この事業は、これまでにおんかつ、ダン活、邦楽事業を実施してきた団体が、そのノウハウを活かし、特別支援学校や障害者施設等を対象にアウトリーチを実施するもので、障がい者等を対象とした事業を担う職員の企画・制作力の向上を目指しています。今年度は5団体が参加。地域で豊富な経験を積んだ登録アーティスト(おんかつ支援・ダン活支援)と、ホール担当者が対話を重ねながら、それぞれの地域や対象者に合わせた取り組みを進めています。
上富田文化会館(和歌山県上富田町)では、大森智子さん(ソプラノ)が、南紀はまゆう支援学校、福祉事業団関係者を対象にアウトリーチを行いました。南紀はまゆう支援学校では、肢体不自由教育部・高等部1年・小学部5・6年生を対象に実施
しました。『人形オランピアの歌』では、教頭先生が博士役を熱演。また、大森さんがリコーダー、伴奏共演者の田村緑さんが鍵盤ハーモニカで『茶色の小瓶』を演奏しながら、子どもたちの近くへお出掛けしたり、子どもたちがスズや木魚、おりんなどさまざまな楽器を使って『プリンク・プレンク・プランク』を一緒に演奏しました。一人ひとりの特性や興味に配慮し、大森さんは、先生方と現地で対話を重ねながら、みんなが楽しめるようプログラムを練り上げていきました。
2回目の派遣を見据えた福祉事業団関係者向けの実施では、多様な年齢層やニーズを踏まえ、『青い目の人形』や『ゴンドラの唄』などの日本歌曲も演奏。アウトリーチの雰囲気を実際に体験してもらい、本事業への理解を深める機会となりまし
た。参加者からは、「生の演奏を聴く機会の大切さを実感した」といった声が寄せられました。荘銀タクト鶴岡(山形県鶴岡市)では、昨年度に続き、セレノグラフィカによる鶴岡DARCへのアウトリーチを実施しました。前回は緊張の面持ちで
荘銀タクト鶴岡へやって来た参加者の皆さんも、今回はにこやかに手を振りながら来場。小ホールにて、再会や新たな出会いを喜びながらゆっくりと身体をほぐした後、音楽に合わせて会場内を歩きながらみんなとハイタッチ。その後ものびのび
と身体を動かし、ワークの後半は劇場内をプチ探検しながら大ホールへ。舞台上に横一本に引かれた照明の中へマイケル・ジャクソンの曲に合わせて袖から颯爽と登場し、「ひとりずつ振り返ってポーズを決める!」という、劇場だからこそできる
体験も行いました。参加者からは、「身体がぽかぽかとして気持ち良かった。またやりたい!」との声が上がり、ホール担当者は、「この事業で育まれた関係性を、来年度以降も継続していきたい」と語りました。
その他の地域でも、地域や対象者に合わせた多様なプログラムを展開する予定です。それぞれの地域で生まれる新たな取り組みに、ぜひご注目ください。


アウトリーチの様子 上:南紀はまゆう支援学校(大森智子)/下:鶴岡DARC(セレノグラフィカ) 撮影:Joe Igarashi
令和8年度「公共ホール音楽・現代ダンス活性化障がい者関連事業」
◎実施ホール/派遣アーティスト
•伊賀市文化会館/新野将之(パーカッション)
•上富田文化会館/大森智子(ソプラノ)
•倉敷市玉島市民交流センター/野尻小矢佳(パーカッション)
•名護市民会館/棚原健太(歌三線)
•荘銀タクト鶴岡/セレノグラフィカ(隅地茉歩+阿比留修一)
問い合わせ
芸術環境部 垂水・波多野
Tel.03-5573-4076
