一般社団法人 地域創造

2019年度「地域の公立文化施設実態調査」② 速報 設置主体

都道府県・政令市では他の行政分野との連携が進む

 「地域の公立文化施設実態調査」では、各地域の公立文化施設に加えて、施設の設置主体である地方公共団体についても調査を行っている。2019年度調査に回答していただいた地方公共団体数は、1,645である(都道府県47、政令指定都市20、市区町村1,576、広域行政(*)2)。回収率は、都道府県と政令指定都市が100.0%、市区町村が91.6%となった(2019年9月1日時点の市区町村数は、政令指定都市を除き、1,721)。
今回は、この地方公共団体に対する調査のうち、前回(2014年度調査)から大きく変化した3つのポイント、「文化芸術基本法」(2017年6月施行、2018年3月第1期文化芸術推進基本計画閣議決定)、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(2018年6月施行、2019年3月基本計画決定)、「公共施設等総合管理計画」(2014年総務大臣要請)に関わる結果を紹介する。

他の行政分野との連携

 2017年に施行された文化芸術基本法では、それまでの文化芸術基本振興法を大幅に変更し、対象とする施策を「文化芸術の振興に関する」ものから、「文化芸術に関する」ものへと範囲を広げるとともに、「観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野」(第二条10項)との有機的な連携を図るよう配慮することとしている。これを受け、今回の調査では、文化芸術施策の企画・実施にあたって、他の行政分野との連携を図っているかについて調査した。
結果を見ると、連携を「行っている」という回答は、全体では16.2%にとどまる。ただし、都道府県(51.1%)、政令市(65.0%)に限って見ると、過半が「行っている」と回答しており、市区町村との差が大きく表れる[図1]。また、連携を行っている266団体のうち、「連携強化のために構築した組織がある」と回答している割合は23.3%となっている。また、連携を強化した/強化したい行政分野としては、「教育」(46.1%)、「観光」(45.8%)が多く、次いで「まちづくり」(36.0%)、「福祉」(28.0%)などとなっている(対象は、連携を行っている団体と計画や意向がある団体583。[表1])。

障害者の文化芸術活動

 障害者による文化芸術活動の推進に関する法律では、各地方公共団体に、障害者の文化芸術活動を推進する基本計画の策定を努力義務として定めている(第八条)。法の施行が2018年、各地方公共団体が定める基本計画が勘案すべき国の基本計画の決定が2019年3月と今回調査までの対応期間は長くない状況であったが、今回調査では、すでに全体の2.5%の団体が「策定済み」、「作業中」を含めると4.1%が対応していると回答。特に都道府県は14.9%(作業中を含めると27.7%)、政令市は20.0%(作業中を含めると35.0%)となっており、かなり迅速に対応が進んでいる状況がうかがえる[図2]。

公立文化施設の個別施設計画

 人口減少の進行や公共施設の老朽化の進展等を踏まえ、総務省において、2014年に公共施設等総合管理計画を2016年度までに策定するよう各地方公共団体に要請が行われた。また、政府全体としても2020年度までに、総合管理計画に基づいて各個別施設の対策内容・実施時期等を定める個別施設計画をとりまとめるよう目標年次を示している。今回調査でその進行状況を見ると、2019年度時点で公立文化施設についての個別施設計画を策定しているのは全体の16.5%にとどまり、都道府県、政令市が35%を超えているのに対し、市区町村では15.7%と策定が進んでいない[図3]。
公立文化施設についての個別施設計画の指針を策定している272団体にその内容を聞いたところ、17.3%が集約化、15.1%が他領域施設との複合化、14.7%が施設の廃止を個別施設計画に組み込んでいた[表2]。

 
  • 図1 文化に関わる他の行政分野との連携の強化(%)(団体種別)
    p15_1.png
 
  • 表1 連携を強化した/強化したい行政分野(%)(団体種別)※複数回答可能
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  • 図2 障害者の文化芸術活動の推進についての基本計画策定状況(%)(団体種別)
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  • 図3 文化施設における公共施設等総合管理計画の個別施設計画の策定状況(%)(団体種別)
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  • 表2 個別施設計画の指針(%)(団体種別)※複数回答可能
    p15_5.png

 

2019年度「地域の公立文化施設実態調査」調査概要

  • 調査対象
    公立文化施設のうち、「専用ホール」、「その他ホール」、「美術館」、「練習場・創作工房(アーティスト・イン・レジデンス施設を含む)」およびそれらを含む「複合施設」と、施設の設置主体にあたる地方公共団体。
  • 調査時期
    2019年9月~11月
  • 調査方法
    全国の地方公共団体の文化振興ご担当者に、当該団体が設置主体となっている調査対象施設を記入する「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」、「施設調査票」を配布。当該団体において「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」の記入および「施設調査票」の各施設への配布と取りまとめをしていただいた。
  • 調査回収数
    •地方公共団体票の有効回収数
    1,645(都道府県47(100%)、政令市20(100%)、市区町村1,576(91.6%)、広域行政(*)2)
    •地方公共団体からの回答
    3,442館 延べ3,671施設
    (「専用ホール」1,483、「その他ホール」1,363、「美術館」648、「練習場・創作工房」177)
    •地方公共団体から回答があった3,442館のうち、施設からの施設調査票の有効回収数
    3,343館 延べ3,568施設
    (「専用ホール」1,455、「その他ホール」1,310、「美術館」628、「練習場・創作工房」175)

*「広域行政」とは一部事務組合や広域連合などの特別地方公共団体を指す。

 

*2019年度「地域の公立文化施設実態調査」報告書は、地域創造ホームページに掲載予定です。

調査研究に関する問い合わせ

芸術環境部 青井
Tel. 03-5573-4077

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