一般社団法人 地域創造

「市町村長特別セミナー」報告

●「市町村長特別セミナー」報告~全国の市町村長等55名が参加

 市町村アカデミーとの共催により、毎年全国の市町村長等を対象に、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくために開催している「市町村長特別セミナー」。今年度は、千葉市の市町村アカデミーにおいて、4月24日におんかつ事業紹介を兼ねたミニコンサート、25日に劇作家・演出家の平田オリザさん(地域創造理事)による講演が行われました。平田さんは、こまばアゴラ劇場支配人、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ初代芸術監督、舞台芸術財団演劇人会議理事長として演劇と社会との関係づくりに尽力され、また大学でのアートマネージメント教育の最前線をリードされてきたオピニオン・リーダーです。
  講演は、現代演劇に馴染みのない市町村長に、15カ国で翻訳されている『東京ノート』や17カ国30都市を巡演したロボット演劇など自らの代表作を写真で紹介するところからスタートしました。経済合理性を追求した郊外型ショッピングセンターによりいつでもいいものが地方でも入手できるようになった代わりに、人間社会に不可欠なコミュニティの絆を支えてきた居場所が街から失われたと指摘。公立文化施設は経済原理で出会うことのない人々が出会い、多様なアクティビティによって緩やかに繋がっていくための「新しい広場」として機能する必要があると話されました。また、これから地域が生き延びていくためには、自分たちの強みや愛しているものが何で、それにどのような付加価値を付ければいいかを自分たちで決める「文化の自己決定能力」が不可欠であるとし、その能力を子どもの頃から養うためにも地域の自治体こそ文化行政に力を入れるべきだと力説されていました。
  ミニコンサートでは、おんかつ支援登録アーティストの礒絵里子さん(ヴァイオリン)と、今年1月まで現役登録アーティストとして自作の「おんかつネタ帳」をつくってアウトリーチにチャレンジしてきた新居由佳梨さん(ピアノ)が登場。V.モンティ:『チャールダーシュ』など全7曲にわたってミューズたちの調べを堪能しました。

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平田オリザさんによる講演

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