一般社団法人 地域創造

「リージョナルシアター・シリーズ」閉幕

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 11月21日からの劇団B級遊撃隊公演を皮切りに、全国から選抜された5劇団が東京で競演した第4回「リージョナルシアター・シリーズ」も無事閉幕しました。ご協力をいただきました皆様、本当にありがとうございました。
 リージョナル初登場組(名古屋・劇団B級遊撃隊、大阪・劇団Ugly duckling、宮崎・劇団こふく劇場)の中では、東京初お目見えで関西の次代を担うと期待されているUgly ducklingに注目が集まりました。時間や空間を縦横にコントロールする物語性と身体性の強い舞台は、80年代以前の小劇場の継承者として東京の観客にも好感を呼んでいました。また、第1回リージョナル以来、定期的に東京公演を行い、一作ごとに実力を付けてきた飛ぶ劇場の『ミモココロモ』は、商業劇場でも通用する極めて完成度の高いプロダクションで、本格的な地域劇場の可能性を示し、大成功となりました。

◎ホットな情報満載のリージョナル・ミーティング

 地域劇団の現状が把握できることから、関係者の間で高い評価をいただいている「リージョナルシアターズ・ミーティング」。今年度は3つのセッションが行われ、演劇事業に力を入れている「長久手町文化の家」、2003年にオープン予定の「北九州芸術劇場(仮称)」、平田オリザ氏がプロデューサーに就任した「富士見市文化会館キラリ☆ふじみ」など公立ホールの最新の取り組みや、民間劇場の閉鎖が相次ぐ大阪のこれからについての話し合いが行われました。

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 その中で特に印象に残ったのが、少ない予算でホールを運営するために、平田氏が東京近郊という富士見市の地の利を活かして提案した「キラリ☆ふじみ」の取り組み。

 「劇場は作品をつくることで生き生きしてくるけど、予算がなくてつくれない。それで東京の劇団などに劇場を2週間単位で公演前の稽古用に無料開放し、リハーサルを公開してもらうことにした。お金は出してないけど、富士見でつくったわけだから富士見発だ!と言っても嘘じゃない(笑)。それから、市民ボランティアを育成して、劇場でしか使えない地域通貨“アーツ”で代価を支払う。自治体の公募債の利子も“アーツ”にすれば10%でも払えるし。それでどんどん芝居を見てもらう。アーツを支払える文化施設のネットワークも考えていて、僕はコレを“アーツ帝国主義”と呼んでいます(笑)」(平田オリザ)
 このほか、セッション3では、関西小劇場を支えている内藤裕敬(南河内万歳一座座長)、土田英生(MONO代表)、深津篤史(桃園会代表)が、「大阪のど真ん中に小劇場を取り戻す会」の設立趣旨などを説明。「劇場がなくなることは不満だという意思を示せる場所をつくりたかった。活動内容は限定していないが、この会員が次に何かやる時のベースになると思っている」(土田)、「劇場について世代間で温度差がある」(内藤)など、東京にいては知ることのできない関西演劇人たちの“思い”に触れた90分となりました。

 

リージョナルシアター・シリーズ
[日程]2002年11月21日~12月8日
[会場]東京芸術劇場小ホール
[参加団体]劇団B級遊撃隊『消しゴム』(名古屋)/劇団Ugly duckling『眠りの切り札』(大阪)/劇団こふく劇場『やがて父となる』(宮崎)/POP THEATRE Я『空』(山口)/飛ぶ劇場『ミモココロモ』(北九州)

リージョナルシアターズ・ミーティング
[日程]2002年11月22日
[会場]東京芸術劇場 中会議室
[セッション1]佃典彦(劇団B級遊撃隊代表)/はせひろいち(劇団ジャブジャブサーキット代表)/籾山勝人(長久手町文化の家)/佳梯かこ(プロジェクト・ナビ女優)
[セッション2]泊篤志(飛ぶ劇場代表)/平田オリザ(青年団代表、キラリ☆ふじみプロデューサー)/佐々木達也(朝日新聞社学芸部)
[セッション3]内藤裕敬(南河内万歳一座座長)/土田英生(MONO代表)/深津篤史(桃園会代表)/津村卓(地域創造プロデューサー)

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