一般社団法人 地域創造

新年度を迎えるにあたって~林省吾理事長に聞く

文化・芸術活動でさらなる工夫を地域再生の牽引力として
~林省吾理事長に聞く~

 

─今年度で財団法人地域創造は15周年を迎えます。新年度に臨む意気込みをお聞かせください。
 まずは、知事・市町村長の皆様および関連団体の皆様に、長年にわたる当財団に対するご支援・ご協力に対し、心から御礼を申し上げます。今後とも、文化・芸術の振興により地域社会の活性化、再生を図るという財団設立の使命を果たすべく、最大限の努力をいたす覚悟です。

 世界的な金融不安の中での厳しい行財政運営が続いておりますが、当財団では皆様のご理解をいただき、前年度と同額の事業費を確保して地域の支援を行う体制を整えたところです。最大の行政効果がでるよう、有効に活用していただければと思います。

 

─美術館・ホール等の皆様にご助言があればお聞かせください。

 ぜひお願いしたいのは、事業を執行するにあたって、文化・芸術活動が地域再生に最大限貢献できるようさらなる工夫をしていただきたいということです。

 工夫していただきたいことのひとつ目が「連携」です。ただ単独で事業をやるのではなく、地域内、地域間、施設間のネットワークづくりを心がけ、少ない経費で質の高い事業をより多くの市民に提供するためにはどうすればいいかを考えていただきたいと思います。

 特に、都道府県や広域市町村圏の中核となる都市の美術館・ホールの皆様には、リーダーとしてこうした連携を積極的に企画していただくことを期待しています。当財団としても、そうした仕組みづくりや連携事業をできる限り応援したいと思っています。

 2つ目が「計画性と継続性」です。ご承知の通り、文化・芸術活動は時間をかけて初めて効果が表れる分野です。やったことが地域に根付くような計画性をもって、アウトリーチ等の有効な手法を活用しながら、継続的に事業を展開する工夫をしていただきたいと思います。新年度から公共ホール現代ダンス活性化事業も3年間の継続を可能としましたので、こうした制度をぜひご活用ください。

 

─行政関係者の皆様にご要望があればお聞かせください。

 文化・芸術活動は単なる文化芸術分野の活動にとどまるものではなく、防災、防犯、教育、福祉、医療、地場産業、まちづくりといったあらゆる行政分野に効果をもつ「総合的な処方箋」「有効な行政手段」です。そうした認識をもって、行政関係者の皆様には各行政分野における文化・芸術活動の活用について考えていただきたいと思います。

 当財団では教育現場にアーティストを派遣するアウトリーチに力を入れています。新年度からはクラシック音楽、演劇、現代ダンスに続いて、新たに邦楽の分野でも始めます。こうしたアウトリーチが子どもたちに及ぼす教育効果には素晴らしいものがあります。現在、そうした教育効果を把握するための調査研究(→参照)も行っているところです。

 今日、文化・芸術活動は「ポスト工業化社会における新しい地域社会の活力」として期待されています。それを目指した「創造都市(クリエイティブシティ)」は、すでに世界的な潮流になっています。9月には横浜市で世界創造都市会議が開催されますが、この機会に地域社会が抱えている課題に対して効果的に対応できる文化・芸術活動の行政効果について、改めて確認していただければと思います。

 

─最後に知事・市町村長へのメッセージをお願いします。

 私は、「文化・芸術活動を中核とした創造都市」こそこれからの我が国が目指すべき道であると考えています。現在のような厳しい経済金融状況だからこそ、少ない予算で地域社会に活力を生み出すことのできる文化・芸術活動の効果にもっと注目すべきです。

 今こそ、地域の需要を喚起し、雇用を創出し、「内需を拡大」するという認識をもって、文化・芸術活動の飛躍的な事業展開を図るべきときです。ここ2、3年が勝負です。

 文化・芸術活動が地域社会の牽引力となる新しい時代に向けて、財団としても誠心誠意努力してまいる所存です。ご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

カテゴリー