一般社団法人 地域創造

令和8年度「市町村立美術館活性化事業」スタート

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1:アドバイザーの長瀧光子さんによるギャラリートーク(辰野美術館)
2:学芸会議の様子(飛騨市美術館)
3:展示作業の様子(辰野美術館)
4:地域交流プログラム(飛騨市美術館)

 「市町村立美術館活性化事業(市美活)」の24回目となる巡回展「栃木県真岡市所蔵 久保コレクション 没後30年 久保貞次郎とは何者だったのか?」が、全国を巡回中です。美術評論家・久保貞次郎が収集したコレクションの内、約1,460点の多彩な作品がゆかりの深い栃木県真岡市に寄贈されています。本展では、そのコレクションから、参加学芸員が選りすぐった73点の作品や資料をご紹介しています。市美活は、巡回展に参加したことのない学芸員の方も参加いただける研修制度の側面もある事業です。他館からの作品借用や、美術専門業者を活用しての展示輸送実務が未経験の学芸員も参加いただいていますので、今回は事業のサポート体制もご紹介したいと思います。

市美活の事業枠組みと学芸員サポート体制について

 まず市美活では、集まった参加館にて実行委員会をつくっていただき、主体的に巡回展制作を行っていただきます。年に4 ~ 5 回、各館を持ち回りにしての学芸会議を実施するほか、近年ではオンライン会議も併用して巡回展の内容を詰めています。このような準備年度は1年間。限られた時間で、初めて会う学芸員同士で巡回展を制作するのはなかなか大変です。

 こうした状況を踏まえて、アドバイザーとコーディネーターを学芸会議に派遣しています。アドバイザーは例年、貸出協力館の学芸員の方にお願いしています。作品のコンディションや著作権関係などコレクションにまつわる具体的な情報を提供いただきながら、作品選定においてアドバイスをいただくほか、展示作業にて展示方法についてご指導いただいています。参加学芸員からの質問に応えて、出品リストや図版の整理など、今回の久保展でもアドバイザーの方々にはさまざまなご協力をいただきました。
 加えて、令和7年度からはコーディネーターの派遣も行っています。コーディネーターは市美活のOBであるベテラン学芸員で、実行委員会事務への助言・サポート、学芸員の経験値に合わせた学芸業務の指導など、多方面で的確なサポートをいただいています。実施主体となる実行委員会では、事務局館がリーダーシップを取って話し合いを進め、実行委員会の事務処理も中心となって行いますが、都道府県を超えた実行委員会をつくって運営した経験のある学芸員はなかなかいないのが現実です。この事務局館としての進行もコーディネーターがアドバイスしてくれます。困ったときにどんなことにも相談に乗ってくれる、学芸員の皆様にとって心強い存在です。

 

市美活の準備年度の様子

 参加館募集の際、「パッケージ化された巡回展なのか」というお問い合わせを受けることがありますが、決してそうではありません。どんなテーマにするか、参加館同士の巡回展へのイメージのすり合わせを行うので、コミュニケーションが大切です。この過程を通して、学芸員同士の交流が深まり、日頃の学芸業務などについても相談できる仲間ができる方が多いようです。普段は一人で学芸業務を担当している方も多いため、大変刺激になるというお声もいただいています。
 今回は、初めて巡回展を担当する学芸員の方が多かったということもあり、会議の中でなかなか意見が出ないこともありました。コーディネーターの的確な声掛けで、徐々にご自身たちの意見が出るようになり、最終的には、美術評論家、若手作家の支援者、コレクターなど多彩な顔をもつ「久保貞次郎」を知ってほしいという共通の思いに至ることができました。
 展示構成を決めつつ、同時に展示輸送計画や図録・造作物の制作、著作権申請などを行っていくので大変ですが、アドバイザーとコーディネーターの手厚いサポートの下、開幕に向けて準備を進めていきました。まずは何から始めたらよいかわからないという場合も、コーディネーターが基礎的なところからアドバイスしつつ伴走してくれるので、参加した学芸員の皆様も安心してそれぞれ割り振られた担当業務を進められたようです。
 最初の開催館では、展示作業に参加館が全員集まり、アドバイザーとコーディネーターにも指導やご意見をいただきながら、展示をつくり上げます。普段体験することのない他館の学芸員と協力しながらの展示作業は勉強になることも多いようです。
 そして、いよいよ5月30日に辰野美術館での総合開会式を迎えました。実行委員会の委員である各館の館長や、会場となる自治体の関係者などが集まり、にぎやかに展覧会がオープンとなりました。

 

地域交流プログラム

 地域に美術館の活動が還元されていくことを目的に、地域交流プログラムにも力を入れているのが特徴の一つです。
 飛騨市美術館では、出品作品に蔵書票があることを踏まえ、金沢湯涌創作の森シルクスクリーン工房講師の笠嶋暢子さんを招いて「シルクスクリーンで蔵書票を作ろう」というワークショップを行いました。2日間の工程で、1日目は多色刷りのオリジナルを作成するための下絵づくりを行い、2日目は下絵を元に笠嶋さんが版を制作し、飛騨市の手漉き和紙である山中和紙に実際に刷ってみました。なかなか難しい作業もありましたが、少人数制で行われていたので、笠嶋さんから密に指導を受けられ、とても満足度が高かったようです。出来上がった蔵書票も個性豊かで1枚1枚の風合いがあり、版画の面白さも伝わる内容となりました。飛騨市美術館では、「今回の助成金も活用し、普段と違い遠方から講師の方を呼べたので、内容も広がりが出来、今後のネットワークにもなった」と話してくれました。
 辰野美術館、飛騨市美術館での展覧会の後、COCONOアートプレイスへと巡回し(10月10日~11月23日)、最後はしもだて美術館で12月12日~2027年1月31日まで開催されます。ぜひお近くの会場へ足をお運びください。
 また、令和9・10年度市町村立美術館活性化事業「淡く透き通る風景・水彩画の魅力─東御市丸山晩霞記念館、東御市梅野記念絵画館所蔵品を中心に─」展 の参加館を現在募集しています(10月30日締切)。ご応募をお待ちしています。

 

●令和7・8年度市町村立美術館活性化事業第24回共同巡回展「栃木県真岡市所蔵 久保コレクション 没後30年 久保貞次郎とは何者だったのか?」
•辰野美術館(長野県辰野町)
5月30日~7月12日
•飛騨市美術館(岐阜県飛騨市)
7月18日~8月30日
•COCONOアートプレイス(福井県大野市)
10月10日~11月23日
•しもだて美術館(茨城県筑西市)
12月12日~2027年1月31日
[アドバイザー]長瀧光子(真岡市教育委員会文化課学芸員)、猪瀬葵(真岡市教育委員会文化課学芸員)
[コーディネーター]服部文孝

 

●令和7・8年度市町村美術館活性化事業 準備年度の取り組みをYouTubeでご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=EwB_deInJrw

 

●令和9・10年度市町村立美術館活性化事業の募集については実施要綱をご確認ください。

当財団ホームページからダウンロードできます。
募集締切:2026年10月30日(金)

https://www.jafra.or.jp/docs/14271.html

市町村立美術館活性化事業に関する問い合わせ

芸術環境部 高野・黒田
Tel. 03-5573-4056

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