一般社団法人 地域創造

令和4年度「公共ホール現代ダンス活性化事業」全体研修会

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写真:登録アーティストプレゼンテーションの様子
1 北尾亘 2 藤田善宏 3 田村一行
4 中村蓉のワークショップに参加するホール担当者

登録アーティストがホールからのライブ配信でプレゼン

 「公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)」の来年度実施予定団体向けの全体研修会を、今年度も会期を秋に移してオンラインで実施しました(*)。
 研修会に参加したのは、令和4年度事業実施予定の大空町教育文化会館(北海道大空町)、西尾市文化会館(愛知県西尾市)、東広島芸術文化ホールくらら(広島県東広島市)、与論町中央公民館(鹿児島県与論町)、茅ヶ崎市民文化会館(神奈川県茅ヶ崎市)、あすとホール(大阪府泉大津市)、天草市民センター(熊本県天草市)、フェニーチェ堺(大阪府堺市)の担当者8名、コーディネーター6名です。
 10月26日はZoomによるワークショップ体験と事業説明、27日は2022年度登録アーティスト7名がとしま区民センター(東京都豊島区)からZoomでライブ配信するオンライン・プレゼンテーション、28日はZoomでの企画検討が行われました。

 

*例年、「地域創造フェスティバル(7月下旬開催)」の会期中に来年度の事業実施予定団体に向けた全体研修会と登録アーティストによる公開プレゼンテーションを同時開催してきましたが、昨年度に続き今年度も東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定されていたため会期を秋に移し、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインで実施しました。

個性が際だったプレゼンテーション

 プレゼンテーションは、例年25分間で実施するところをオンラインであることを考慮して10分に短縮して行われました。昨年度は初めてのオンラインで試行錯誤でしたが、今回は短い時間でアピールするための工夫が随所に見られ、それぞれの個性が際立ったプレゼンテーションになりました。
 一番手で登場した康本雅子さんは、パフォーマンスをしながら「ダンスを見ているときに何を見たいのかは人それぞれ。私はダンサーがゾーンに入る瞬間が好きで見ている」と大画面に映し出された参加者に語りかけるところからスタート。問い合わせが多いという「性教育ワークショップ」の内容を中心に紹介しました。
 北尾亘さんは、現在に至る幅広いキャリアをアピール。3歳のときに子役としてミュージカル『ミス・サイゴン』で初舞台を踏み、ミュージカル、ジャズダンス、ヒップホップなどを経て、15年前にコンテンポラリーダンスに出合ったそうです。「コロナを経て、人との触れあいや想像力を働かせる機会の必要性を実感した。コンテンポラリーダンスは観客が想像力を働かせることのできるジャンルだ」と言い、デモンストレーションではチャットを用いて指定された身体の部位を使う「身体パーツ・ワーク」にトライしました。
 全身ネコ柄の衣装で登場した藤田善宏さんは、野外×ダンス、マイム×ダンス、越谷サンシティホールで5年間継続している物語×ダンスなどこれまで市民と行った活動をプロモーション映像で紹介。「コロナ禍で接触できないと言われているが、それを打破するアイデアとメンタルを持ち合わせている」と胸を張り、遊び上手な藤田さんが一本のボールペンをカメラの向こうにいる参加者と受け渡し合い、自由に動かして遊びました。
 音楽家や造形作家と山猫団というユニットを組む長井江里奈さんは、未経験者向けワークショップの最初に行うという歩くワークをデモンストレーション。ピアニストの生演奏をオンラインで繋ぎ、「ピアノの演奏が止まったら動きを止める」を唯一のルールに、スピードや動きを変化させていく様子を披露しました。
 舞踏家の田村一行さんは、素顔から白塗りをして舞踏家に変身するプロセスをライブ配信。「白塗りし、仮面を付けて個性を消すことで気づかなかった自分が出せるようになる。人間は踊っているのではなく踊らされている。今もみんなコロナに踊らされている。そういうところに注目すると面白い」と話し、カメラを通じた顔面パフォーマンスにトライしました。
 マニシアさんは、自らの舞踊人生を振り返りながらパフォーマンスを行いました。32年前にニューヨークを拠点にダンス活動を行うなか、自ら臨月のダンサーとして踊ったこと、帰国してママダンスグループを結成したこと、車イスの表現者と出会って障がいのある人とのクリエーションをはじめたことなどなど。「生きている以上、人生には変化の波が絶え間なくくる。それを踊りに導いていきたい」というメッセージに心が動かされました。
 最後を締めくくった中村蓉さんは、ダンスのモチベーションである振付を踊ることの楽しさをストレートにアピール。「ワークショップで大切にしているのはこの振付がどのようにしてできあがっているのかを参加者に楽しんでもらうこと」という中村さんは、10分という限られた時間の中で、誰にでもわかる言葉で参加者をリードしながら超短編ダンスを踊りきりました。
 参加者からは「事前の資料で感じていたことと異なる印象を受けた」「アーティストの人柄も感じることができ、市民に作品だけでなくそうした側面も紹介してアーティストを身近に感じてもらいたい」などという感想も寄せられ、手応えのあるプレゼンテーションとなりました。

 全体研修会の開催にあたっては、対面での情報交換や交流ができないことを踏まえ、事前に研修会参加団体へのアンケートを充実させ、また、質疑応答ではZoom上にアーティスト毎に異なるミーティング・ルームを設定して個別質問をしやすくする工夫も行われました。
 最終日の企画検討ではコーディネーターが個別相談に乗るなどして企画をブラッシュアップ。コーディネーターからは対面での交流は叶わなかったものの、「研修会を通して知り合った担当者同士で悩みを共有し、相談しながら取り組んで欲しい」「職場でも共有、相談するなど上司や同僚を巻き込みながら、共感の輪を劇場の外へと広げてほしい」という心構えが伝えられるなど、オンラインではありましたが、事業に向けた確かなキックオフになったのではないでしょうか。

 

 

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●公共ホール現代ダンス活性化事業
地域創造から登録アーティストとコーディネーターを地域に派遣。基本的に3年継続を前提とし、アウトリーチ、公募ワークショップを実施するAプログラム(地域交流プログラム)、Bプログラム(市民参加作品創作プログラム)、Cプログラム(公演プログラム)の3つを1年に1プログラムずつ行う(順番は自由)。実施前年度に研修会とアーティスト選びの参考となる公開プレゼンテーションを行う。

令和3年度ダン活実施団体(主会場/アーティスト/日程)※11月上旬現在

◎Aプログラム
•岐阜県岐阜市(岐阜市文化センター/長井江里奈/11月3日~6日)
•福岡県北九州市(北九州芸術劇場/藤田善宏/11月17日~20日)
•大阪府堺市(フェニーチェ堺/マニシア/2022年1月20日~23日)
•大阪府泉大津市(あすとホール/康本雅子/2022年1月27日~30日)
•神奈川県茅ヶ崎市(茅ヶ崎市民文化会館/藤田善宏/2022年2月2日~5日)
◎Bプログラム
•愛知県豊橋市(穂の国とよはし芸術劇場PLAT/田村一行/7月9日~11日、11月16日~21日)
•福島県白河市(白河文化交流館コミネス/康本雅子/12月2日~5日、2022年1月12日~16日)
◎Cプログラム
•沖縄県浦添市(アイム・ユニバース てだこホール/北尾亘/7月1日~4日)
•石川県野々市市(野々市市情報交流館カメリア/藤田善宏/12月16日~19日)
•岩手県宮古市(宮古市民文化会館/田村一行/2022年1月20日~23日)
•山形県酒田市(酒田市民会館 希望ホール/中村蓉/2022年2月3日~6日)
•山形県鶴岡市(荘銀タクト鶴岡/長井江里奈/2022年2月9日~12日)
•愛知県小牧市(小牧市市民会館/長井江里奈/2022年3月2日~5日)
•徳島県(藍住町総合文化ホール/セレノグラフィカ/2022年3月2日~5日)

 

問い合わせ

芸術環境部 児島・畑
Tel. 03-5573-4077・4075

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