一般社団法人 地域創造

平成24年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」全体研修会報告

 公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)では、事業に参加するホール担当者を対象に、事業実施の前年度に2回の研修会を開催しています。平成24年度ダン活事業実施ホールの担当者に向けて、1回目は昨年の11月8日、9日にティアラこうとうで「基礎知識編」を、2回目は1月11日、12日に平成23・24年度登録アーティストによるプレゼンテーションを横浜赤レンガ倉庫1号館で開催しました。

 1回目の研修会では、「ダンスを言葉にして伝えよう!」をテーマに、作品のデモンストレーションやワークショップ体験、ダンスを届けたい対象別にグループに分かれてのディスカッションなどを実施。ダン活支援登録アーティストのセレノグラフィカ(隅地茉歩+阿比留修一)の二人による作品のデモンストレーションとワークショップを体験後、アーティストを交えてのフィードバックを行いました。初めてコンテンポラリーダンスにふれた参加者からは、「言葉ではないコミュニケーションを感じ取れた」「決まった答えがないと感じた」など、実際に体験することにより身体で感じ取った感覚を伝えていました。またセレノグラフィカからは、今回のワークショップのプログラムをどう考えて組み立てたのか種明かしがあり、アーティストがどのように考えているのか、それがどのように自分の身体に伝わったのか、ダンスを言葉で伝えるヒントになったプログラムとなりました。

 2回目の研修会では、実際に登録アーティスト8組によるプレゼンテーション(デモンストレーションとワークショップ体験を合わせて1組30分)と、コーディネーターを交えての企画づくりのためのディスカッションを行いました。

 プレゼンテーションは、登録2年目ということもあり、1年目の経験を生かした多彩な内容となりました。新井英夫さんは、長年使い続けた和紙の布が8の字に舞う様子や、力を抜き重さに任せる事から生まれるガイコツの人形の動きが自身のダンスの動きのお手本となっていることを紹介。また、懐中電灯を使って光の軌跡を描く光のダンスを披露し、ダンスの造形的な魅力を伝えました。また、岩淵多喜子さんは、「沈みゆく太陽、その残照をイメージとして、走り、踊り続ける人の姿」を作品にした一部を披露しました。

 ほかにも、白塗り姿で登場し、日本のオリジナルダンスとして世界に知られる舞踏の動きを披露した田村一行さん、コンタクト・インプロビゼーションでは自分の身体や周りの人の身体を知り、自分の身体は自分で守るということを意識してほしいと伝えた坂本公成+森裕子、劇場全体を踊る場所としてとらえ、いろいろな場所ごとの魅力をそのまま作品の魅力にして、その劇場ならではのオリジナルな作品ができるとアピールしたほうほう堂、作品の紹介からダンスの一部にしてデモンストレーションを披露し、ワークショップで動いたちょっとした動きを繋げて簡単なダンスにした遠田誠さん、普段の生活から出てくる身振りや仕草を大事にしてこだわり、そこから自分なりのダンスが出来ないかずっと考えてきたという山田せつ子さん、有無を言わせない強靱な身体が繰り出す独特の動きで参加者を驚かせた鈴木ユキオさんと、いずれも2年目ならではの贅沢なプレゼンテーションとなりました。

 平成24年度も今回の研修会などを踏まえて、それぞれの地域で魅力あるダン活事業が実施されることが期待されます。

 

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左上:新井英夫さんのプレゼンテーション
右上:鈴木ユキオさんのプレゼンテーション
下:1回目の研修会の様子

 

●公共ホール現代ダンス活性化事業 平成23・24年度登録アーティスト
新井英夫、岩淵多喜子、遠田誠、鈴木ユキオ、田村一行、山田せつ子、坂本公成+森裕子(Monochrome Circus)、ほうほう堂(新鋪美佳+福留麻里)*詳細はホームページ参照
http://www.jafra.or.jp/jinzai/dance/index.php

 

●公共ホール現代ダンス活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 栗林・関本
Tel. 03-5573-4055・4077
dankatsu@jafra.or.jp

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