一般社団法人 地域創造

令和3(2021)年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」全体研修会

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写真1:登録アーティストプレゼンテーションの様子(藤田善宏)
2:登録アーティストプレゼンテーション(長井江里奈)リモート画面

(写真左上が長井さん)
3:セッション③「フィードバック」の様子
4:セッション④「プログラム別ディスカッション」(Aプログラム)リモート画面

 

 「公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)」では、例年「地域創造フェスティバル」(7月下旬開催)の会期中に、来年度の参加団体に向けた全体研修会と登録アーティストによる公開プレゼンテーションを同時開催してきました。しかし、今年度は東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定されていたため、10月5日〜7日での開催となりました。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、実施予定団体の担当者、登録アーティスト、専門家であるコーディネーターを繋ぐ研修会をオンラインで開催することに決定。初めての試みとして、Zoomによる研修会を実施しました(右頁プログラム参照)。

 研修会に参加したのは、令和3年度事業実施予定の茅ヶ崎市民文化会館、堺市文化振興財団、あすとホール、白河文化交流館コミネス、宮古市民文化会館、荘銀タクト鶴岡、酒田市民会館希望ホール、野々市市情報交流館カメリア、アイム・ユニバースてだこホールの担当者9名、コーディネーター7名、登録アーティスト7名と、地域創造の事務局スタッフです。5日は事業説明、6日は横浜赤レンガ倉庫1号館で行ったアーティストによるプレゼンテーションに加え、コーディネーターも交えた質疑、7日は企画ワークショップを実施。6日のプレゼンテーションでは、通常25分のパフォーマンスをひとり10分に短縮。それぞれのアーティストがZoom配信を意識したプログラムを展開しました。

 予め収録した映像(赤レンガ倉庫周辺からホールまで踊りながら移動)とZoomでナビゲートしながら行うワークを組み合わせた中村蓉さん、小道具のイスをさまざまなものに見立てて物語性のあるダンスを披露した藤田善宏さん、ひっそりとあきらめて居るひとりの女の夏の姿を語りと併せて表現した康本雅子さん、福祉施設などでも行っている誰もが参加できる椅子に座ったままの踊り「Shall we sit down?」を紹介したマニシアさん、舞踏家が顔を白く塗る化粧の過程をナマで見せながら“白塗り”という仮面をつけることによって逆に隠された自分が発現する舞踏について実演解説した田村一行さん、ジャズダンスに始まりさまざまな踊り遍歴を経て今があるというコジれた人生をひとりパフォーマンスにして見せた長井江里奈さん、リモートでも可能なアイパッドワーク(iPadで指示するように人を動かす)で参加団体からのナビゲートで踊った北尾亘さんと、いずれもダンサーの個性が窺える濃い内容でした。

 リモートでの短いパフォーマンスを補完するため、プレゼンテーション終了後、コーディネーターも加わり、チャットで参加団体からの質問を受け付ける2時間の質疑が行われました。新型コロナウイルス感染症の先行きが不透明なこともあり、オンラインでの可能性について多くの質問が寄せられました。

 「アイパッドワークは対面でやるワークだったが、オンラインでやるとTikTokで踊る感覚に近くて逆に自分の身体に向き合いやすいのではないかと思っている。踊り手一人ひとりに照明のサスペンションライトを当てて、そこから出なければソーシャルディスタンスが保てるという作品もつくった」(北尾)、「インスタライブでワークショップをやった。指示を出し続けるこちらの手応えのない感じに対して、踊っている方は誰にも見られないから集中して踊れていたようだ」(長井)、「Zoomであろうが何であろうが、踊りで伝えたいことに変わりはない」(田村)、「触りながらワークをするのが恋しくてたまらない。一方、オンラインだと外に出ることができない難病の子どもと親と一緒にワークができる良さもある」(マニシア)、「リモートだと北海道から九州まで来てもらえるので視聴者同士の思わぬ繋がりが生まれた。部屋に数人ずつ分けてリモートでワークしたり、対面するが触れないワークなども試している」(藤田)など、回答にも人柄が表れていました。

 このほか、7日の企画ワークショップに向けて、各館の担当者からは企業とのワークショップ経験、コラボレーション経験、ホール以外でのパフォーマンス経験などの質問が寄せられました。

 ホール以外でのパフォーマンスについては、中村さんが「協力者は必要だがどこでも踊れる」と口火を切り、「同じ作品を廃墟、砂浜、廃校で踊ったことがあるが、床の違いでダンサーたちの踊りが変わり面白かった」(康本)、「下見の時にその地域の特徴あるロケーションで宣材用の写真を撮影している。どこでやろうと移動することに必然性をつくり出すということ」(田村)、「いろいろな場所でたくさんやってきたが、いずれにしてもどういう目的でやるのかが大切」(長井)、「博多と釜山の港のターミナルでそれぞれの市民50人ずつが踊る作品をつくったこともある」(マニシア)と、アーティストの経験の豊富さに驚かされる回答が続きました。

 また、「自分の身体を知り、他者を思いやることに繋がる身体のコミュニケーションから考えるきっかけになれば」という康本さんが行っている子どもたちを対象にした「性教育のワークショップ」についても高い関心が寄せられていました。

 リモートでの研修という初めての取り組みでしたが、逆に質疑が活発になるところもあり、今後に生かされるプログラムになったのではないでしょうか。

 

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登録アーティストプレゼンテーションの様子(康本雅子)

 

  • 令和3年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」全体研修会(オンライン)プログラム

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●公共ホール現代ダンス活性化事業

地域創造から登録アーティストとコーディネーターを地域に派遣。基本的に3年継続を前提とし、アウトリーチ、公募ワークショップを実施するAプログラム(地域交流プログラム)、Bプログラム(市民参加作品創作プログラム)、Cプログラム(公演プログラム)の3つを1年に1プログラムずつ行う(順番は自由)。実施前年度に研修会とアーティスト選びの参考となる公開プレゼンテーションを行う。

 

●令和2(2020)年度ダン活実施団体(主会場/アーティスト/日程)

※10月上旬現在

◎Bプログラム

福岡県宗像市(宗像ユリックス/長井江里奈/2020年10月10日~11日、12月14日~20日)、岩手県宮古市(宮古市民文化会館/北尾亘/12月18日~20日、2021年2月24日~3月1日)、愛知県小牧市(小牧市市民会館/康本雅子/2月11日~14日、2月23日~27日)、沖縄県浦添市(アイム・ユニバースてだこホール/マニシア/2月11日~14日、3月4日~8日)、山形県鶴岡市(荘銀タクト鶴岡/中村蓉/3月5日~7日、3月24日~29日)

◎Cプログラム

広島県三次市(三次市民ホールきりり/北尾亘/2020年11月19日~22日)、熊本県長洲町(ながす未来館/田村一行/11月19日~22日)、神戸市(神戸アートビレッジセンター/長井江里奈/2021年1月14日~17日)、福島県白河市(白河文化交流館コミネス/康本雅子/1月28日~31日)、高知県土佐清水市(土佐清水市立市民文化会館くろしおホール/田村一行/3月19日~22日)

 

◎問い合わせ

芸術環境部 栗林・青井・畑

Tel.03-5573-4055・4077

 

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