一般社団法人 地域創造

第48号 ニューオープン/育成環境を考える(2022年12月発行)

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国内掲載記事概要一覧 (本誌 P.88「資料編」) (PDF 187KB)

特集1 ニューオープン

バブルを背景に全国各地で建設された公立ホールが大規模改修・建て替え時期を迎えている。東京オリンピック・パラリンピックによる資材高騰やコロナ禍で遅れていた建て替え施設が今、次々にオープン。社会状況の変化を踏まえ、それまでの蓄積を継承し、新たな手法やコンセプトで構想されたニューオープンの施設を紹介する。

特集2 育成環境を考える

すべては人づくりに通じる――芸術文化における人づくりについて改めて考えるために、自治体による継続的な取り組み、民間財団による最新クリエイター支援、産官学による場づくりまで取材した。

空間のエスプリ

体験レッスン

SCOPE

座談会

イラストSCOPE

海外STUDY

特集1 ニューオープン

1.秋田県秋田市 あきた芸術劇場ミルハス

文:田中健夫

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© 雨田芳明

JR秋田駅西口から徒歩10分。明治時代に整備された千秋公園の入り口に、秋田県・秋田市連携の大規模文化施設として2022年9月23日に「あきた芸術劇場ミルハス」は誕生した。別々の行政目的のもとに整備され活動を積み重ねてきた県民会館と市文化会館。それぞれの機能を継承するための、県・市連携の施設整備を取材した。

2.大阪府高槻市 旧高槻市民会館/高槻城公園芸術文化劇場

文:永田晶子

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© 雨田芳明

大阪市と京都府の中間に位置し、人口約35万人の大阪府高槻市。市民の生活に根づき、趣味の文化活動や鑑賞などの拠点として60年間愛されてきた高槻市民会館が閉館。その代替施設として、隣接する南側エリアに大小ホールや11のスタジオを備えた「高槻城公園芸術文化劇場」が2023年3月にオープンする。解体前の旧市民会館と新旧二つの劇場が並ぶ中、新劇場のプレイベントとして閉館した旧市民会館の施設を中心にしたアート・イベント「高槻芸術時間『インタールード』」が行われた。

3.沖縄県那覇市 那覇文化芸術劇場なはーと

文:田中健夫

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© 長嶺牧子

沖縄県那覇市のメインストリート、国際通りから北に徒歩5分。老朽化した旧市民会館の後継施設として2021年10月に開館した「那覇文化芸術劇場なはーと」。単なる市民会館の建て替えにとどまらず、那覇の歴史と独自の文化を基盤に新文化芸術創造発信拠点として整備されたという「なはーと」を1周年記念事業に合わせて取材した。

特集2 育成環境を考える

1 浜松市 浜松市アクトシティ音楽院

文:横堀応彦

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© 雨田芳明

ヤマハ、カワイ、ローランドをはじめとする楽器関連企業が集まり、日本を代表する楽器製造業の一大集積地として知られる浜松市。4半世紀にわたり浜松市の音楽のまちづくりの要となっている浜松市アクトシティ音楽院の取り組みを取材した。

2 公益財団法人クマ財団

文:吉本光宏

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© 雨田芳明

若手クリエイター育成で注目されているクマ財団の「返済義務を負わない給付型のクリエイター奨学金」の制度について、創設者や実際に支援を受けている奨学生への取材を交えて紹介する。

3 茨城県取手市 たいけん美じゅつ場 VIVA

文:杉原環樹

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© 雨田芳明

茨城県の南西部に広がるベッドタウン、取手市。1991年に東京芸術大学の取手キャンパスが設置されて以降、文化関係者の間では多くのアートプロジェクトが行われてきた。しかし近年、市街地の空洞化や少子高齢化の進行により取手駅や駅ビルの利用客も減少していた。そうしたなか、取手駅の「アトレ取手」内に、取手市・東京芸術大学・JR東日本支社・株式会社アトレによる、駅ビルを舞台とした全国的にも類を見ない文化交流施設「たいけん美じゅつ場 VIVA」が誕生した。

空間のエスプリ

地域社会と繋がるアートの可能性―ジャカルタの複合コレクティブGUDSKULが実践するアートのエコシステム

文:廣田緑

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今、ドイツの国際美術展「ドクメンタ15」の芸術監督などで注目を集めているインドネシアのアーティスト・コレクティブ「ルアンルパ」が、ジャカルタので新たに展開している相互扶助的な文化のあり方を実践するプラットホーム「GUDSKUL」を紹介する。

体験レッスン

岩手県宮古市 宮古市民文化会館に「人の繋がりを取り戻す」プログラムづくりを学ぶ

進行:坪池栄子 構成・文:河野桃子 講師:坂田雄平 受講生:佐野薫

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© 雨田芳明

東日本大震災でホールや楽屋が浸水し、3年間の休館を余儀なくされた宮古市民文化会館。2014年に復旧し、NPO法人いわてアートサポートセンターが指定管理者として運営している。震災からの復興を目指し、地域が失った「人の繋がりを戻す」プログラムづくりを実践している同館の取り組みを学ぶ。

SCOPE

福島県福島市 プロジェクトFUKUSHIMA!/「わらじまつり」「わらじ音頭」

文:山下里加

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© 雨田芳明

東日本大震災を機に、音楽家の遠藤ミチロウ、大友良英、現代詩人の和合亮一という福島出身・在住のアーティスト3人が代表として結成された「プロジェクトFUKUSHIMA!」。現代音楽やコンテンポラリーダンスの領域で活動するアーティストたちが「盆踊り」を創作し、関与することで何が生まれているのか。福島市の夏祭り「わらじまつり」で行われている「わらじ音頭」の事例から読み解いていく。

静岡市 静岡市民文化会館「ラウドヒル計画」

文:乗越たかお

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© 鈴木元気

静岡市民文化会館を拠点に、プロフェッショナルがスタッフで参加し、市民が完全オリジナル舞台作品を継続的に創造・発信していく長期プロジェクト。2013年にスタートし、静岡ゆかりのテーマを演劇・ダンス・殺陣・映像・生演奏・人形劇のエンターテインメントとして発表する。

座談会

それぞれの20年

進行:坪池栄子 構成・文:羽成奈穂子

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© 雨田芳明

地域の自主事業型ホールとして構想され、新たに開館したホールの多くが成人を迎えた。しかしその歳月は誰もが想像しなかった目まぐるしい環境変化とともにあった。今回は長年職員として公立ホールの運営に携わっていた方々に20年の手応えと今後について語り合っていただいた。

出席者(左から):中本正樹氏(小美玉市)、千葉真弓氏(一般財団法人北上市文化創造)、中尾友彰氏(公益財団法人新潟市芸術文化振興財団)

イラストSCOPE

邦楽器糸の製造を支える原糸づくりと丸三ハシモト

文:奈良部和美

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イラスト 田淵周平

三味線や箏の絃になる生糸をつくる長浜市の「木之本町邦楽器原糸製造保存会」と、そこから生糸を買い取り日本で唯一邦楽器の絹糸の絃を製造している丸三ハシモトの現状を紹介する。

海外STUDY

クリエイティブ・ヨーロッパ・プログラム―ブレグジットとコロナ禍を超えて

文:藤井慎太郎

欧州連合(EU)諸国の経済にとって重要な役割を果たす文化・クリエイティブ産業の新たな振興策として2014年に導入されたプログラム。第1期の予算規模は14億6000万ユーロ、21年~27年の第2期は24億4000万ユーロ。欧州文化・言語の多様性と伝統を守り、文化・クリエイティブ産業を振興することを目的としたプログラムの仕組みと具体的な取り組みを紹介する。

第48号 ニューオープン/育成環境を考える(2022年12月発行)