一般社団法人 地域創造

大阪市 「'96なにわ人形芝居フェスティバル」 冥土INてらまち

 3月号の「今月の情報欄」に紹介していただいたこの催しは、3月23日(土)、24日(日)の両日にわたって、お寺の檀家さんの協力もあって、2万人の参加者(一般参加者1万4千人)を集め、盛会裡に終わった。

 

 舞台となった下寺町26か寺は、大阪夏の陣の直後に松平忠明の命令でこの地に集められたものである。上町台地の裾である松屋町筋に沿って約1.5キロメートルにわたり、東側に一列に並んでいる。

 

 戦災で一部焼け、建物こそ変わっているが、400年近く前の寺が今日までそのまま残っている。だが、檀家はほとんど郊外に出てしまい、この一帯は戦前と違い、門内に入り難い、通行人とは没交渉の地域になっていた。

 

 約3年前に一番南の一心寺に「一心寺シアター」がオープンした。寺がなぜシアターを持つのか、いぶかる向きもあったが、一心寺の高口住職はこう言い切ったのである。
「寺は誰もが一度は行かねばならぬあの世ツアーのこの世営業所だ。そうだとすればもう少しこの世とのかかわりをもち、目立ってもよいではないか。」

 

 今回のイベントも高口住職の呼びかけで始まった。話しかけてみると、全部のお寺さんが現状になにがしかの問題を感じていたのだが、1か寺では動きが取れないでいたのであった。だから、多少の懸念を乗り越えて、すぐにやろうということになった。

 

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 26か寺プラス1神社にスタンプが置かれ、このうちの6か寺プラス2劇場が人形芝居の舞台になった。参加劇団は43であった。四天王寺学園高校のボランティアが延べ80人、おかあさん団体が15団体(もっぱら雑貨や食べ物を売るフリーマーケットや食堂などのバザーを担当)が大活躍したことも特筆されてよい。

 

 だが準備不足のため、劇団用の弁当が準備できていなかったなどの部分的なミスもあった。また四天王寺・国立文楽劇場間を歩いてもらう(全長2キロメートル)ための細かい配慮なども、十分とはいえなかったことを反省している。もっと寺の境内に露天商を入れたり、食べ物屋、休憩場所などおもしろがる工夫があればもっとよかった。

 

 まだ正式には決めていないが、たぶん来年もやることになるだろう。人形は寺の本堂によく似合う。来年3月には、北の端の大蓮寺・應典院に劇場が完成するから、もっと催し物に幅が出来るだろう。

 

 今回は寺という宗教施設が舞台であるため、行政とは関係を一切もたなかった。しかし一部で辻説法をやったとしても、地域活性化に大きく寄与する催し物であるから、区の施設にポスターやチラシを置いてもらったり、公報に載せてもらっても、罰は当たらないだろう。いや、区長をはじめとするお役人たちにも、来年は是非遊びに来てもらえるようにご案内をしなければなるまいと思っている。

(倉光弘己・なにわ人形芝居フェスティバル運営委員長。神戸大学経営学部教授)

 

●'96なにわ人形芝居フェスティバル 冥土 IN てらまち
大阪市内のお寺の境内などを舞台にプロ・アマチュア43の人形劇団が参加。参加劇団は人形劇団クラルテ、ねぎぼうずSAYO、人形劇団トロッコ、谷ひろし(人形劇団京芸)+古谷哲也、池原由紀夫(人形劇団たけのこ)+筑波武蔵ほか。公演以外にもフリーマーケット、路上パフォーマンスなどの劇場市、倉光弘己(神戸大学教授)による「なにわの語り部養成講座)などを開催。
[日程]3月23日、24日
[会場]大蓮寺、源聖寺、大光寺、心光寺、西念寺、一心寺ほか

 

地域創造レター 今月のレポート
1996年5月号--No.13

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