一般社団法人 地域創造

平成16年度新規・拡充事業について(理事長あいさつ/16年度以降の主な新規・拡充事業の紹介/16年度新規事業実施団体募集案内)

財団法人地域創造は、芸術文化の振興により創造性豊かな地域づくりを実現するため平成6年9月に設立されました。来年度、10周年を迎えるにあたり、この間の環境変化や地域の新たな要望を踏まえ、より積極的に地域の取り組みを支援すべく、皆さまのご協力を得て、事業の拡充・強化を図ることになりました。平成16年度からの新規事業の募集を行うにあたり、財団としての考え方につきまして、遠藤安彦理事長よりごあいさつをさせていただきます。

 

2003年9月25日

 

●理事長あいさつ

  私が理事長に就任してから6年になります。当初は、「地域創造」という財団名を申し上げる度に、「どのような事業をされるところですか」と尋ねられることがしばしばでした。「地域創造」は韓国語で「チョッチャンジョ」と言うのですが、韓国では「地域をつくってしまうのですか! 凄いですね」と言われたり(笑)。本来でしたら「地域文化振興財団」とでもすればよかったのでしょうが、新しい試みをする財団なのだから、思い切って新しい名前に挑戦しようと……。今にして思えば我々の活動に相応しい、とてもダイナミックな財団名だったと思っています。

この10年、私たちは財団の事業を通じて、時代に即応した芸術文化により地域住民の方々が人生のよろこびや感動を共有できる創造的な事業を実施している地方公共団体やホールを応援してきました。皆さまの尽力でこうした取り組みが定着するとともに、財団名も普及し、活動についてご理解いただけるようになりましたことを、心より感謝申し上げます。

 

 

  私たちは、財団設立にあたり、10年間の資金計画を策定しました。宝くじの資金のご協力により、平成15年度には予定通りの基金の積み立てを終了します。しかし、低金利時代となり基金運用益だけで事業を実施することは困難になりました。この2年、これからの資金計画を含め、10年目以降の財団運営をどうするかについて、いろいろな方のご意見をうかがい、相談してまいりました。

  昨年は、調査研究事業として財団の方向性を検討する研究会を開き、各分野の有識者の方にご意見をいただきました。今年は、都道府県の文化振興担当課長さんにお集まりいただき、全国6ヵ所で「ブロックラボ」を開き、積極的な意見交換をさせていただきました。こうしたご意見をもとにしてとりまとめていったのが平成16年度以降の事業の数々です。

「地方財政が厳しさを増す中で、どんなに成果を収めている事業でも予算確保が難しい状況になっている。しかし、各地の努力で芽生えた地域活性化の芽を途絶えさせることはできない」──こうした熱い思いを共有してくださった都道府県・政令指定都市および市町村の皆様、宝くじ関係の財政当局の皆様などのご尽力により、新たな資金計画を策定することもできました。改めて、関係者の方々には心より感謝申し上げる次第です。

 

 

 新規事業の中で力を入れているもののひとつに「公立文化施設活性化支援事業」があります。何か事業をやるからそれに対して支援をするというのではなく、目標を設定し、それを実現するための計画を策定していただき、計画段階から実施まで4年にわたって助成するというものです。意欲のあるところにチャレンジしてもらうためにはどうしたらいいか、皆で知恵を出しながら考えた事業で、公立文化施設の活性化のための大きな力になるのではと期待しています。

  今回の事業計画の中では、都道府県への支援の拡充を1つの柱として打ち出しました。美術領域では、県立美術館等の共同企画展と県内の市町村美術館とのネットワーク事業への支援、音楽領域では、都道府県のホールや財団が専門性を発揮しながら県内の市町村ホールと連携して実施するクラシックの演奏家の派遣事業(都道府県版公共ホール音楽活性化事業「音活アウトリーチ・フォーラム事業」)への支援、そして都道府県が実施する大規模な芸術文化国際交流事業への支援です。

 特に、国際的な観点からの芸術文化交流は、地域の刺激となるだけでなく、人材交流の側面からも地域活性化に貢献する事業としてぜひとも推進していただきたい取り組みのひとつです。しかし、実績があるにもかかわらず財政難から事業の継続が危ぶまれているものも多く、財団としての支援の必要性を感じました。

 財政規模が異なるため自ずと差があるとはいうものの、これまで都道府県と市町村との役割分担についてはあまり意識されないできたところがあるように思います。都道府県への支援を拡充したのを機に、県域をカバーするソフト主体としての役割について考えるきっかけにしていただければ幸いです。

 

 

 既存事業の中で重点的に拡充したのが「公共ホール音楽活性化事業」です。前述した都道府県版への支援だけでなく、実施団体数をこれまでの10数団体から30団体に倍増しました。ホール職員の刺激と経験になるだけでなく、若手アーティストの育成にも繋がる取り組みで、地域からの熱い要望で拡充が実現しました。市町村の数からいえば、まだまだ点のような活動に過ぎませんが、この事業のさらなる成長を見守ってまいりたいと思っています。

 財団設立以来、力を注いできたのが人材育成事業です。お陰様で「ステージラボ」修了生は1000名を超え、未だに応募者が絶えないなど、公立ホールの研修プログラムとしてすっかり定着し、大変うれしく思っています。

 昨年からはラボ修了生を対象とした「マスターコース」をスタート、力のある職員に研究の機会を提供してきました。その成果を踏まえ、机上の空論から実践へとステップアップを図るべく、皆さんが考えていることを1つでも実現していただけるよう「研修企画支援事業」を新設しました。研究仲間とともにネットワークを組みながら夢の企画を実現し、研究の成果を地域に還元していただければと思います。

 また、美術館職員のための研修事業として「アートミュージアム・ラボ」を拡充していきたいと考えています。公立文化施設として美術館が立地している地域に貢献できることはたくさんあります。「アウトリーチ」という言葉がありますが、そういう「地域に打って出る美術館」という考え方が少しでも普及するよう支援していきたいと思っています。「ステージラボ」が芸術文化による地域づくりというホール運営の考え方を広めたように、美術館から新しい感動の波が地域に広がることを願っています。

 

 

 財団法人地域創造は、都道府県・政令指定都市や地域財団などから派遣された、地方公共団体の職員が中心となり、外部の専門家と協力しながら運営を行っています。このことは、地域の芸術文化環境づくりを目指す財団として、誇りとするところです。これまでの多大なご協力をいただいた関係団体に対して心から感謝申し上げるとともに、こうした人材が地域に帰って芸術文化の理解者として活躍されることを心から祈っています。

 この6月に地方自治法が一部改正され、時代の要請を受けて公共施設をNPOや民間企業などに運営委託することができるようになりました。地域創造はこうした運営主体とも連携し、公立文化施設の活性化とそれを通じた地域の振興、地域住民の幸せのために、なお一層の努力をしてまいりたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

遠藤安彦

 

※設立10周年を迎える2004年9月には、これまでの成果を見ていただけるような記念イベントも企画する予定です。どうぞお楽しみに。

(インタビュー・坪池栄子)

 

●16年度以降の主な新規・拡充事業の紹介

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※ ★マークのついている事業については、以下に募集記事を掲載しております

 

●16年度新規事業実施団体募集案内(申込締切:10月24日)

平成16年度「公立文化施設活性化支援事業」

平成16年度分は初年度の活性化計画の策定事業のみが対象になります。
【助成対象】公立文化施設活性化支援事業を実施する次に掲げる公立文化施設を管理、運営している者

(1) 地方公共団体 (2) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人のうち、地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律第81号。以下「改正法」という。)附則第2条の規定により、なお従前の例によることとされた改正前の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき公の施設の管理を行うもの (3) 改正法による改正後の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者として指定を受け、公の施設の管理を行う法人その他の団体 (4) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人((2) を除く。)のうち、地方公共団体が基本金その他これに準ずるものを出資している法人で地域創造が特に認めるもの

【対象事業】公立文化施設活性化計画策定支援事業(以下「活性化計画策定支援事業」という。)/公立文化施設活性化計画推進支援事業(以下「活性化計画推進支援事業」という。)

【助成期間】活性化計画策定支援事業:単年度/活性化計画推進支援事業:上記支援事業の助成決定の翌年度から起算して3ヵ年以内

【助成額】活性化計画策定支援事業:直接経費の3分の2以内とし、100万円が上限/活性化計画推進支援事業:直接経費の2分の1以内とし、1,000万円が上限

 

平成16年度「芸術文化国際化推進事業」

【助成対象】(1) 都道府県、政令指定都市(以下「都道府県等」という。) (2) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人のうち、地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律第81号。以下「改正法」という。)附則第2条の規定により、なお従前の例によることとされた改正前の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき都道府県等の施設の管理を行うもの (3) 改正法による改正後の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者として指定を受け、都道府県等の施設の管理を行う法人その他の団体 (4) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人((2) を除く。)のうち、都道府県等が基本金その他これに準ずるものを出資している法人で地域創造が特に認めるもの (5) 上記(1) 、(2) 、(3) 又は(4) が参画する組織で、地域創造が特に認めるもの

【対象事業】○創造的で国際色豊かな芸術文化活動であること ○地域に根ざした芸術文化のための環境づくりを推進するため、一定の事業規模をもって、実施される質の高い事業であること ○実施に当たっては、海外派遣公演を除き、原則として、助成申請する地方公共団体等の区域に所在する公立文化施設を利用すること

【助成期間】3年以内

【助成額】直接経費の2分の1以内とし、1,000万円(総事業経費が5,000万円以上の事業にあっては、1,500万円)が上限

 

平成16年度「地域芸術文化海外交流支援事業」

【助成対象】(1) 市町村(政令指定都市を除く。) (2) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人のうち、地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律第81号。以下「改正法」という。)附則第2条の規定により、なお従前の例によることとされた改正前の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき市町村(政令指定都市を除く。)の施設の管理を行うもの (3) 改正法による改正後の地方自治法第244条の2第3項の規定に基づき指定管理者として指定を受け、市町村(政令指定都市を除く。)の施設の管理を行う法人その他の団体 (4) 地域における芸術文化活動の振興に資することを目的として民法第34条の規定により設立された法人((2) を除く。)のうち、市町村(政令指定都市を除く。)が基本金その他これに準ずるものを出資している法人で地域創造が特に認めるもの (5) 上記(1) 、(2) 、(3) 又は(4) が参画する組織で、地域創造が特に認めるもの

【対象事業】○芸術文化海外交流活動として先導的であり一定の評価が認められるもの ○芸術文化海外交流を段階的・継続的に実施していく上で、事業運営・住民参加の手法において、顕著な工夫が認められるもの ○コマーシャルベースに乗らず、独立採算が困難であるもの

【助成期間】単年度

【助成額】直接経費の3分の2以内とし500万円が上限

 

平成16年度「公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業」

【対象団体】(1) 都道府県又は政令指定都市 (2) 上記(1) が設置した公の施設を運営する公益法人又は指定管理者 (3) 上記(1) が基本金等を出資している法人で地域創造が特に認めるもの

【支援措置】(1) 研修、公演事業に対する財政支援 (2) アーティスト及びコーディネーター等の派遣

 

平成16年度「都道府県立美術館等共同巡回展支援事業」

【助成対象】次に掲げる団体において構成される実行委員会
○都道府県及び政令指定都市(以下「都道府県等」という。) ○都道府県等が設置する美術館を運営する公益法人又は指定管理者 ○都道府県等が出資している公益法人で財団法人地域創造が特に認めるもの

【対象事業】実行委員会において自主的に企画立案された、美術品等を巡回展示する事業。

【助成期間】2ヵ年度

【助成額】助成対象事業に係る直接経費から入場料等収入を控除した額の3分の2以内、1年目は5百万円、2年目は5千万円が上限

 

平成16年度「地域の公立美術館等ネットワーク事業」

【助成対象】次に掲げる団体によって構成される実行委員会
○都道府県及び当該都道府県内の市町村(以下「市町村等」という。) ○市町村等が設置する美術館を運営する公益法人又は指定管理者 ○市町村等が出資している公益法人で財団法人地域創造が特に認めるもの

【対象事業】実行委員会において自主的に企画立案された、美術品等を巡回展示する事業。

【助成期間】単年度

【助成額】助成対象事業に係る直接経費から入場料等収入を控除した額の3分の2以内、1千万円が上限

 

平成16年度「市町村立美術館等共同巡回展支援事業」

【助成対象】市町村立美術館等活性化事業に参加した経験のある市町村立美術館等を管理する団体によって構成される実行委員会

【対象事業】実行委員会において自主的に企画立案された、美術品等を巡回展示する事業。

【助成期間】2ヵ年度

【助成額】助成対象事業に係る直接経費から入場料等収入を控除した額の3分の2以内、1年目は3百万円、2年目は1千2百万円が上限

 

●公立文化施設活性化支援事業、芸術文化国際化推進事業、地域芸術文化海外交流支援事業に関する問い合わせ

総務部 重松・大平・田巻 Tel. 03-5573-4055

※上記3事業の助成要綱については、各都道府県等の文化振興担当課あてに9月初旬に送付済みです

●公立ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業に関する問い合わせ

芸術環境部 小澤 Tel. 03-5573-4074

※この事業の要綱については対象団体あてに後日送付いたします

●都道府県立美術館等共同巡回展支援事業、地域の公立美術館等ネットワーク事業、市町村立美術館等共同巡回展支援事業に関する問い合わせ

総務部事業課 園田・重松 Tel. 03-5573-4056

※上記3事業の助成要綱については、各都道府県等の文化振興担当課あてに9月初旬に送付済みです

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