一般社団法人 地域創造

令和4・5年度「公共ホール邦楽活性化事業」登録演奏家決定

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<第2次選考の様子>左上:川田健太さん(左) 右上:藤重奈那子さん 左下:棚原健太さん(右)
右下:小学校での邦楽アウトリーチの様子(令和2年度公共ホール邦楽活性化モデル事業/

高松市立牟礼南小学校/演奏家:吉澤延隆(箏)、川村葵山(尺八))

オーディションを経て3名の登録演奏家が決定

 公共ホール邦楽活性化事業では、来年度から2カ年の登録演奏家制度がスタートします。7月6日、令和4・5年度の事業で派遣する登録演奏家を選考するオーディションの第2次選考が東京芸術劇場リハーサル室で行われました。
 登録演奏家は満20歳以上40歳以下の邦楽器演奏家を対象に全国から公募され、第1次選考を通過した箏、三味線、尺八、太鼓など11名(助演者各1名)が、ライブ演奏とトークによるプレゼンテーション、質疑応答に臨みました。その結果、川田健太さん(箏、三絃)、藤重奈那子さん(箏、地歌三絃、十七絃)、棚原健太さん(歌三線)の3名が登録演奏家に決定しました。
 今回は、地域創造として初めて取り組む邦楽演奏家のオーディションの模様と公共ホール邦楽活性化事業について紹介します。

コミュニケーション力が求められる登録演奏家

 第2次選考は、新型コロナウイルス感染症対策のため、充分な距離の確保や各演奏家の入れ替えの間に換気を行ったほか、プレゼンテーション中以外はマスク着用という緊張した雰囲気の中で行われました。邦楽の専門家や事業プロデューサーから成る審査員5名は、プロフィール、演奏曲目、子どもたちなどに対する普及事業の経験、当事業で実現したいと考えている目標、演奏可能プログラムを記入した参加申込書を参照しながら、審査を行いました。

 今回の登録演奏家で最年少となる川田健太さん(2001年生まれ)は若干20歳で、洗足学園音楽大学現代邦楽コースに在学中の学生演奏家です。7歳から山田流箏曲を学び、ポップスやジャズなども演奏するという川田さんは、他の演奏家が複数曲でプレゼンテーションする中、あえて宮城道雄『水の変態』1曲で臨みました。「西洋楽器に比べて邦楽器は倍音が豊か、その響きで音楽をつくることで日本でしか感じられない体験ができる。そういう邦楽器の魅力を老若男女に伝えたいと思っています。そのために公立ホールを有効に活用できればと考え、地域音楽コーディネーターの資格も取りました」と言い、学生らしい問題意識をアピールしました。

 藤重奈那子さん(1996年生まれ)も東京藝術大学大学院に所属する学士演奏家です。10歳から生田流箏曲を学び、各種コンクールでの受賞歴もある実力派です。ユニークな普及事業にも取り組み、「あのおとのなまおと音楽会」(邦楽曲のCDを小学校に配布し、3週間程度BGMとして活用後、実際にアウトリーチで生演奏)、ティッシュ箱で箏をつくって演奏する創作ワークショップ、古民家カフェでの幅広いジャンルの演奏などを意欲的に展開してきました。「アートプロデュースを学んでいる学生たちと一緒に活動してきました。そもそも邦楽は生活の中にあった音楽だと思うので、それを再確認してもらえるような演奏をしたいし、普及事業では子どもたちの表情を見て、声を拾うことを大切にしたい」と話していました。

 そして、新風となったのが、琉球古典音楽の歌三線を継承する棚原健太さん(1993年生まれ)です。棚原さんは公益財団法人沖縄県文化振興会の職員であり、沖縄伝統組踊「子の会(しーのかい)」(国立劇場おきなわ組踊研修修了生による会)に所属し、伝統芸能公演や小中高校へのアウトリーチを行っています。歌いながら三線を弾く歌三線は、「八八八六」調の歌詞、琉球音階(5音階)という特徴をもち、沖縄の人々の日常に欠かせないものです。「八八八六調で歌詞をつくってもらい、言葉が音楽になるのを体験してもらうワークショップなど、沖縄の音楽をわかりやすく印象に残るように伝えたいと思っています」と話していました。

 3名の登録演奏家は、今後、公共ホール邦楽活性化事業についての具体的な事例や地域コミュニティとの関わり方などのガイダンスを受け、来年5月に実施団体を対象にしたプレゼンテーション、地域交流プログラムづくりのための研修を経て、来年9月以降に地域での事業を実施する予定になっています。

 現在、令和4年度公共ホール邦楽活性化事業の実施団体を募集中です(9月24日締切)。ご応募をお待ちしております。

 

●公共ホール邦楽活性化事業

市町村等の公立ホールに、邦楽演奏家とコンサートの企画制作経験が豊富なコーディネーターを派遣し、地方公共団体等と共催でホールプログラムと地域交流プログラムを実施する事業。令和4(2022)年度から2カ年の登録演奏家制度を採用。
◎審査員
児玉真(一般財団法人地域創造プロデューサー)
伊藤由貴子(公益財団法人神奈川芸術文化財団音楽事業部長、神奈川県民ホール副館長)
谷垣内和子(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会実演芸術振興部企画室長)
米澤浩(邦楽演奏家、NPO法人日本音楽集団副代表)
田中隆文(有限会社邦楽ジャーナル代表取締役)

令和4・5年度公共ホール邦楽活性化事業 登録演奏家プロフィール

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●川田 健太(かわだ けんた)[箏、三絃]
群馬県前橋市出身。7歳より山田流箏曲を、9歳より三味線を習いはじめる。古典作品はもちろん、山田流独自の力強いタッチを活かし、ポップスやジャズ、演歌などをフルートやピアノ、ヴォーカルなどとともにジャンルを超えて共演するマルチなアーティストとして活躍している。洗足学園音楽大学現代邦楽コース在学中。第33回国民文化祭・おおいた2018出演。地域音楽コーディネーター(音楽文化創造)。

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●藤重 奈那子(ふじしげ ななこ)[箏、地歌三絃、十七絃]
大阪府和泉市出身。10歳より箏、12歳より地歌三絃を深海さとみに師事。東京藝術大学音楽部邦楽科生田流箏曲専攻を卒業。卒業時に皇居内桃華楽堂にて御前演奏を務める。現在、同大学の音楽研究科修士課程に在籍中。第18回全国小・中学生箏曲コンクール【小学生の部】銀賞、第2回K邦楽コンクール【現代部門】特別優秀賞(第1位)など多数受賞。宮城社教師。箏曲宮城会、深海邦楽会各会員。

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●棚原 健太(たなはら けんた)[歌三線]
沖縄県浦添市出身。琉球古典音楽野村流保存会教師。比嘉康春に師事。沖縄県立芸術大学音楽学部琉球芸能専攻琉球古典音楽コース卒業、同大学院琉球古典音楽専修修了。国立劇場おきなわ第四期組踊研修を修了。沖縄タイムス伝統芸能選考会三線の部グランプリを受賞。公益財団法人沖縄県文化振興会 文化専門員勤務(H31年度~R3年度)、国立劇場おきなわ主催公演ほか、沖縄県内外での琉球芸能公演等に出演。

公共ホール邦楽活性化事業に関する問い合わせ

芸術環境部 永田・森永
Tel. 03-5573-4064
hougaku@jafra.or.jp

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