一般社団法人 地域創造

平成22年度「公共ホール音楽活性化事業」スタート

 クラシックの登録アーティストとコーディネーターを派遣し、地域交流プログラムとコンサートを実施する「おんかつ」。今年度は全国20カ所で実施しますが、10月の第2週、新潟県柏崎市(柏崎市産業文化会館)、栃木県栃木市(大平文化会館)、広島県熊野町(熊野町民会館)でスタートしました。
  新潟県柏崎市では中越沖地震の被災から3年が経過し、一見復興したかに見えるものの内面的ダメージはいまだに癒えていないことから、復興への道半ばの市民に安らぎを提供し、明るい未来に希望の光を灯したいというコンセプトでおんかつが企画されました。海野幹雄さん(チェロ)・春絵さん(ピアノ)夫妻がアクティビティで訪問したのは、いずれも震災の震源地付近や被害の大きかった地域に立地する3つの小学校と酒造会社。楽器の仕組みの紹介やチェロ演奏体験、合唱との共演などを交えた2人の表情豊かな演奏は、皆さんに元気と癒しをもたらしたのではないでしょうか。“祈り”や“光”をイメージした曲を中心に選曲したリサイタルは、チェロの多彩な魅力を引き出す構成。演奏の合間に海野さんから「自分には演奏することしかできないけれど、皆さんに少しでもいつもと違う時間を過ごしてもらえたら」とメッセージが伝えられ、会場からおくられた温かな拍手とともに、確かな心の交流が生まれていました。
  栃木県栃木市では、梶ヶ野亜生さん・山野安珠美さんの箏デュオDual KOTO×KOTOが、小学校3校と障がい児・者施設を訪問。艶やかながら迫力満点の箏を間近で聞くとともに、楽器解説や箏で『チューリップ』の演奏を体験するなど、箏への親しみ、理解を深めた様子でした。コンサートではアクティビティの様子をスクリーンに映して2人が感想を述べたり、お客さんがKOTO×KOTOの伴奏で『赤とんぼ』を合唱するなど、アットホームな雰囲気に満ちていました。
  広島県熊野町では、吉岡次郎さん(フルート)、瀧村依里さん(ヴァイオリン)、末永匡さん(ピアノ)が、町内4つの小学校を訪問し、曲の色彩感やリズム構成について、子どもたちも参加して体感できるように工夫されたアクティビティを実施。コンサートは筆の生産が盛んな熊野町にふさわしい内容にすべく、熊野高校書道部の生徒たちも企画に参加。アーティストたちが楽器を筆に持ち替え、高校生の指導を受けながら思い思いの文字を色紙に書き、コンサート本番では3人の演奏からイメージを得て高校生が制作した3つの“大書”をステージ後ろに吊るし、筆の町ならではのステージとなりました。

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左:野田小学校(柏崎市)児童と共演する海野幹雄さん
右:吉岡次郎さんと瀧村依里さんによる熊野第一小学校でのアクティビティ

●公共ホール音楽活性化事業
◎平成22年度開催地(主会場/日程/派遣アーティスト)
・新潟県柏崎市(柏崎市産業文化会館/10月4日~6日/海野幹雄)
・栃木県栃木市(栃木市大平文化会館/10月6日~8日/ Dual KOTO×KOTO)
・広島県熊野町(熊野町民会館/10月7日~9日/瀧村依里、吉岡次郎)
・茨城県笠間市(笠間公民館/10月13日~15日/ Dual KOTO×KOTO)
・秋田県八郎潟町(八郎潟町農村環境改善センター/10月28日~30日/甲斐摩耶、海野幹雄)
・愛知県田原市(田原文化会館/11月4日~6日/野尻小矢佳)
・宮城県塩竃市(塩竃市遊ホール/11月11日~13日/新崎誠実)
・岐阜県飛騨市(飛騨市文化交流センター/11月17日~19日/甲斐摩耶、吉岡次郎)
・岩手県一関市(一関文化センター/11月25日~27日/大石将紀)
・愛媛県上島町(上島せとうち交流館/2011年1月19日~21日/ Quatuor B)
・宮城県多賀城市(多賀城市民会館/1月20日~22日/乗松恵美)
・佐賀県佐賀市(佐賀市文化交流プラザ/1月20日~22日/大石将紀、野尻小矢佳)
・佐賀県鳥栖市(鳥栖市中央公民館/2月9日~11日/瀧村依里)
・長野県箕輪町(箕輪町文化センター/2月17日~19日/ Quatuor B)
・高知県香南市(のいちふれあいセンター/2月17日~19日/大石将紀)
・高知県須崎市(須崎市立市民文化会館/2月18日~20日/ Dual KOTO×KOTO)
・千葉県浦安市(浦安市文化会館/2月24日~26日/大石将紀)
・和歌山県上富田町(上富田文化会館/2月25日~27日/ Quatuor B)
・東京都狛江市(狛江エコルマホール/3月2日~4日/吉岡次郎)
・大分県玖珠町(くすまちメルサンホール/3月10日~12日/ Quatuor B)

◎問い合わせ
芸術環境部 友田・沼田
Tel. 03-5573-4064・4093

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