一般社団法人 地域創造

第1回「都市行政文化懇話会~文化による都市づくりを考える~」終了報告

 年明けの1月25日、林省吾当財団理事長の肝入りでスタートした初めての「都市行政文化懇話会~文化による都市づくりを考える~」が、文化・芸術による地域づくりに高い関心をお持ちの市長をお迎えし、地域創造の会議室において開催されました。
  冒頭、林理事長より懇話会の趣旨について熱のこもった説明が行われました。特に、自分の声で伝えたかったメッセージとして「文化・芸術を戦略的に活用すれば地域活性化や都市と地域の格差是正に対して有効な行政手段になる。30年前のヨーロッパの工業都市が日本に生産拠点を奪われて衰退したように、今の日本はアジアの他の国々に生産拠点を奪われて同じ状況になっている。しかし、ヨーロッパでは文化芸術により都市の再生を果たした事例もでてきおり、ぜひそれをお伝えしたかった」と挨拶するとともに、そのための人材育成の重要性にも触れ、財団が提供している事業についても自らの言葉で説明されていました。
  その後、林理事長の司会により、現代演劇界のオピニオンリーダーである平田オリザ氏、メセナ活動のリーダーである財界人の福原義春氏、ヨーロッパのクリエイティブ・シティに詳しい吉本光宏氏による講演が1時間ずつ行われました。
  「新しい時代の文化行政の理論的リーダー」と紹介された平田氏は、「芸術家の立場で話したい」と前置きした後、なぜ演劇がコニュニケーション能力を高め、地域の人材育成のために必要かについて演劇現場や海外で行ったワークショップでの経験を交えながら持論を披露。
  「これまでは一致団結するコミュニケーションだったが、これからはバラバラの価値観の人が一緒にやるためのコミュニケーションが求められる。これを協調性から社交性(ポジティブな意味)へと言っているが、集団でやる演劇はこういうコミュニケーション能力を身につけるのに長けている」といったコミュニケーション論や付加価値論など、縦横無尽に展開する芸術家らしい話し振りにみなさん惹き付けられていました。
  「文化とは何か」から話を始められた福原氏は、「私は、今日より明日をよりよく生きようという思いの創造的な産物だと考えている……火焔土器は国宝だが、国宝にしようと思ってつくられたわけではない。文化はみなさんの地域の生活の中にあり、文化と経済は対立するものではなく、文化の背景の上に経済がある」とし、「経済優先により文化という骨格を失ったまま現在にいたっている」という現状認識を示され、「文化は人のためならず。地域の人たちがクリエイティブな運動に関わり、クリエイティブな生活をしないと地域は活性化しない」と檄を飛ばされていました。
  吉本氏は、「文化政策による都市創造」というタイトルで、現在の日本の文化政策の潮流を「文化芸術の領域拡大」「文化政策の担い手の多様化」「都市政策・産業政策との連携」の3点であると指摘された後、創造都市の成功例として注目されているイギリスのニューカッスル、ドイツのルール地方、スペインのビルバオ、フランスのナントの事例を映像を交えて紹介されました。現地を視察に訪れている吉本氏の臨場感溢れる説明と想像以上にインパクトがあるプロジェクトの映像にみさなん興味津々のご様子でした。
  こうした文化芸術による地域活性化に役立つ資料の配布も行われ、有意義な懇話会となりました。

 

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左:懇話会の模様
右:会終了後にはおんかつ登録アーティスト・荒川洋さんのミニコンサートが行われた

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