一般社団法人 地域創造

「市町村長特別セミナー」報告

「市町村長特別セミナー」報告~全国の市町村長等78名が参加

 毎年全国の市町村長等を対象に、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくために開催している「市町村長特別セミナー」が、4月21日に千葉市の市町村アカデミーにおいて開催されました。
  今回の講師を務めたのは作曲家で地域創造理事でもある中村透さんです。中村さんは沖縄県佐敷町(現・南城市)とともに南城市文化センターシュガーホールを立ち上げた経験をもち、琉球大学教授を経て、現在は同ホールの芸術監督として活躍されています。今回は「身の協働が拓く芸術行動の輪~地域の公共ホールへの展望」をテーマに、現代社会が見失ってしまった“身”の感覚の重要性やシュガーホールでの取り組みについて講義されました。
  「私たち日本人には“身”という独特な感覚があります。身に沁みる、身が入る、身を焦がす、身をもって知るなど。文化人類学者の野村雅一が、現代社会では“身の協働”が希薄になったと指摘していますが、かつてあった祭りなどの身の協働が都市社会では希薄になっている。東日本大震災で地域に伝わる伝統芸能が人々を元気にしたという報せをたくさん読みましたが、それは日本人が伝えてきた身の感覚と無縁ではないと思います。ヒトはなぜ歌い、踊り、演じるのか─それは生産という価値体系からいったん離脱し、ヒトとして身の技、身の協働そのものを目的とした遊び(想像と創造)で連帯することによって、共に生きる、共に祈るという心情と深く共鳴する必要があるからではないでしょうか。それが身体表現芸術(PerformingArts)あるいは身を通した社会行動の類似体験の存在意義なのだと思います」と中村さん。そうした問題意識を踏まえ、シュガーホールがコミュニティ再生型事業の一環として創作した新作オペラ『あちゃーあきぬ島』について紹介されました。「こうしたオペラのような“小さな共同体の身体協働”から“大きな共同体の異文化協働”へと展開し、引いては“世界の多様な文化への共感・参加”に繋げていければと思っています。僕はこれを記憶のエコロジーと呼んでいますが、これを地域に保証する場として公共ホールがあるのではないでしょうか」と力強くアピールされていました。
  また、地域創造の事業を紹介する一環として、おんかつ支援登録アーティストの福島青衣子さん(ハープ)と森岡有裕子さん(フルート)によるミニコンサートが行われました。フルートやハープの楽器紹介を交え、『小舟にて』(ドビュッシー)、『精霊の踊り』(グルック)など8曲を披露。印象派の絵画のような光溢れる演奏で、癒やされるひとときとなりました。

 

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福島青衣子さん(左)と森岡有裕子さん(右)によるミニコンサート

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