一般社団法人 地域創造

「市町村立美術館活性化事業OB館フォローアップ会議」報告

 地域創造では平成19年度より、「市町村立美術館活性化事業(市美活)」に参加経験のある美術館を対象に、自主企画による巡回展の実施に向けた企画提案の場として、OB館ネットワーク会議を実施してきましたが、今年度より名称を「OB館フォローアップ会議」と改め、「公立美術館巡回展支援事業(公美巡)」への申請を目指す市美活OB館へのフォローアップを念頭に、同事業の申請要件である自主企画展の立案のサポートを重視した内容としました。

 参加館は「企画提出館」「企画協力館」「自主参加館」の3タイプに分かれます。「企画提出館」は事前に地域創造に企画案を提出し認められた館で、地域創造は提出企画を全OB館に対してメーリングリストで通知し、その展覧会への参加を目指す「企画協力館」を募集します。それ以外の公立美術館も「自主参加館」として参加が認められます。また、公美巡への採択実績のあるOB館等を「先行事業報告館」として招聘します。

 本年度は2月28日、29日の2日間にわたり開催されました。1日目は、平成25年度公美巡の要綱説明の後、先行事業報告として、市美活初の彫刻展として平成22年度に開催された「佐藤忠良展」と、OB館ネットワーク会議での企画提案から公美巡に採択された平成22年度巡回展「海を想う」展、同じく平成24年度巡回展(現在準備中)の「明治・大正時代の日本陶磁」展について、各事務局館より報告が行われました。

 次に企画プレゼンテーションとして、市立小樽美術館から足利市立美術館との共同企画により平成25年度の開催を予定している「詩人の美術

 瀧口修造(仮称)」展、倉敷市立美術館からは平成26年度以降の開催を目指す企画の発表がそれぞれ行われ、アドバイザーや他の参加館との質疑応答やディスカッションが行われました。

 2日目には、東京都美術館交流係長の佐々木秀彦さんをゲストに迎え、「公立美術館の公益性に関する指針と東京都美術館リニューアルの取り組みについて」というテーマで講演が行われました。佐々木さんは、地域創造が平成23年3月に報告書を発行した「公立美術館の公益性に関する指針」についての調査研究委員会の委員・作業部会長を務められ、所属する東京都美術館は本年度の大規模改修を経て今年4月にリニューアルオープンが予定されています。講演では、リニューアル後の同館の位置づけや戦略、地域交流を含めたさまざまなプロジェクトの計画、またそのプランニングにおいて「公立美術館の公益性に関する指針」の考え方をどう活用したのかについて説明され、参加者からも積極的な質問や意見交換がされていました。

 会議終了後も引き続き、それぞれの企画ごとに企画提出館と企画協力館による学芸会議が行われ、公美巡への申請を目指した検討や、適宜アドバイザーからの助言が行われました。

 本会議が市美活OB館による自主企画展の立案の機会となり、公美巡への採択による共同巡回展の実現に繋がることが期待されます。

 

●平成23年度市美活OB館フォローアップ会議

[アドバイザー]
志賀秀孝(府中市美術館学芸係長)
知念理(大阪市立美術館主任学芸員)
泰井良(静岡県立美術館上席学芸員)
[情報提供ゲスト]
佐々木秀彦(東京都美術館交流係長・学芸員)
[参加館]
・先行事業報告館:倉敷市立美術館、釧路市立美術館、瀬戸市美術館
・企画提出館:市立小樽美術館、倉敷市立美術館
・企画協力館:足利市立美術館、萬鉄五郎記念美術館
・自主参加館:唐津市近代図書館、姫路市立美術館
[問い合わせ]
総務部 布施・小林
Tel. 03-5573-4143

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