一般社団法人 地域創造

令和7年度市町村長特別セミナー「地域経営塾」終了報告

 地域創造では、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくため、総務省、全国市町村国際文化研修所(JIAM)の共催により「市町村長特別セミナー『地域経営塾』」を実施しています。今年は11月4日、5日の2日間にわたって開催され、1日目には文化・芸術による地域づくりに関する講義と、おんかつ支援登録アーティストによるアウトリーチ体験(ミニコンサート)を実施しました。

 

 京都芸術センター副館長の山本麻友美さんによる講義では、「文化がつくる好循環─アート×ビジネス推進事業から見えてきたこと─」と題し、文化がもたらす経済以外の価値や効果について事例紹介を交えながらご講義いただきました。

 

 これまで文化政策は、金銭的支援や作品購入などによって、アート市場、そして経済を活性化させるものが主流でしたが(=文化と経済の好循環)、それだけでは文化資源の消耗となり、経済効果にも限界がありました。そこで今、文化がもたらす非金銭的な価値に目が向けられている、というものです。その価値とは、関係性、信頼、創造性。「文化は、人と人を結び、地域の力を生み出す“社会のインフラ”」となり得るとのことでした。

 

 京都芸術センターでも、滞在制作のサポートや、企業とアーティストとの対話づくり、企業向けの演劇ワークショップなど、さまざまな関係性や共創を生み出す取り組みを行い、滞在制作には世界中から、約1,500組の申し込みがあったそうです。 

「芸術は人の誇りと地域への信頼を再生する力をもつ。一朝一夕では効果が見えないが、長期的な視野で文化政策を考えてもらいたい」という山本さんの言葉に、参加者は熱心に耳を傾けていました。

 

 講義に続いて行われた、ソプラノ歌手の梅津碧さんによるアウトリーチ体験では、梅津さんのパワフルで美しい歌声に軽妙なトーク、そして『きらきら星』を参加者も実際に歌唱するなど、多彩なプログラムとなりました。最後に、梅津さんがオペラ歌手になったきっかけである、大学生の時に偶然観たオペラの舞台についてのお話があり、そんな人生を変えるような出会いになれたらという思いでアウトリーチを行っている、と締めくくられました。

 

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梅津碧さん(ピアノ:石野真穂さん)によるミニコンサート

 

市町村長特別セミナーに関する問い合わせ

芸術環境部 税光

Tel.03-5573-4064