一般社団法人 地域創造

岐阜県多治見市 多治見市文化振興事業団 「たじみオープンキャンパス」 「music garden」

●マルチ育成財団のチャレンジ~菱川浩二(多治見市文化振興事業団)

  多治見市文化振興事業団は、名前から想像できないぐらい幅広い領域をカバーしている“マルチ育成財団”です。僕は、民間から財団のプロパー職員になって6年目ですが、その間に文化会館に3年、青少年育成施設に1年、公民館に1年いて、去年からは全体を統括する本部(調整・広報) に配属されていることからもおわかりかと思います。

 そういう文化振興、生涯教育、自然環境学習まで扱っているマルチな財団として、今、力を入れている事業が「たじみオープンキャンパス」です。これは、簡単に言うと“教えたい(講師になりたい) ”という市民を募集して、主体的に講座を企画してもらうというもの。「受講希望者がいなければ開講しない」「講師料は受講料で賄う」といった市場原理を取り入れて、教えたい意欲のある人を地域の人材として取り込めるような登録制にしました。また、市民が自分たちで講座を計画できるよう、僕たちが全面的にサポートしました。

 やってみて初めてわかったのは、教えたいという人がもの凄くたくさんいるということと、そういう市民に教わりたいと思っている市民もたくさんいる、ということ。最初は、受講者から不満が出ることもあるのではと心配でしたが、講座の様子を覗いてみたら、教える方も教わる方も、和気あいあいとして満足してる。

 当初からの課題として「市民が自発的に文化活動に入っていける仕組みがない」というのがあり、では市民による市民のためのシステムをつくってしまおう、というのが発想の原点でしたが、「教室に通うほど本格的にやりたいわけじゃないし、そんな勇気もないけど、ちょっとだけ学んでみたい」というニーズがこんなにあったのかとちょっと驚きました。

 今では講座を通じた新しいコミュニティができているようです。公民館の担当者とも話し合って、地域の人材を発掘してもっとプログラムを充実させたいと思っています。ちなみに、公民館の館長は一般公募。公民館単位で地域づくりを考える「公民館活性化委員会」も積極的に活動するようになっているので、これからますます面白くなりそうです。

 もう一つの新しい試みが、年に5回ほどやっているコンサートシリーズ「music garden」です。もっと市民の方にホールに親しんでもらうのと、職員の専門性とプロデュース能力を高めるために、市民──音楽関係者やFM局のパーソナリティ──と一緒に文化会館小ホールの企画づくりをやろうと3年前に立ち上げました。

 「music garden」は、地元の演奏家を取り上げることと、“タブーを破る”をコンセプトにしていて、文化会館で禁止されているお酒付きのコンサートができないかと、事業団所管の宿泊施設を使って、アーティストと泊まり込みで演奏&交流する「森山威男 HOT JAZZ NIGHT in 地球村」を実現しました。

 オープンキャンパスにしろ、「music garden」にしろ、マルチな財団だからこそ取り組める“新しいジャンル”がつくれたんじゃないかと思っています。

 

◎約80名の市民とアーティストが徹夜で交流

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 「music garden」は気軽に来てもらえるコンサートを目指して、チケット代も1000円、1500円を基本にやっています。その中でドリンク付きのアイデアが出たのですが、公共施設で唯一飲める場所が地球村でした。100名まで宿泊でき、演奏家とお客さんが泊まり込みでライブを体験できれば、交流も深まるし良いのではないかと。3階まで吹き抜けになっているロビーでコンサートをやった後、夜9時半から宿泊組80名がアフターライブと称して交流会に突入。昼間から焼いていた豚の丸焼きを囲んで盛り上がりました。北海道、岩手、大阪など全国から駆けつけた森山さんのファンと市民が一緒になって。森山さんの仕切りで自己紹介したりしながら午前4時まで語り明かしました。「ここでこんなコンサートができるんだ」「公共でもこんな企画が立てられるんだ」と大好評でした。

(多治見市文化振興事業団 宮嶋浩・談)

 

多治見発music garden 12th「森山威男 HOT JAZZ NIGHT in 地球村」

[日程]3月1日 [会場]三の倉市民の里「地球村」[入場料]4000円(ソフトドリンク・軽食付き) /アフターライブチケット1500円(フリードリンク付き・宿泊料込み)

 

たじみオープンキャンパス

2001年開始。年4回開講。講師希望者はアドバイザーに登録し、講座計画をつくって受講生を募集。希望者が10名に満たない場合は不成立。講座期間は1講座あたり3ヶ月(月12回) 以内。アドバイザー報酬は講座1回に付き3000円。本年度は計130講座、受講者数延べ約2000人。

 

多治見市

人口約10万人。岐阜県の南南東に位置し、古くから東濃の交通の拠点として栄え、陶器の生産地として有名。95年、現・西寺雅也市長が就任したのを機に積極的な行政改革を実施。

 

多治見市文化振興事業団

文化関係・生涯学習・自然環境学習施設を一括して運営する財団として97年に設立。多治見市文化会館、公民館(7館) 、学習館「まなびパーク」、土岐川観察館、三の倉市民の里「地球村」、勤労青少年ホーム、産業文化センター、土岐川観察館、図書館(分館) の管理、事業企画・運営、情報誌の発行等を行う。

 

 

地域創造レター 今月のレポート
      2003.4月号--No.96

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