本事業は、県および市町村等の公共ホールが共同・連携して、複数ジャンルのアーティスト(クラシック音楽、現代ダンスまたは演劇等)を市町村に派遣します。1年目はアウトリーチによる地域交流プログラムを実施、2年目は新たな作品を制作して公演をする2カ年事業となっています。
今回は、長野県出身のアーティスト3名、横山彰乃さん(ダンサー・振付家)、海沼優衣さん(パーカッション・マリンバ)、外山賀野さん(チェロ)が選ばれました。12月に小・中学生を対象にしたアウトリーチを小布施町、松川村、中川村で行う予定です。実施に先立ち、県、文化振興事業団、参加3町村およびアーティストが集まり2週間をかけたプログラムづくりが行われました。
まずは、アウトリーチを知るために、各アーティストによる模擬プレゼンを参加者全員で体験。打楽器とチェロの演奏を間近で聴き、音の振動を体感しました。ダンスでは、普段は意識することのない身体の一部に意識を向けた動きや、他者とのコミュニケーションを通じた表現など、さまざまなアプローチが試みられました。アーティストがどのようにプレゼンを組み立てたのかを理解する良き機会になりました。
翌日からは、地域資源を生かしたプログラムを制作するために、アウトリーチ実施先町村をリサーチ。松川村では、ちひろ美術館を見学した後、すずの音ホールにて正調安曇節を鑑賞し、保存協会の皆さんから踊り方を教わりました。中川村では、NVサウンドホールにて村を拠点に活動しているサブニュマ(アフリカンドラム&ダンス)の練習風景を見学。その後、陣馬形山を散策して伊那谷と広大なアルプスの景色を眺めました。小布施町では、北斎館・髙井鴻山記念館・岩松院を巡り信州の歴史にふれることができました。長野県出身のアーティストたちにとっても、地域ごとの多様な歴史や文化、風土にふれるなかで、新たな発見が多かったようで、創作への意欲がさらに高まりました。
リサーチ後は対話を重ね、演奏やダンスの動きを実際に試してプログラムを形にしていきました。楽器の魅力を伝えることを大切にしつつ、「見る時間」と「参加する時間」のバランスにも工夫を重ね、長野らしさを取り入れた構成が完成。アーティストからは、「楽器演奏を間近で聴いて、音楽に興味をもつきっかけになってほしい」「ダンスに正解はなく、体のつくりによって動きが異なるので、それぞれの個性が素敵だと感じてほしい」といった声がありました。
プログラムづくりの様子
問い合わせ
芸術環境部 渡邊・今野
Tel. 03-5573-4060