でんでんむ〜しむし」とのつぶやきが至る所で聞こえてくるようでした。

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生國魂神社の枕太鼓<いくたまじんじゃのまくらだいこ> 〔大阪市/生國魂神社太鼓中〕

生國魂神社の枕太鼓  枕太鼓は6人乗りの移動式太鼓で、生國魂神社のいくたま夏祭で渡御列の先陣を承り、祭神の出御を町に知らせます。太鼓を打つ者に無病息災の願いを託す事から彼等を願人と呼び、願人の背もたれが大きな枕に似る事が枕太鼓の由来とされます。願人を乗せた枕太鼓は右へ左へ激しくなぎ倒されますが、どんな状況になっても太鼓をたたき続ける「願人」の勇姿に会場からは、惜しみない拍手が送られました。

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おはら祭<おはらまつり> 〔鹿児島県鹿児島市/鹿児島市ヤング踊り連ほか〕

おはら祭  おはら祭の名前の由来は、鹿児島の代表的民謡「おはら節」からきています。例年11月2・3日に開催され、総踊り等参加者約2万2千人が集う南九州最大の秋祭りに発展しています。当日は飛び入り参加も大歓迎とのことですが、地域伝統芸能まつりにおいても、これまでの出演者に加えて、客席の人達までが踊りに参加されました。総勢数百名の参加による「ヨイサー ヨイサー」のかけ声の渦の中でまつりは最高潮に達し、2日間の熱演が締めくくられました。

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【地域情報PRコーナー】

 地域伝統芸能等の地元11団体に参加していただき、各地の伝統文化や観光等の地域情報や特産品等のPRを行う「地域情報PRコーナー」をNHKホール2階ロビーに設けました。
 イベント当日は、開演前や休憩時間を中心に、全国から集まった多くの観客がこのコーナーを訪れ、2日間とも大盛況でした。
地域情報PRコーナー

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当日のアンケートに寄せられたご感想

年配の方や若い方が郷土を愛しているのが伝わってきてあたたかい気持ちになります。
留学生ですが、その地域に行かないと見られない伝統芸能を一ヵ所で見ることができてとても楽しかったです。特に獅子舞は迫力があってとてもおもしろかったです。
生まれて初めて「能」を見ました。新鮮でした。すべてが良かったです。
伝統を若い人達が一生懸命継いで行こうとする姿が、感動的だった。
雅な遊び、元気が出るような遊び、今日はとても楽しい時間をありがとうございました。
とても小さい子から勇ましい若者の姿に感動して、日本のお祭りも世界に誇れると思います。雅な世界あり、ウットリさせていただきました。
熱気、迫力に感動!感動!兵庫の獅子舞、是非見に行きたいと思いました。
とても良かったです。最初の阿波おどりは感動して涙が出ました。
地域の伝統を守り続けている方々の熱意と誇を強く感じました。司会のお二人がこのイベントにピッタリ合っていてとても気持が良かったです。
若い人達の活気があり勇気づけられました。ありがとうございました。
非常に楽しかった。めったに見れない芸が見れて良かった。これら伝統芸能がいつまでも残って見る人を楽しませてもらいたい。
素朴な田楽から、能のような洗練されたものまで、バラエティに富んで面白かった。日本の伝統芸能の奥行きの深さを感じる。
それぞれに感銘を受けました。永く伝継されたものは今の我々が受け継いでいく義務があると思います。なくすことはたやすいことですが伝継していくことは尊く日本の財産だと思います。多くの人々に見てほしい企画です。
どの場面でもお子さんは可愛いですね。一生懸命練習した事でしょう。本当に楽しませて頂きました。
各地域で脈々と伝承されている芸能の奥深さ・幅広さに改めて感動しました。日本の良さを再発見させていただきました。
舞台と客席が一緒に楽しませて頂きました。大変感動したり感心したりで、楽しませて頂きました。後継者が育っている事も素晴らしい事と思いました。
人間の生きる原点を教えていただいた気持です。老若男女に値する企画でした。子供達にも、見てほしいです!

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