一般社団法人 地域創造

ステージラボ鶴岡セッション 報告

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1:自主事業コース「公共ホールの今と事業評価のこれから」
2:ホール入門コース「アートリレー 創るの巻  その③~ダンス編、そして」
3: 自主事業コース「創作・発表公演」
4: 共通プログラム「伝統文化の継承と活用~鶴岡の食文化を通して」

ホール入門コースでは“アートリレー”で講義を展開

 ステージラボ鶴岡セッションが荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)を会場に開催されました。今回はホール入門と自主事業の2コースで、前者のコーディネーターをコンテンポラリーダンスのセレノグラフィカ(隅地茉歩さん、阿比留修一さん)、後者をサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)で音楽事業を担当する田澤拓朗さんが務めました。

 大ホール(1,120席)と小ホール(平土間)を有する荘銀タクト鶴岡は2018年にオープン。世界的な建築家ユニットSANAAの設計で、建物の外周が全面ガラス張りのエントランスホールになっているのが特徴です。今回はこうした市民の憩いの場として居場所機能を有する新しいタイプの施設の体験にもなりました。

●アートリレー方式に挑む〜ホール入門コース

 ホール入門コースの特徴は、今回初めて取り組んだアートリレー方式です。2日目のゼミ6時間を使い、美術、次いで演劇のワークショップを行い、そこで生まれた創作の種を最後のダンスのワークショップで身体の動きとして受け止め、1つの作品にまとめて発表しました。

 コーディネーターの隅地さんは、リレー方式にした意図について、「予め着地点が見えるところではなく、自分の都合で運ぶことができない、私自身も予想がつかないところに参加者と一緒に行きたかった。普段の仕事では不確定なところに漕ぎ出せないシチュエーションも多いので、この機会だからこそ若い人と一緒にそこに向かってみたかった。参加者はこの土地にとってのマレビト(外の世界から来て、土地に刺激を与え、寿いで去っていく人)なのでそれをテーマにした」と思いを語っていました。

 美術のファシリテーターは、セレノグラフィカとコラボレーションした経験があり、「身体だけで表現するのではなく、衣=美術があることで手繰り寄せられる表現がある」というアーティストの水内貴英さん。頭から被る透け感のあるチュールを用い、参加者それぞれがイメージするマレビトの衣を創作しました。

 演劇のファシリテーターは、障害のある人のケアをコーディネートしている佐藤拓道さん(たんぽぽの家アートセンターHANA副施設長)。障害のある人と行っているワークを体験した後、マレビトのように謎の言葉で喋る遊びを楽しみました。「組み立てられたワークより、その場で皆さんが起こしていることのほうが面白い。それをできるだけ拾って、起きたことを肯定するのが大切」と佐藤さん。

 最後の発表では、さまざまな衣をまとい、マレビト語を話す異形の参加者が舞台に登場。ラスト、衣を脱いで素に戻ると、そこには憑き物が落ちたような清々しい顔が並んでいました。着地点が見えない取り組みに自分と対話しながら向き合った参加者に対し、隅地さんは「自分と向き合える人は他の人とも繋がれる」とエールを送っていました。

●「展覧会の絵」を深堀り〜自主事業コース

 自主事業コースでは、「公共ホールの今と事業評価のこれから」について考える講義とピアニストの三原未紗子さんを招いたムソルグスキーの『展覧会の絵』を深堀りするワークショップ&リサイタルの2本柱でゼミが行われました。
 前者では大澤寅雄さん(合同会社文化コモンズ研究所代表)が地域創造が昨年度実施したアンケートについて報告(レター8月号参照)。参加者が事前に提出した各館のアンケートフォームの分析を踏まえながら、「評価を説明能力の向上、事業の改善、組織力の向上、政策提言に繋げること」の重要性について話し合われました。
 時間をかけて行われたのが後者です。三原さんが『展覧会の絵』を演奏を交えながら、自身の楽曲に向き合う思いなどを伝え、深く掘り下げるアナリーゼを行った上で、全曲演奏しました。その後、演出家の岩崎正裕さんが2時間のワークショップを行い、演奏前のプロローグなどを創作するという難題にも挑戦しました。
 三原さんの演奏、岩崎さんの演出で上演された最後の発表では、亡くなった友人のために作曲された『展覧会の絵』の世界を踏まえ、「ピアノは棺」というキーワードとともに参加者が亡くなった人を思い浮かべ、記憶の中にあるその人にまつわる言葉をひとりひとりがつぶやくという感動的なシーンが展開しました。
 「競うのではなく、美しいものをつくりたくてこの仕事を選んだのを思い出した」「自分の体験の中から言葉を引き出していただいた」など、参加者も深く感じ入った体験となりました。

●鶴岡の伝統的な食文化にふれる〜共通プログラム

 鶴岡市は、出羽三山神社がある羽黒地域に伝わる精進料理や農家が自家採種をしながら受け継いできた在来作物などがあり、2014年に日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」に認定されました。市役所に食文化創造都市推進 課がある鶴岡らしく、共通プログラムは「伝統文化の継承と活用」をテーマに行われました。
 まず、この地の魅力に惹かれて移住し、食文化を活用した地域振興のプランナーを務める西直人さん(東北芸術工科大学教授)が食文化を語れる「鶴岡ふうどガイド」(鶴岡食文化創造都市推進協議会認定)の育成といった実践例について講義しました。
 続いて、食文化コーディネーターの中野律さん (合同会社YUI代表社員)が60種類ある在来作物や、行事食、精進料理などについて紹介し、在来作物の外内島きゅうりと普通のきゅうりの食べ比べ、精進料理で用いる出汁の試飲などを行いました。
 「いろいろと残っているものがあっても解説者がいないと面白さに気づけない」という言葉が印象的でした。

ステージラボ鶴岡セッション プログラム表

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コースコーディネーター

◎ホール入門コース
セレノグラフィカ(隅地茉歩[振付家・ダンサー]、阿比留修一[ダンサー])
◎自主事業コース
田澤拓朗(サントミューゼ[上田市交流文化芸術センター]事業担当係長)

ステージラボに関する問い合わせ

芸術環境部 税光
Tel. 03-5573-4068

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