一般社団法人 地域創造

令和2(2020)年度「地域創造大賞(総務大臣賞)」受賞施設決定

令和2(2020)年度地域創造大賞(総務大臣賞)受賞おめでとうございます。

令和2年度地域創造大賞(総務大臣賞)受賞施設
• 名取市文化会館[宮城県名取市]
• 山梨県立県民文化ホール(YCC県民文化ホール)[山梨県]
• 知立市文化会館(パティオ池鯉鮒)[愛知県知立市]
• 河内長野市立文化会館(ラブリーホール)[大阪府河内長野市]
• 新居浜市美術館及び新居浜市総合文化施設
(あかがねミュージアム)[愛媛県新居浜市]
• 徳之島町文化会館[鹿児島県徳之島町] 

 

 この度、令和2年度地域創造大賞(総務大臣賞)の受賞施設を決定いたしました。
 表彰の栄に浴された地方公共団体及び施設の皆様、誠におめでとうございます。
 この賞は、平成16年度に創設し、これまでに全国で123の施設がこの表彰をお受けになりました。17回目となる今年度も、全国からたくさんの応募がございました中から、田村孝子委員長をはじめとする専門家の方々からなる審査委員会におきまして、厳正・公平な審査を行っていただきました。
 6つの受賞施設は、当財団が提唱し推進しております住民参加やアウトリーチなどの手法を積極的に取り入れるとともに、地域の特徴を生かした事業を継続的に実施することにより、いずれも地域の活性化に貢献されている施設です。コロナ禍というきわめて厳しい状況の中、これまでの活動の積み重ねと熱意が評価され意義深いものと考えます。
 今回、受賞されました関係の皆様に、あらためて心からお祝いを申し上げますとともに、これを契機に、ますますのご発展を期待いたしたいと思います。当財団といたしましても、うるおいのある元気な地域づくりを進めていくため、今回の受賞施設をはじめとします全国の関係者の皆様と共に、なお一層の努力をしてまいりたいと存じております。

一般財団法人 地域創造
理事長 山本 信一郎

 

地域創造大賞審査委員会
委員長 田村孝子(文化ジャーナリスト、公益社団法人全国公立文化施設協会 副会長)
委員長代理 吉本光宏(株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事(社会研究部 芸術文化プロジェクト室長兼務))
委員 熊倉純子(東京芸術大学大学院国際芸術創造研究科長 教授)
委員 小林真理(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
委員 坪池栄子(株式会社文化科学研究所 編集プロデューサー)
委員 仲道郁代(ピアニスト)
委員 柳沢秀行(公益財団法人大原美術館 学芸課長)
委員 山本信一郎(一般財団法人地域創造 理事長) *五十音順

 

◎地域創造大賞(総務大臣賞)に関する問い合わせ

総務部 三田

Tel. 03-5573-4184

taishou*jafra.or.jp(ご利用の際は*を@に換えてください)

 

名取市文化会館【宮城県名取市】

文化による“心の復興”に尽力

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長年にわたり子どもたちへの音楽アウトリーチ事業に力を入れ、東日本大震災の被災下でも支援演奏を展開。以来、市内全小学4年生へのアウトリーチに加え、仙台フィルハーモニー管弦楽団と協働した「Art for Kids@なとり わくわく楽しい音楽会」、仙台高等専門学校と協働した親子向け全館イベントなど、文化による心の復興に尽力した。
[運営]公益財団法人名取市文化振興財団
[開館]1997年

 

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上:名取市文化会館外観/中:Art for Kids @なとり 小学校アウトリーチ事業 西沢澄博(オーボエ)・小池まどか(ヴァイオリン)・梅津樹子(チェンバロ)/下:Art for Kids @なとり わくわくパビリオン~和!っとおどろくたまてばこ

 

【受賞コメント】
名取市は、東日本大震災で沿岸部が壊滅的被害を受け、当館は約3カ月間避難所となりました。震災から10年の節目に栄誉ある賞をいただき光栄であり、心より感謝を申し上げます。
評価をいただいたアウトリーチは、震災以降市内全小学4年生を対象としており、音楽や楽器に興味を持った子どもたちへの次のステップとしてコンサートを開催し、豊かな響きに包まれるホールでの音楽体験、そして演奏家と再会する喜びを届ける事業として継続しています。また、ゴールデンウィーク期間中の子ども向け参加型企画「Art for Kids@なとり わくわくパビリオン」は、市内にある仙台高等専門学校と企画し、会館を利用した新しい遊び場として定着してきました。
コロナ禍により文化芸術の在り方が問われる中で、身体の健康と同時に心の健康を取り戻すためには文化芸術は必要不可欠です。
この度の受賞が、名取市の文化振興ならびに会館運営において大きな励みになると共に、地域の皆様に理解・関心を深められる契機となることを願っています。

山梨県立県民文化ホール(YCC県民文化ホール)【山梨県】

“県民に開かれた運営”により文化力を向上

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“誰もが文化に触れられる、関われる施設”を理念に、地元人材を発掘したオリジナル創作舞台、やまなしジュニアオーケストラ、多彩なワークショップを行う「あなたの文化を見つけよう!」、約60団体がステージに立つ「フェスタ県文」などを展開。地元の大学や高校とも連携するなど、県民に開かれた運営により文化力の向上に貢献した。
[運営]アドブレーン・共立・NT
Tファシリティーズ共同事業体
[開館]1982年

 

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上:山梨県立県民文化ホール(YCC県民文化ホール)外観
中:ミュージカル『シンデレラ~ねずみたちのプリンセス』
下:生演奏音楽劇『ヤマガヒ』

【受賞コメント】
YCC県民文化ホールの指定管理者として「成すべきこと」と「出来ること」を熟慮しつつ事業に取り組んでいます。「成すべきこと」は、利用環境を整え、県民に優れた芸術作品の鑑賞機会を提供することであり、「出来ること」は、文化ホール施設や出演者らアーティストのノウハウを活用し文化と県民の距離を縮め、文化のある日常を提案することだと考えています。
こうした基本理念のもと、オリジナル作品づくりやワークショップの開催など多彩な事業を繰り広げ、県民に「いつでも文化が体験できる場所」「面白いことが始まる場所」というイメージを構築してきました。
文化と県民の距離を縮める取り組みは今後も進めていきますが、コロナウイルスの影響で参加型事業に支障が出ています。オンライン配信を積極的に取り入れ事態の解消に努めていますが、一層効果を上げるため、地域のケーブルテレビ局と連携しての配信も計画しています。

知立市文化会館(パティオ池鯉鮒)【愛知県知立市】

地域の文化拠点として“伝統文化の支援”を推進

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江戸時代から伝わる知立の山車文楽とからくりの保存継承を支援。町の人形連や、その垣根を越えた市民文楽団「ちりふ座」の拠点として、道具の保管、大阪文楽座の人形遣いによる指導、ホール公演、創作舞台などを展開。また、市内全小学校への音楽アウトリーチに力を入れるなど、地域の文化拠点として尽力した。
[運営]一般財団法人ちりゅう芸術創造協会
[開館]2000年

 

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上:知立市文化会館(パティオ池鯉鮒)外観
中:国指定重要無形民俗文化財「知立の山車文楽とからくり」より山車文楽公演
下:20周年記念事業『おさき玉城恋の八橋』

【受賞コメント】
この度の受賞につきまして、市民並びに関係各位にお礼申し上げます。
当館は「地域にねざす、したしみとにぎわいの会館」をスローガンに文化芸術発信拠点として、本年度20周年を迎えました。この間、様々な事業活動を展開しましたが、特に地元の伝統芸能である知立の山車文楽とからくりの保存継承・発展に向けた支援活動が評価されました。地元に伝わる逸話や文化財を題材にした新作の文楽創作劇『おさき玉城恋の八橋』は、これまでの活動の集大成として令和2年8月に上演致しました。知立と沖縄の歴史的関係性について描いた本作は多くの市民とともに地域に向けて発信することが出来、新たな文化遺産と言えます。
現在のコロナ禍において文化芸術も危機的な状況にある中、多くの市民に、自分の居場所を見つけ、明日への活力が得られる機会と場を提供できるよう今後も関係機関とともに連携強化して、劇場運営に邁進してまいります。

河内長野市立文化会館(ラブリーホール)【大阪府河内長野市】

“まちの文化広場”としてクリエーションに新境地

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都市近郊型ホールとして市民とともにオペラや音楽祭などの独自事業に取り組むとともに、2007年から多彩な教室事業を展開。そこで育まれたアーティストとの繋がりをベースに創意溢れるオリジナル舞台「奥河内音絵巻」をプロデュースし、まちの文化広場として新たなクリエーションに挑戦した。
[運営]公益財団法人河内長野市文化振興財団
[開館]1992年

 

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上:河内長野市立文化会館(ラブリーホール)外観
中:ラブリーホール・ミュージカルスクール
下:奥河内音絵巻2020

【受賞コメント】
“すてき集まる、すてき広がる、ラブリーホール”
当館のキャッチフレーズです。
皆様に親しまれ可愛がっていただけるように「ラブリーホール」という愛称をつけていただきました。
1992年の開館以来、市民文化向上の拠点として地域の皆様が集い、芸術に触れ、交流する“広場”として機能することで新たな芸術文化が生まれ、地域に向けて発信される。そのようなホールを目指して活動してまいりました。
今回このような栄えある大賞をいただけたことは、開館以来ラブリーホールに関わり、支えていただいた地域の皆様のおかげと心から感謝するとともに、取り組んできたことが間違ってはいなかったのだと素直に喜びたいと思います。
新型コロナウイルス禍において事業の実施が思うにまかせない今、この受賞を“現状に屈せずに更に励め”とのエールと捉え、感染防止への工夫を重ねながら地域の皆様とともに芸術文化活動を進めてまいりたいと考えております。

新居浜市美術館及び新居浜市総合文化施設(あかがねミュージアム)【愛媛県新居浜市】

“ジャンルを超えた文化交流”によるコミュニティづくりを推進

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新居浜駅周辺の賑わい創出と「新しい新居浜の創造」を掲げるシンボル施設。美術を中心に地域の歴史、産業、環境などに跨がる幅広い文化事業を展開。市民とつくるラジオ局「新居浜FM78.0」と連携した情報発信、「にいはまSDGsアート・フェスティバル」など、新たな文化交流によるコミュニティづくりを推進した。
[運営]新居浜市・あかがねミュージアム運営グループ
[開館]2015年

 

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上:あかがねミュージアム外観
中:ラピスラズリの絵具つくり(青い壁プロジェクト)
下:新居浜の先人と特別賞受賞作(にいはまSDGsアート・フェスティバル2019)

【受賞コメント】
「創る・学ぶ・育む」、40年の構想を経て実現した「あかがねミュージアム」。美術館を中心に、小劇場、新居浜文化の3部門に加わったコミュニティーFM。ミュージアムボランティア、サポータークラブの皆様とともに、それぞれの独立性を保ちながらも有機的に連携し、開館5年余で100万人を超える方々が集いました。
美術館としては先鋭的な試みともいえる「にいはまSDGsアート・フェスティバル」は、別子銅山経営300年の歴史の中で育まれたSDGs、豪雨災害から教訓を得たESD、ユネスコスクールの活動がその原点です。しかし、コロナ禍の中で、2021年の第2回フェスティバルではJICAほか活動家のご支援による海外からの作品募集がうまくいくのか心配です。
多くの方々の思いによりいただいた賞を励みに、20年、30年後、日本のアートシーンの1ページを飾ることができるような「杜の中のオープンミュージアム」を目指していきたいと思います。

徳之島町文化会館【鹿児島県徳之島町】

文化交流による“心豊かな暮らし”に貢献

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人口1万人の徳之島町の文化交流拠点。子どもたちの文化体験に力を入れ、小中高の吹奏楽部を応援する「子ども音楽フェスティバル」や「子ども文化祭」、保育園へのアウトリーチなどを展開。講座「島学」や5年に1度の島民劇により人材の育成を図るなど、文化交流による心豊かな暮らしに貢献した。
[運営]楽しむ人の館
[開館]1994年

 

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上:徳之島町文化会館外観
中:子ども音楽フェスティバル
下:子ども文化祭

【受賞コメント】
私たちの徳之島には昔から“子は島の宝”という風土があります。文化ホールができるまでは本物の芸術に触れることなく、高校卒業と同時に100%近くの生徒が島外に出ていく状態でした。ホールができたことにより、離島かつ予算的にも乏しいハンディの中でも、町民や島民をはじめ各種助成団体の皆様のご協力により本物の芸術を提供でき、円滑に運営させていただいていることを評価していただき、支えて下さった皆様と共に喜びを分かち合いたいと思います。幼少から本物の芸術に触れることや、能動的に芸術にふれる習慣づくりは心の成長を育むことになり、将来徳之島町を担うであろう人材の育成にも繫がっていると考えます。
現在のコロナ禍にあっても、文化を繋いでいく大切さを再認識しております。
“こんな時代だからこそ万全を期して何とか実行できないか”を常に考え、これからも前向きに島民(利用者)と一緒に島の文化を支える一役を担って参りたいと思います。

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