約半数の美術館で収蔵品のデジタル・アーカイブ化が進む
今回は「美術館」および地方公共団体によるアート関連の主な調査結果を紹介する。なお、今回調査の対象となった「美術館」651施設(地方公共団体からの回答により把握した施設数。2019年度調査では648施設)のうち、施設側から有効回答があったのは648施設である。
回答施設の概況
設置主体別では、都道府県88施設(13.6%)、政令市40施設(6.2%)、市区町村520施設(80.2 %)となっている。管理運営形態別では、指定管理が266施設(41.0%)、直営が377施設(58.2 %)、閉館中が5施設(0.8%)である。2019年度調査と比較すると、指定管理の比率が38.9%から41.0%へと増加している[表1]。種別で見ると、291施設(構成比44.9%)が博物館法上の「登録博物館・博物館相当施設」である。
表1 設置主体別、管理運営形態別/施設内容内訳(%)

施設の運営状況(スタッフ数・専門職員の有無・収入)
2024年9月時点での美術館全体のスタッフの平均合計人数は9.1人で、内訳は、学芸員3.3人、学芸員以外の事業系スタッフ2.9人、施設管理系スタッフ2.2人、総務系スタッフ3.0人となっている。設置主体別では、都道府県(21.3人)、政令市(14.7人)が多く、市区町村(6.6人)との差が顕著だった[表2]。教育普及については、「専門セクションがある」が6.9%、「専門セクションはないが専門の担当者がいる」が9.6%となっている。「専門セクションがある」比率は都道府県施設で29.5%、政令市で12.5%と高い。
2023年度決算金額による収入金額は、直営施設で平均79,634千円、指定管理施設で平均141,250千円となっており、双方とも2018年度決算金額(直営65,232千円、指定管理131,442千円)から増加している。
表2 スタッフ数の平均(人)(設置主体別)

自主事業の実施状況と美術館運営
展覧会や教育普及事業等の自主事業を実施している美術館は全体の95.0%であった。自主事業実施施設616施設のうち、67.9%が「常設展と企画展の両方」を実施、「企画展のみ」が23.4%、「常設展のみ」が6.0%となっている[図1・2]。企画展のテーマとして多いのは「地域のアーティストが主に出展する企画展」(43.1%)と「子ども(親子)を対象とした普及型企画展」(34.2%)である。
図1 2023年度 自主事業の実施状況と担い手(%)[N=648]

図2 2023年度 自主事業(展覧会)の実施状況(%)[N=616]

展覧会以外の自主事業としては、「ギャラリー トーク」(69.5%)、「館内でのワークショップ」(64.0%)、「学校向け団体鑑賞」(52.1%)、「講 演会」(51.9%)、「学芸員による出前授業」(41.1 %)、「他ジャンルのイベント」(33.8%)が多くの施設で実施されている[図3]。
図3 2023年度の展覧会以外の自主事業の種類(MA)(%)[N=616]

館内における美術品の写真撮影については、「全面禁止」(15.1%)、「一部認めている」(72.1%)、「全面的に認めている」(12.2%)となっており、全体の8割以上が一定程度写真撮影を認めている(2019年度では「全面禁止」が32.3%)[表3]。多言語対応は「行っている」が34.6%、「検討中」が9.4%であった(2019年度は「行っている」が18.7%)[表4]。双方ともにこの5年間でかなり進んでいる。
表3 美術品の写真撮影の認可状況(%)(設置主体別)

表4 多言語での解説表示の実施状況(%)(設置主体別)

また、令和4(2022)年度の博物館法改正で求められるようになった収蔵品のデジタル・アーカイブ化については、半数近くの施設でアーカイブ化が進んでいる(収蔵品の静止画・3Dデータ、展覧会の3Dデータ:計49.7%)[表5]。
表5 収蔵品のデジタル・アーカイブ化(%)(設置主体別)

地方公共団体によるアートプロジェクト /アーティスト・イン・レジデンスの実施
地方公共団体が主催として参画し、アートによる地域活性化などを目的にまちなかや野外などの地域で展開する取り組みである「アートプロジェクト」については、地方公共団体の14.6%が実施、1.0%が計画中となっている。団体種別では、都道府県の51.1%、政令市の60.0%で何らかのアート・プロジェクトが実施されている[図4]。
図4 アートプロジェクトの有無(%)(団体種別)

アーティストが地域に滞在して作品制作を行う「アーティスト・イン・レジデンス」については、地方公共団体の5.0%が実施、1.3%が計画中である。こちらは都道府県の27.7%、政令市の45.0%で実施されており、政令市での実施比率が高い[図5]。
図5 アーティスト・イン・レジデンスの有無(%)(団体種別)

*2024年度「地域の公立文化施設実態調査」報告書は、地域創造ホームページにも掲載しています。
2024年度「地域の公立文化施設実態調査」調査概要
◎調査対象
公立文化施設のうち、「専用ホール」、「その他ホール」、「美術館」、「練習場・創作工房(アーティスト・イン・レジデンス施設を含む)」およびそれらを含む「複合施設」と、施設の設置主体にあたる地方公共団体。
◎調査時期
2024年9月~11月
◎調査方法
全国の地方公共団体の文化行政担当者に、当該団体が設置主体となっている調査対象施設を記入する「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」、「施設調査票」を配布。当該団体において「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」の記入および「施設調査票」の各施設への配布と取りまとめをしていただいた。
◎調査回収数
•地方公共団体票の有効回収数1,756(都道府県47(100%)、政令市20(100%)、市区町村1,687(98.0%)、一部事務組合2)
•地方公共団体からの回答3,500館 延べ3,692施設(「専用ホール」1,535、「その他ホール」1,340、「美術館」651、「練習場・創作工房」166)
•地方公共団体から回答があった3,500館のうち、施設からの施設調査票の有効回収数3,478館 延べ3,670施設(「専用ホール」1,523、「その他ホール」1,333、「美術館」648、「練習場・創作工房」166)
調査研究に関する問い合わせ
芸術環境部 中嶋・児島
Tel. 03-5573-4066
