一般社団法人 地域創造

アーツセンター情報

北海道・東北

 

●川崎村生涯学習ステーション(まなぽーと)(岩手県川崎村)

 

〒029-0202 東磐井郡川崎村(かわさきむら)薄衣字諏訪前7-1
Tel. 0191-43-3112 [担当]土方和行
98年12月12日オープン
公民館移設を契機に村中心部に建設された生涯学習施設。図書館、ホール、公民館が入る。ホールは、村の人口、近隣のホールとの棲み分け等を考慮した230席の多目的型。各種文化活動の発表の場として住民に積極的に利用してもらう。ロビー2階の壁面は、回廊ギャラリーとして住民の創作活動の発表に利用。地域の活性化、地域間交流の拡大、生涯学習の振興に向けた施設の活用に努める。

 

[オープニング事業]「開拓の詩人・伊藤勇雄の世界」(98年12月12日)
[施設概要]ホール(230席)、音楽研修室、和室研修室、調理研修室、研修室3
[設置・運営者]川崎村
[設計者]関・岡設計

 

 

北陸・中部

 

●婦中町ふれあい交流センター(婦中町ふれあい館)(富山県婦中町)

 

〒939-2727 婦負郡(ねいぐん)婦中町(ふちゅうまち)砂子田1-1
Tel.0764-65-3113 [担当]横野昭
98年11月14日オープン
新設のホール「ふれあいセンター」と既存の体育館、旧社会教育センター(図書館・中央公民館・勤労青少年ホーム)をつないだ3館一体の複合施設。ふれあいホールは、音楽、演劇、講演などに利用可能なプロセニアム形式。1階部分は可動式フロアーを採用し、収納して美術展や軽運動にも利用。「豊かで文化・体育を育むまち」の実現に向け、町民のふれあいの場として活用する。

 

[オープニング事業]「ふるさとみらい21」(98年11月14日)
[施設概要]ふれあいホール(700席)、楽屋2、カルチャー室、会議室
[設置・運営者]婦中町
[設計者]押田建築設計事務所

 

中国・四国

 

●香川県立坂出・宇多津圏域健康生きがい中核施設(ユープラザうたづ)(香川県宇多津町)

 

〒769-0206 綾歌郡宇多津町(うたづちょう)浜六番丁88番地
Tel. 0877-49-8020 [担当]合田幸生
98年11月22日オープン
「香川県健康生きがい中核施設整備基本構想」に基づき建設された複合文化施設。ホールのほか、図書室、研修室などの生涯学習機能を備える。ハーモニーホールは、プロセニアム型で音楽、演劇、講演などの多目的な利用が可能。アトリエは、陶芸、工作、絵画などの創作活動に利用。図書室の「ライブラリーうたづ」には、書籍のほかパソコン、AVコーナーや幼児への絵本の読み聞かせができるコーナーも配置。健康、生きがい、ふれあいづくりの場として幅広い世代に活用してもらう。

 

[オープニング事業]町制百年記念式典(98年11月22日)
[施設概要]ハーモニーホール(624席)、リハーサル室、楽屋5、視聴覚室、会議室、研修室2、アトリエ2、和室2
[設置者]香川県
[運営者]宇多津町
[設計者]大建設計

 

●愛媛県美術館(愛媛県松山市)

 

〒790-0007 松山市堀之内
Tel. 089-932-0010 [担当]村田純一郎
98年11月27日オープン
新設した新館と旧県立美術館を改装した南館からなる美術館。国指定史跡の松山城三の丸跡に、城郭の景観と調和するように建設。展示室は、新館1階に企画展示室、新館2階に特別展示室と常設展示室を設けて、国内外の有名画家の作品のほか、郷土ゆかりの作家の作品を紹介。南館には、県民ギャラリー、県民アトリエ、実技教室を配置して、県民の創作学習活動の場を提供。開館記念展「近代日本の美術」では、近代日本を代表する洋画と日本画を展示。今後、展示・収集や調査・研究機能のみならず、作品を創り、学ぶ新しい参加創造型の美術館として、県民の美術活動の拠点となることを目指す。

 

[オープニング事業]開館記念展「近代日本の美術」(98年11月27日~1月10日)
[施設概要]特別展示室3、常設展示室3、企画展示室2、県民ギャラリー12、県民アトリエ2、実技教室、ハイビジョンギャラリー、講堂、研修室、美術情報・図書コーナー
[設置・運営者]愛媛県
[設計者]日建設計(新館)

クローズアップ

人形劇カーニバルを軸にした飯田文化会館の活動

 

 広場を囲んで並び建つ飯田文化会館と飯田人形劇場。ここが、毎年夏には、全国的な人形劇の祭典として有名になった「人形劇カーニバル飯田」の主会場となる。飯田文化会館では、人形劇カーニバルで蓄積されたノウハウや評価を元に、この10年人形劇関連の事業はもちろん、「アフィニス夏の音楽祭」の受け入れ、市民構成劇など幅広い自主事業を展開してきた。人形劇カーニバルとの関わりを軸に、飯田文化会館の歩みをたどってみよう。

 

●「人形劇カーニバル飯田」のスタート

 

 「全国の人形劇団が集まって人形劇を上演する祭典を開催したい」。1978年、国際児童年の記念事業を検討していた飯田市が、そうした人形劇人の提案を受けるかたちでカーニバルがスタートする。当初、飯田市側で運営の核となったのは、市内に18ある公民館だった。「各公民館の職員が積極的に地域の人に呼びかけて、いろいろな取り組みを行いました」と、かつて公民館でカーニバルに関わり、現在、文化会館の事業係長を務める原国人さん。そうした取り組みの中で、市民の中にも「人形劇の町、飯田」という意識が生まれ、行政も町づくりの資源として人形劇に注目するようになる。10年目の88年には、世界人形劇フェスティバルが盛大に催され、あわせて文化会館の隣に人形劇専用劇場が建設された。

 

●貸館から事業館へ

 

 その人形劇場の開設が、文化会館の運営にも転機をもたらす。1972年に開館した文化会館は、それまで貸館業務のみで自主事業は行っていなかった。しかし、人形劇の専用劇場を文化会館が管理することになったことで、飯田市でも文化施設の運営が見直されることになる。当時は、全国的にも公立ホールが自主事業を積極的に展開しはじめた時期。長野県内にも、岡谷市のカノラホールなど事業館としての姿勢を明確にしたホールがオープンする。そうした動きも追い風となり、飯田文化会館は人形劇場とともに事業館として再スタートすることになった。カーニバルの事務局も文化会館に移管。新たに事業係が設けられ、公民館でカーニバルの運営を経験したことのある職員を含め、3人が配置された。

 

●自主事業の展開

 

 こうした経緯から、自主事業の方針は、「(1)人形劇の育成・振興事業」と、公民館で市民の文化活動を身近に見てきた職員の問題意識を反映した「(2)全市的な視点で市民の文化活動をコーディネートし、レベルアップを図る事業」、の2本柱となる。

 

(1)については、鑑賞事業、市民人形劇団の育成事業に加え、指導者研修事業に力を入れている。対象は市内の小・中学校の先生、保母さんなど。教育委員会が積極的に働きかけたこともあり、96年には市内の小・中学校全てに人形劇クラブが揃った。(2)については、事業館に転換した当初から「市民構成劇」構想が浮上していた。専門家の指導を受けながら、出演は全て市民による音楽劇を上演しようというものだ。93年、文化庁の地方拠点都市文化推進事業の認定を受け(~97年)、この構想が実現する。脚本・演出は、人形劇カーニバルの縁でふじたあさや氏に依頼。2年間の稽古・準備期間を経て、96年2月に上演された市民創作ミュージカル『かざこし姫となかまたち』は、追加公演まででる大成功をおさめた。これを機に市民劇団が結成され、毎年公演を重ねている。さらに、ふじた氏の所属する日本演出者協会から、「アマチュア演劇人の育成を目的としたワークショップができないか」という話があり、98年度から「演劇大学 in 飯田」が開講されることになった。市民劇団の参加者も、受講生として参加、スキルアップをめざしている。

 

 主催事業ではないが、88年から飯田文化会館を主会場に開催されている「アフィニス夏の音楽祭」も事業の大きな柱だ。プロの若手オーケストラ団員の育成を目指す滞在型のセミナーで、海外の一流奏者が講師として飯田を訪れ、公開セミナーや、地元奏者との共演による小中学生のためのコンサート「あいうえ音楽館」なども開催される。93年には、音楽祭の刺激を受け、市民オーケストラも誕生した。「こんな事業は文化会館単独ではとてもできません。事業館へと転換した年に偶然、アフィニス文化財団から受け入れの打診があったんです。『人形劇カーニバル飯田』を知った関係者が、飯田は文化に理解がある、と候補地にあげていただいたそうです」。「振り返ると、タイミングよく外から話を持ちかけられて、いろんな事業が実現してきた気がします」と原係長。「人形劇カーニバル」を通じて蓄積されたノウハウと評価、人脈が、結果としてさまざまな事業を呼び込み、現在の幅広い事業展開につながっていることが見えてくる。

 

●カーニバルの再出発

 

 その「人形劇カーニバル」が、大きな曲がり角を迎えている。膨れ上がる一方の規模、手弁当方式の限界、マンネリ化などの問題に加え、カーニバルが地域のお祭りとして定着する中、行政と人形劇人との間に意識のずれが生じてきたようだ。第20回のカーニバル終了後、人形劇人側の調整を行ってきた「人形劇人委員会」が解散。これを受けて、来年以降は、「市民主導」をテーマに、新たな組織づくりから取り組むことになった。20年間の蓄積を元に、どんな再出発をすることになるのか。99年の飯田の夏に注目したい。

 

●飯田文化会館

[開館]1972年
[施設概要]大ホール(多目的、固定席1288)、展示室3室、会議室5室、和室4室、講習室、人形工作室、楽屋3室

 

●飯田人形劇場
[開館]1988年
[施設概要]ホール(可動席200)、楽屋2室

 

●主な事業
人形劇カーニバル(事務局)、人形劇指導者育成事業、地域舞台芸術家育成事業(文化団体の要望に応じ、指導者招聘費用を負担)、市民構成劇(93年~97年)、演劇大学(98年~)、アフィニス夏の音楽祭(協賛)

 

●事業費と体制
事業費約2500万円(カーニバル負担金は別に2000万円)。市教育委員会の直営。職員数:事業係3名、人形劇のまちづくり係(94年~)5名。

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