一般社団法人 地域創造

第34号 これからのアートセンター(2013年度10月発行)

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特集 これからのアートセンター

メディアアートという新しいジャンルに果敢に挑戦した山口情報芸術センター[YCAM]が10周年を迎えた。今では専門技術集団YCAMインターラボとアーティストとのコラボレーションにより世界に通用する作品を生み出しているYCAMも、開館当初は前例のないアートセンターとして物議を醸した施設だった。YCAMの10年を振り返るとともに、新たなチャレンジとしてアートと地域活動を繋ぐこれからのアートセンターを目指す施設を紹介する。

空間のエスプリ

体験レッスン

座談会

SCOPE

イラストSCOPE

海外STUDY

特 集 これからのアートセンター

1 山口県山口市│山口情報芸術センター[YCAM]
メディアアートを追求して10年
研究開発チームを擁するアートセンター像を確立く

文:山下里加

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© 大河内 禎

「開館から10年経って市民の方の理解もすすんできました。その理由は、やはり本物のアートをみせてきたことと、この10年でメディアが"道具"として市民生活の中に浸透してきたことが大きかったと思います」(抜粋)

2 群馬県前橋市│アーツ前橋
元商業施設をコンバージョンした美術館が
市民とともにまちなか再生に挑む

文:土屋典子

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© 安井 進

「一般の人たちの美術へのリテラシーがこれだけ高くなっているのですから、参加型・対話型のプログラムを充実させて、アーツ前橋が異なる考え方や感じ方をどんどん交換していけるような場になればと思っています」(抜粋)

3 千葉県市原市 │市原湖畔美術館
地域活動とアートを結ぶ
プラットフォームとしての美術館とは

文:田中健夫

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© 大河内 禎

「アート漫遊を経験してからは、食でも、里山の風景でも、アートをキーワードに、地域の魅力を打ち出していけばいいんだという意識が、我々にも地域の人たちにも浸透しつつあります」(抜粋)

4 静岡県静岡市│静岡市クリエーター支援センター
創造活動支援で
クリエイティブ産業の担い手を育てる

文:田中健夫

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© 大河内 禎

彼らの言葉からは、CCCという新たな場が出来たことでクリエーターの存在や思い、生き方が焙り出され、事業化という新たなチャンスへの意識が目覚め、自然に交流やネットワークが生まれている様子が伝わってくる。(抜粋)

空間のエスプリ

地域の多様性を焙り出す、世界初のオンライン国立劇場
ナショナル・シアター・ウェールズ[NTW]

文:岩城京子

「演劇業界は、放っておくと閉じられた村社会を形成します。これは全く創造的環境ではありません。新鮮な才能がいつでもアクセスできるように、またアーティストでなくても誰もが気軽に意見を伝えてこられるように、私たちは常に外部にオープンである、というメッセージを行動で示す必要があるのです」(抜粋)

体験レッスン

SPACの子ども事業に劇場のあり方を学ぶ

構成:大堀久美子

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© 大河内 禎

「地域にも、そんなアーティストと呼ばれる人種が住んでおり、メジャーな世間の物差しでいうところの成功はしていない。お金も儲けていないし、名誉も得ていない。それでも、その人なりに居場所を見つけて活き活きと生きている。それを目撃してもらえる場所が劇場です。だからこそ、『劇場に来るとホッとする。どんな人でもここには居られる』と思ってもらえる場所にしたい、といつも考えています」(抜粋)

座談会

ワンコインコンサートの可能性

司会・構成:坪池栄子

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© 大河内 禎

「ワンコインコンサート」「サロンコンサート」などの名称で、本物の音楽を気軽に楽しめる低価格シリーズコンサートが普及しています。それぞれの取り組み、ホール活性化・聴衆育成・演奏家育成・ホール職員育成に果たす役割などについて、実施館の担当者に語り合っていただきました。

SCOPE

公益財団法人名古屋市文化振興事業団
"舞台が舞台人を育てる"を合い言葉に
名古屋市文化振興事業団30年の歩み

文:坪池栄子

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「地元で活動している人や団体と行政の意図を繋ぎ、うまくマッチングし、プランニングするのが事業団の役割だと思っています。そして、事業推進課は専門家集団だと一目置かれるようになりたい、と思っています」(抜粋)

沖縄県宜野座村 宜野座村文化センター・がらまんホール
人との繋がりを育む5,900人の村営ホールの試み

文:神山典士

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「当初、ホールは維持費がかかりすぎるとか、批判の的でした。村の人もあんまり来なかった。これではいけないと言って委員会をつくり、小越さんが来てからは、自分たちで企画を考えるんだという気持ちになりました。今では、何をおいてもこの音楽会には参加しています」(抜粋)

イラストSCOPE

福島県檜枝岐村 檜枝岐歌舞伎
暮らしの中で育み、伝えられてきた地芝居の耀き

文:奈良部和美/イラスト:田渕周平

「本はあっても表情や所作は記憶でつくったのだから、その土地独特のものができる。檜枝岐で大事なのは、『一口上(せりふ)、二眼(表情)、三振り(踊り)』。檜枝岐なまりは京なまりに似ていて、周りとはイントネーションが違う。一番大事なのは檜枝岐なまりのせりふだ」(抜粋)

海外STUDY

欧州連合の文化政策
カルチャー・プログラム(2007-13)から
クリエイティブ・ヨーロッパ・プログラム(2014-20)へ

文:藤井慎太郎

芸術文化に直接的に関わるEUの政策の枠組みは、マーストリヒト条約以降につくられていく。芸術創造に関わる「カレイドスコープ」(96~99年)、書籍出版・翻訳に関わる「アリアーヌ」(97~99年)、文化財保護に関わる「ラファエル」(97~99年)の3つのプログラム、それらを統合した「カルチャー2000プログラム」(00~06年、予算総額2億3650万ユーロ)、それを継承した「カルチャー・プログラム」(07~13年、予算総額4億ユーロ)と、名称、規模、内容を変化させながら発展してきた。(抜粋)

第34号 これからのアートセンター(2013年度10月発行)