一般社団法人 地域創造

リージョナルシアター・シリーズ

 -地域劇団の登竜門として定着-

 全国各地の若手・実力派劇団を紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」が、今年も11月21日~12月8日にかけて、東京芸術劇場小ホールで開催されます。このシリーズは、地域創造と東京国際芸術祭との共催により1999年にスタート。4年目を迎える今年は、初登場の3劇団に加え、これまでに参加した劇団から2劇団が再登場し、計5劇団が競演します。今号では、今年の見どころと、関連事業「リージョナルシアターズ・ミーティング」について詳しくご紹介します。

 

●初参加3劇団は名古屋、大阪、宮崎から

 初登場の3劇団の中で実力No.1は、名古屋の人気劇団「劇団B級遊撃隊」です。同劇団の結成は86年。シニカルでナンセンスな不条理劇を得意とし、その劇世界は多くのファンに支持されています。作家の佃典彦は、96年に読売演劇大賞作品賞を受賞するなど劇作家としての評価が高く、今回の新作に期待が高まります。
 群雄割拠の大阪から参加するのは、「劇団Ugly duckling」。平均年齢25歳の若手劇団でありながら、2年連続でOMS戯曲賞を受賞した樋口美友喜、若手演出家コンクール2001年優秀賞受賞の池田祐佳理など、気鋭の才能を擁する要注目劇団です。宮崎県都城市を拠点とする「劇団こふく劇場」は、作・演出を担当する永山智行が、01年第2回AAF戯曲賞を受賞するなど、同じく今後が期待される若手劇団です。

 

●再登場の2劇団の新境地

 さらに今年は、シリーズ出演劇団の成長と新しいチャレンジを観ていただこうと、過去の参加劇団の中から2つの劇団を紹介します。
まず、北九州の劇団として着実な活動を重ね、東京公演の評価も定着してきた「飛ぶ劇場」が夏目漱石の『こころ』に想を得たという愛憎劇『ミモココロモ』を上演します。これは、大学の映研を舞台に、現代の若者のこころの襞を見事に切り取った作品です。映像を効果的に用いた演出や、関西を拠点に活躍する美術家、柴田隆弘氏を迎えた舞台美術も見どころとなっています。
 一方、瀬戸内の方言、柳井弁を用いた女優二人の会話劇が特色の「POP THEATRE Я」は、文学座から加納朋之氏を客演に招き、柳井で創りあげた作品を披露します。柳井弁、標準語が巧みに入り混じるこの作品は、作・演出の自由下僕が「本当に柳井弁の芝居をつくれた気がする」という自信作。2劇団の新境地に注目です。

 

東京芸術劇場小ホール1

●劇団B級遊劇隊『消しゴム』(名古屋)

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[日程]11月21日(木)~24日(日)
[作]佃典彦
[演出]神谷尚吾
[出演]神谷尚吾、山口未知、佃典彦、斉藤やよい、池野和典、山積かだい、山積わたしも、徳留久佳、向原パール、木村庄之助(プロジェクト・ナビ)

◎86年、名城大学OB佃典彦、神谷尚吾らを中心に旗揚げ、89年東京初進出。下北沢を中心に東京公演を重ねている名古屋のおなじみの実力派劇団。まるでアドリブのような手法で不条理世界に切り込んでいく「シニカル・ナンセンス・不条理」の世界には多くのファンがいる。佃典彦は劇作家として評価が高く、外部書き下ろしも多い。
◎問い合わせ:劇団B級遊撃隊 Tel. 052-752-6556

 

●劇団Ugly duckling『眠りの切り札』(大阪)

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[日程]11月26日(火)~28日(木)
[作]樋口美友喜
[演出]池田祐佳理
[出演]出口弥生、中村隆一郎、吉川貴子、ののあざみ、早川丈二、後藤七重(フリー)、樋口美友喜、池田祐佳理

◎94年に池田祐佳理、樋口美友喜が中心となり結成、95年梅田スペース・ゼロにて旗揚げ。大阪を中心に活動中。主宰・演出の池田は若手演出家コンクール2001優秀賞受賞、劇作の樋口は2年連続OMS戯曲賞大賞を受賞という快挙を成し遂げている。少年犯罪など社会問題を斬新な視点・演出で舞台化している。
◎問い合わせ:劇団Ugly duckling Tel. 06-6934-9748

 

●劇団こふく劇場『やがて父となる』(宮崎)

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[日程]11月30日(土)、12月1日(日)
[作・演出]永山智行
[出演]あべゆう、山崎宏二、吉國浩二、奥裕一、丸崎浩一、吉岡永利子ほか

◎90年に「劇団クロスピア」として結成、一時活動停止後、97年に「劇団こふく劇場」と改称し活動再開。宮崎県都城市に拠点をおく。地域文化との繋がりに重点をおき、ワークショップ開催や九州在住の作家への戯曲の執筆依頼などをしている。代表永山の作品『空の月、胸の石』(95年)、『北へ帰る』(96年)は、劇作家協会新人戯曲賞最終候補作品となる。今回はAAF戯曲賞受賞作『so bad year』から2年ぶりの新作を携えての注目公演。
◎問い合わせ:劇団こふく劇場 Tel. 0986-26-6422

 

●POP THEATRE Я『空』(山口)

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[日程]12月6日(金)~8日(日)
[作・演出]自由下僕
[出演]JUN、国崎砂都美/加納朋之(文学座)

◎93年に山口県柳井市で代表久保田修治らを中心に結成、94年旗揚げ。廃屋となった映画館「みどり会館」を劇場兼稽古場に改修、拠点として活動している。劇団公演のほか2000年より「IKACHI国際舞台芸術祭」(伊陸=地名)を開催、内外のアーティストとの交流も活発である。柳井弁の会話劇が特徴。第2回リージョナルシアター・シリーズに『蛇口』(劇作家協会新人戯曲賞最終候補作品)で参加。今回は東京から客演を迎え新境地に挑む。
◎問い合わせ:POP THEATRE Я Tel. 090-1187-9079

 

ホール2

●飛ぶ劇場『ミモココロモ』(北九州)

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日程]12月6日(金)~8日(日)
[作・演出]泊篤志
[出演]寺田剛史、有門正太郎、橋本茜、松下好(エルカンパニー/bird's-eye view)、権藤昌弘、木村健二、黒崎あかね、つかのみき、内山ナオミ、藤尾加代子、門司智美、泊達夫、内田ゆみ

◎87年に結成、93年から泊が脚本・演出を担当し、95年より劇団代表となる。北九州を本拠地に東京・関西・四国などで公演を重ね、「九州の劇団・飛ぶ劇場」として知られている。99年に第1回リージョナルシアター・シリーズ『IRON』(99年度岸田戯曲賞最終候補作品)で参加。東京公演は今回で5度目。
◎問い合わせ:飛ぶ劇場制作事務所【toban-ne】 Tel. 093-873-7460

 

●各地の話題満載のミーティング
 会期中11月22日には、出演劇団代表ほか豪華ゲストを迎えたトークセッション「リージョナルシアターズ・ミーティング」を開催します。
 今年は、名古屋、北九州2つの地域をクローズアップ。北九州で2003年秋にオープン予定の大型劇場「北九州芸術劇場(仮称)」の話題など、最新の情報が満載です。さらに特別企画として「関西の小劇場」をテーマにしたセッションを予定しています。関西の小劇場を支えてきた民間劇場の閉鎖が相次いで報じられるなか、今、関西の表現者は何を考えているのか?リージョナルに関係の深い劇団諸氏を迎え、その本音に迫りたいと思います。関心のある方はどなたでも参加できますので、担当までお問い合わせください。

 

●リージョナルシアターズ・ミーティング

[日時]11月22日(金) 13:00~18:00
[会場]東京芸術劇場中会議室
[参加費]無料
[参加方法]要申し込み(欄外参照)
◎セッション1
「名古屋的演劇環境」
 佃典彦(劇団B級遊劇隊代表)
 はせひろいち(劇団ジャブジャブサーキット代表)
 籾山勝人(長久手町文化の家)ほか
◎セッション2
「北九州芸術劇場(仮称)と富士見市民会館 キラリ☆ふじみの試み」
 泊篤志(飛ぶ劇場代表)
 平田オリザ(青年団代表/キラリ☆ふじみプロデューサー)ほか
◎リージョナル特別企画「関西小劇場を考える」
 土田英生(劇団MONO代表)

 岩崎正裕(代表)

  深津篤史(劇団桃園会代表)ほか
※タイトル・パネリストは変更の可能性あり

 

●リージョナルシアター・シリーズに関する問い合わせ
東京国際芸術祭 Tel. 03-5428-0337
http://anj.or.jp

●リージョナルシアターズ・ミーティングに関する問い合わせ
地域創造芸術環境部 宮地俊江
Tel. 03-5573-4065

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