一般社団法人 地域創造

新年度を迎えるにあたって~林省吾理事長に聞く~

公立文化施設を「地域の広場」として行政施策の総合化を
~林省吾理事長に聞く~

─政権交代が行われ、文化・芸術による地域づくりを巡る政策にも動きが見られます。こうした状況も踏まえて、新年度に臨む意気込みをお聞かせください。

 まずは、財政状況が厳しさを増す中、当財団に対して変わらぬご支援・ご協力をいただいております知事・市町村長の皆様および関連団体の皆様に、心から御礼を申し上げます。
  これまでも繰り返しお伝えしてきましたが、文化・芸術活動は単なる文化・芸術分野にとどまるものではなく、防災、防犯、教育、福祉、医療、地場産業、まちづくりといったあらゆる行政分野の課題に対して効果のある「総合的な処方箋」だというのが、私の考え方です。こうした課題の中で最も重要なのが、「地域社会の宝である子どもたちの人間教育」です。
  私は、文化・芸術活動によって、子どもたちが「地域に誇りを」「自分に自信を」「将来に夢を」もてる機会をつくっていきたいと考えています。こうした子どもたちの生きる力を育むことが、10年後、20年後の地域の力になると信じています。
  地域創造では、10年以上前からクラシック音楽の演奏家を学校に派遣するアウトリーチ事業に取り組み、現代ダンス、演劇へとジャンルを拡げてきました。こうした子どもたちの未来のための事業をさらに充実させるべく、新年度からは邦楽地域活性化事業を本格的にスタートさせます。地域の皆様には、こうした事業をぜひご活用いただければと思います。

 

─ホール・美術館等の皆様にご助言があればお聞かせください。

 お願いしたいのは、ホールや美術館を文化・芸術活動のためだけに活用するのではなく、もっと人が集まる「地域の広場」になるよう努めていただきたいということです。例えばお年寄りのため、子育てをしているお母さんのため、放課後の子どもたちのため、地域社会のために、もっと多目的な使い方を工夫していただきたいと思います。
  小学校も同じですが、ホールや美術館はコミュニティの中核施設として、人々の心の拠り所となり、地域の賑わいの場となるような「総合的な活用」を図るべきだと考えています。運営の責任者や指定管理者の方には、自分たちの仕事の幅を狭めることなく、ぜひ積極的な提案をしていただきたいと思います。

 

─行政関係者の皆様にご要望があればお聞かせください。

 文化・芸術活動が総合的な処方箋としての効果を発揮し、ホールや美術館が地域の広場として総合的に活用されるために、行政関係者の皆様はそうした認識をもって「施策の総合化」を心がけていただきたいと思います。
  戦後これまでは縦割りによる施策が有効だったことから、今日までそれが続いてきましたが、防災であれ、教育であれ、福祉であれ、本来の行政目的は地域が発展し、住んでいる人々が幸せになるということです。そこに照らして、これから地域のトータルな力を向上させていくために、ぜひとも文化・芸術を横串とした施策の総合化を図っていただければと思います。

 

─最後に知事・市町村長の皆様へのメッセージをお願いします。

 知事・市町村長の皆様には、施策の現状を総点検し、文化・芸術を通じた総合化を図るための「リーダーシップ」を取っていただきたいとお願い申し上げる次第です。
  少しでもそうしたお役に立てればと、私どもと考えを同じくする専門家を、希望される自治体にアドバイザーとして派遣するモデル事業を新年度に実施します。世界の潮流を眺めながら、知事・市町村長の皆様と連携して、地域の施策を文化・芸術で総合化する試みに取り組みたいと思っています。

 地域創造は、文化・芸術活動を通じて地域社会に活力を取り戻す戦略的な取り組みを財団設立以来の変わらぬ信条として、今年度も誠心誠意努力してまいる所存です。ご理解、ご協力のほどを、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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