まつり当日の様子 地域伝統芸能まつり


2月24日 八丈太鼓平曲(平家琵琶)「平家物語より 祇園精舎/先帝御入水」
先帝祭 上臈道中狂言「節分」半能 鵺 白頭木ノ本の獅子舞
山形花笠まつり久喜の提燈祭り
2月25日 江差追分備中神楽椎葉村の作業唄江刺鹿踊り群舞
日本舞踊 清元 申酉五箇山の唄と踊り日光和楽踊り仁尾竜まつり

地域情報PRコーナー
当日のアンケートに寄せられたご感想

第7回 地域伝統芸能まつり  テーマ「もののあはれ」

地域伝統芸能まつりの様子 日本各地で受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介している「地域伝統芸能まつり」。7回目を迎える今年は、応募総数が1万6千通を上回るたくさんのご応募をいただきました。ご応募をいただきました皆様、誠にありがとうございました。当日はやや肌寒かったものの、両日とも晴天に恵まれ、多くの来場者を迎えることが出来ました。
 さて、今年はテーマ「もののあはれ」にまつわる各地の地域伝統芸能の中から12の地域伝統芸能をご披露いただきました。
 また、今回の地域伝統芸能まつりでは能、狂言の他、平家琵琶や日本舞踊など古典芸能も盛りだくさんの全16演目で実施されました。

【司会】
司会の竹下景子さんと石澤典夫アナウンサー 司会は、前回に引き続き地域伝統芸能まつりではお馴染みの女優の竹下景子さんとNHKの石澤典夫アナウンサー。
 二人の息の合ったトークによって、地域の伝統芸能の面白さや、練習での苦労話などを聞き出し、各地で地域伝統を受け継いでいる人々の姿を会場のお客様にわかりやすいように伝えていました。



■第1日 2月24日(土) 午後2時30分開演

 会場内が暗くなり、ドンドコドンドコ・・・と太鼓の音が鳴り響き、拍手とともに緞帳が上がると八丈太鼓六人会のみなさんによる「八丈太鼓」によりオープニング。その後「地域伝統芸能まつり」のテーマ曲「曼荼羅21序章」にあわせて、各地の地域伝統芸能を披露していただく皆さんが登場。紅白の鮮やかな手拭いを振りながらの入場に、客席からも大きな手拍子がおこっていました。


八丈太鼓<はちじょうだいこ> 〔東京都八丈島八丈町/八丈太鼓六人会〕

八丈太鼓  八丈島は今でこそ観光の島として、一時間の空の旅で気軽に往来できるようになりましたが、かつては戦に敗れた将が流刑される島でした。しかも当時は春秋二回の島送りの官船しかなく、流人にとってはまさしく鬼ヶ島と思えたに違いありません。勇ましくも望郷の思いを込めた、どこか切ないばち捌きによる太鼓の音色で、今回のテーマ「もののあはれ」地域伝統芸能まつりがスタートしました。

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平曲(平家琵琶)「平家物語より 祇園精舎/先帝御入水」
<ぎおんしょうじゃ/せんていごにゅうすい> 〔出演:須田誠舟(すだせいしゅう)〕

平曲(平家琵琶)「平家物語より 祇園精舎/先帝御入水」  平家物語の全巻を通じて流れる思潮を端的に表現した名句「祇園精舎」と、源平最後の合戦となった壇ノ浦における、安徳天皇御入水の場面「先帝御入水」を、須田誠舟さんによる見事な平家琵琶で語っていただきました。

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先帝祭 上臈道中<せんていさい じょうろうどうちゅう> 〔山口県下関市/下関舞踊協会の皆様〕

先帝祭 上臈道中  そして平家琵琶に続いて登場は、山口県下関市の「先帝祭 上臈道中」。客席後方から上臈、つまり遊女の姿の女性がゆっくりとステージに登場しました。壇ノ浦の合戦で安徳天皇がわずか八歳で入水崩御された後、平家の女官たちは細々と生活しながらも、安徳帝の命日には必ず参拝・香華を手向けていました。その女官たちの優しいまごころと美風を後世まで伝えようと、廊の主人が遊女たちに参拝させたのが先帝祭上臈参拝の始まりといわれています。インタビュー時には「外八文字」といわれる、しなやかな足の動きを再度披露していただきました。

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狂言「節分(せつぶん)」(大蔵流) 〔出演:山本則俊、山本則秀ほか〕

狂言「節分」  今日は節分、豆まきの豆を食べようと日本に来た蓬莱の島の鬼。姿を消す隠れ笠に蓑をつけてやってきます。この節分の晩に家を守る女が一人、夫は出雲大社に新年のお籠もりにいっています。何も知らずに戸を開けてしまった女の家に入り込んでしまった鬼。海を渡ってきたのでお腹がすいているのはもちろんですが、鬼は女を見て一目惚れ。女を必死になって口説く鬼ですが、異様な風体の鬼にはなびきません。最後には「鬼は外」と豆を投げつけられ・・・・。話が進むにつれ、哀れな鬼の姿が身近に感じられました。

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半能「鵺 白頭(ぬえ はくとう)」(金剛流) 〔出演:金剛永謹ほか〕

半能「鵺 白頭」  近衛天皇の時代、御殿の上に丑の時になると東三条の森の方から黒雲がやってくるので、主上は恐れていました。その正体を確かめに源頼政が呼ばれ、黒雲に立ち向かって矢を射ると、黒雲から落ちてきた異形のものは、頭は猿、尾は蛇、手足は虎、鳴き声は鳥の鵺に似ていました。その後、鵺は空舟に押し入れられ淀川に流されました。朽ちていく空舟の闇の中に落ちて消え失せていった鵺の姿に哀れさがただよっていました。

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木ノ本の獅子舞<きのもとのししまい> 〔和歌山県和歌山市/木ノ本の獅子舞保存会〕

木ノ本の獅子舞  木ノ本の獅子舞は既に五百年余の歴史をもつと伝えられています。現在では、毎年十月十五日以降最初の土・日曜日に奉納されています。胴衣に入った青年二人によって演じられる木ノ本の獅子舞には、地上の舞とだんじり上の舞とがあり、地上約5mの高さに渡した二本の青竹の上で舞うだんじり上の舞が、特に勇壮活発な舞として知られています。会場全体が手に汗握りながら見つめ、獅子舞のアクロバティックな動きに悲鳴とも歓声とも聞こえる声が上がっていました。

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山形花笠まつり<やまがたはながさまつり>
〔山形県山形市/山形県民謡振興会講師会・山形県花笠協議会舞踊指導員会〕

山形花笠まつり  東北を代表する夏祭り「山形花笠まつり」は毎年8月5日から3日間、山形市の中心市街地で約1万人の踊り手が参加するパレードです。今回会場では「ヤッショ マカショ」の威勢のいい掛け声とともに、舞台下手と客席後方から山形県の花・紅花をイメージした「花笠」を持った女性たちが大勢登場し、民謡としても広く知られている「花笠音頭」に合わせ踊っていただきました。ステージ上がピンク一色に染まり、会場が和やかな雰囲気に包まれました。

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久喜の提燈祭り<くきのちょうちんまつり> 〔埼玉県久喜市/久喜市祭典委員会〕

久喜の提燈祭り  久喜の提燈祭りは天明3年(1783年)の浅間山の大噴火による厄災を取り除くため、祭礼用の山車を曳き廻して豊作を祈願したのが始まりと伝えられています。祭りは毎年7月12日から18日まで行われ、山車は12日と18日に曳き廻されます。昼間は歴史上の人物を飾り立てた人形山車として、夜は約500個の提燈を飾りつけた提燈山車として曳き廻されます。ライトアップされた巨大な山車が笛や鐘の音ととも登場し、大勢の担ぎ手により回転する様は圧巻でもあり、幻想的でもありました。

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■第2日 2月25日(日) 午後2時30分開演


江差追分<えさしおいわけ> 〔北海道江差町/江差追分会〕

江差追分  第2日のオープニングを飾ったのは北海道の江差追分。今からおよそ300年前、信州は中仙道の軽井沢付近の馬子唄が越後に伝えられ、山の唄が海の調べに変わって越後追分となりました。やがて北前船の船頭や船子達がこの唄を当時ニシン漁で繁栄期にあった蝦夷地唯一の港、江差に運びました。「かもめ鳴く音にふと目を覚まし あれが蝦夷地の山かいな」と唄われているこの歌詞は、北前船に乗り込んで江差に向け航行中、蝦夷地の山河が初めて視界に入った感慨を歌ったもので、未知の不安と新天地での希望が錯綜する複雑な心情を歌っているのです。

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備中神楽<びっちゅうかぐら> 〔岡山県高梁市/備中神楽成羽保存会〕

備中神楽  備中神楽は、この地方の古い原始信仰で、暴風雨や悪疫などをもたらす荒神の心をやわらげようと行われてきた荒神祭りの鎮魂行事の中で民俗芸能として育てられ、信仰と芸能・古いものと新しいものが混然一体となって伝承され続けている間に、秋祭りや正月などに欠くことのできない郷土芸能として成長し、備中地方一円に広まっています。この備中神楽は、石澤アナにも紹介されましたが、全国に数多くある「素戔嗚尊の大蛇退治」の中でも、ショーアップされた神楽ではなく、素朴な地域芸能としての特色がよく出た神楽です。

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椎葉村の作業唄<しいばそんのさぎょううた> 〔宮崎県椎葉村/尾八重ひえつき節保存会〕

椎葉村の作業唄  九州中央山地の奥深い山々に抱かれた椎葉村には数々の伝承があり、伝説があり、そして民謡があります。椎葉の唄は四季の巡りとともにあり、その時々の人々の心を表しています。中でも「ひえつき節」は全国的にも有名です。「ひえつき節」は文字通り稗を搗く際に歌われた作業唄です。今回はステージに民家のセットを再現し、実際に稗も搗いていただきながら「ひえつき節」を披露していただきました。また「駄賃付け節」も披露していただきました。

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江刺鹿踊り群舞<えさしししおどりぐんぶ> 〔岩手県奥州市/奥州市江刺鹿踊保存会〕

江刺鹿踊り群舞  奥州市江刺区に伝わる鹿踊りは、自らが「囃し・歌い・踊る」ところに特徴があります。八頭立てで群れをつくり踊ることから「八つ鹿踊り」とも呼ばれています。毎年5月4日の江刺甚句まつり(本まつり)と、8月16日の江刺夏祭り(みちのく孟蘭盆まつり)で勇壮な舞を観ることができます。長い腰指し(ささら)を付け、最初はステージ上に8人だった踊りも、ステージから溢れるほどの大人数になり、会場中が勢いよく打ち鳴らされる太鼓とダイナミックな踊りに酔いしれました。

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日本舞踊 清元 申酉(さるとり)〔出演:藤間紫ほか〕

日本舞踊 清元 申酉  休憩後の第二部は日本舞踊の清元「申酉(さるとり)」からスタートです。歌舞伎では「お祭り」という題名でよく上演される一幕です。本題名を「再茲歌舞伎花轢」といいます。歌舞伎ではもちろん男性が踊ることが多いのですが、今回は女性の踊りとして、藤間紫さんに踊っていただきました。

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五箇山の歌と踊り<ごかやまのうたとおどり>
〔富山県南砺市/富山県立南砺総合高等学校平高等学校郷土芸能部の皆様、
越中五箇山筑子唄保存会の皆様〕

五箇山の歌と踊り  昭和48年に文化庁から「五箇山の歌と踊り」すべてが無形文化財として選定されました。五箇山の平村は、加賀藩の流刑地として知られていましたが、豪雪によって倒壊した「流刑小屋」は、昭和40年に復元され、全国ただひとつの《民俗文化財》に指定されています。今回は五箇山からは県立平高校の生徒さんによる「麦屋節」、こきりこ保存会のみなさんによる「こきりこ唄」を披露していただきました。全校生徒89名中、なんと40名が郷土芸能部という平高校のみなさんに会場中から大きな拍手が起こりました。

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日光和楽踊り<にっこうわらくおどり> 〔栃木県日光市/古河電工日光事業所舞楽部〕

日光和楽踊り  栃木県からは初登場となります。県を代表する民謡舞踊「日光和楽踊り」です。これは大正天皇の当時前例のなかった民間工場の視察を記念して生まれたもの、とされています。当時は盆踊り国からなかなか許可が降りなかったそうですが、地元の熱意と、「模範的なもの」を作るということで許可されたものです。現在では大変大きくなり、栃木県を代表するものとなっています。今回は笛やお囃子が始まると同時に無数の電飾イルミネーションが点灯し、踊り手や客席からも大きな歓声が上がり、見事な盆踊りを披露していただきました。インタビューでは石投げ踊り(足尾銅山の鉱石を選別する動作)など、興味深いお話も聴くことができました。

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仁尾竜まつり<におりゅうまつり> 〔香川県三豊市/仁尾雨乞い竜実行委員会〕

仁尾竜まつり  香川県からも初登場となります。仁尾の竜まつりは、干ばつの年に雨ごい行者として知られる和蔵(わぞう)が、雨を呼ぶと信じられていた竜を作って海に流せばよいという祈祷をしたので、わらで大きな竜を作り村内を練り歩き、沿道の人々が貴重な水をかけ海へ流したところ、念願の雨が降ったと伝えられる雨ごいのまつりです。巨大な竜を大勢の人がかついで練り歩き、「そーれ、竜に水あぶせ」の掛け声とともに水をかける、という勇壮なまつりをステージで再現。素朴でありながらも迫力満点でした。こうして会場の雰囲気も最高潮に達し、第7回地域伝統芸能まつりも2日間の熱演を締めくくりました。

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【地域情報PRコーナー】

 地域伝統芸能等の地元12団体に参加していただき、各地の伝統文化や観光等の地域情報や特産品等のPRを行う「地域情報PRコーナー」をNHKホール2階ロビーに設けました。
 イベント当日は、開演前や休憩時間を中心に、全国から集まった多くの観客がこのコーナーを訪れ、2日間とも大盛況でした。
地域情報PRコーナーの様子

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当日のアンケートに寄せられたご感想

和やかな会場の雰囲気に癒されました。ありがとう!
年齢的にもなかなか現場まで行かれないので、本当に楽しかった。
子供も初めて観る日本伝統芸能の数々を楽しみました。また各地にはいろいろな祭りが今も残っていることに、人々のつながりを感じました。
一度にこんなに見られることはないので、とても楽しかったです。
今後も伝統芸能の保存・継承を願います。
熱気、迫力に感動!感動!兵庫の獅子舞、是非見に行きたいと思いました。
毎回よく全国から芸能まつりを紹介してくれて楽しいです。今後も期待しています。
地域芸能にそれぞれの工夫が感じられ、楽しい演出でした。能狂言は勉強になります。
木ノ本の獅子舞、本当に手に汗握りながら見ました。ジェットコースターのような楽しさでした。
このようなお祭りがあることを知りませんでした。日本人でよかったと思いました。
インタビューでも紹介、エピソード、いわれ等詳細も聞くことができてよかった。木ノ本の獅子舞は感動した。
能や狂言に於いて解説をしてくれたのが観るのには大変よかった。
出演していた人に若い人が多かったのが大変よいと思います。後継者が続いていく感じがしたので、若さ・パワーが伝わってきました。
地域の発展と地域おこし、これからの日本にとって、今一番求められていることと思います。
江刺鹿踊り群舞は迫力があり、すごく感動した!
高校生に感動しました。伝統文化を継承する若者の発表の場をもっとたくさん作ってほしい。
それぞれの故郷から伝統を引き継ぐ人達の熱心な気持ちが伝わってきました。
演じておられる方がとても活き活きと楽しく演じておられるのを魅せていただき、元気をいただきました。
あっという間に出来てしまったり、あっという間に終わってしまったりする世の中で、こんなに大切にされているものがあることが嬉しく、感動しました。
あゝ、ここに日本があると思いました。来てよかったです。

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