一般社団法人 地域創造

特集「市民オペラ&ミュージカル」

 今回は、市民参加事業として注目されている市民オペラ&ミュージカルの情報を特集して、ご紹介します。このほかにも地域の歌劇団による活動などがありますが、今回は広く市民の参加を募るかたちで行われている催しを中心にご紹介しています。

 

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 芸術文化を地域づくり(人づくり)に役立てるという観点から、市民が参加する事業を企画する自治体やホールが増えています。なかでも、歌あり踊りあり演奏あり衣裳ありで、舞台上から裏方まで多様な嗜好をもった市民にそれぞれ活躍の場がつくれるオペラやミュージカルは、市民参加のための"総合"プログラムとして注目を集めています。

 

 地域創造に寄せられた情報によると、ホールのオープニングや周年事業をきっかけにして取り組むケースが多く、例えば、今年に入ってからのオープニングでは、名古屋市・名東文化小劇場、盛岡市民文化会館、北海道斜里町・ゆめホール知床、びわ湖ホール、新潟市民芸術文化会館、長崎ブリックホールがプログラムとして取り上げました。

 

 ちなみに今年で25周年を迎え、11月に記念事業を行う藤沢市民オペラも、元をただせば藤沢市民会館5周年記念事業としてスタートしたものです。今では自治体オペラの教科書としていろいろな局面で取り上げられ、その功績により多くの賞を獲得しています。藤沢市のように地元に有数のアマチュア交響楽団や合唱団を抱え、ホールの自主事業として恒常的に取り組める体制をもっているケースは稀ですが、こうした記念事業をきっかけに、市民の実行委員会や有志が新たに活動をはじめる例も多く、地域文化の刺激剤になっているのではないでしょうか。

 

 また、新しいホールの中には、日立シビックセンターや広島アステールプラザ、河内長野マイタウンオペラのように地域文化の創出を目指して積極的に事業を展開するところもでてきました。

 

 例えば、長野県岡谷市のカノラホールでは、地元の諏訪大社の御柱祭を題材にして(本年11月初演。以後、祭りの年に開催)、地域のレパートリーづくりとしてオペラに取り組んでいます。こうした取り組みにより、市民創作函館野外劇『五稜星よ、永遠に』、高岡野外音楽劇『越中万葉夢幻譚』など、年月を経て地域の財産になった演目も生まれています。

 

 近年は、市民参加事業に対する補助制度が充実してきたこともあり、東近江創作ミュージカルや島根県加茂町のように、コミュニティのお祭りとして、手づくりミュージカルを上演するところも増えてきました。また、八戸市民創作オペラのように文化団体の総合発表会的な場づくりとして取り組み、成果を上げているところもあります。

 

 総合芸術であるオペラやミュージカルは、地域の人材の受け皿として極めて効果的である一方、プロダクションが複雑であり、費用もかかることから、マネージメントという意味で課題を抱えているところも多いようです。ぜひ、この情報を活用していただき、自分の目で現場を確かめていただければと思います。

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