公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center:SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点とし、俳優、舞台技術・制作スタッフを抱えて活動を行う公立文化事業集団だ。1997年に鈴木忠志・初代芸術総監督の下でスタートし、2代目として2007年にバトンを引き継いだのが現在の宮城聰・芸術総監督である。
SPACでの演出作品の上演だけでなく、国際演劇祭「ふじのくに⇄せかい演劇祭」、中高生を劇場で行われるSPAC公演に招待する鑑賞事業(年間100ステージ・35000人が目標)、人材育成事業(2021年にスタートした高校生対象の1年制演劇学校「SPACアカデミー」等)、就任以来力を入れてきた各種アウトリーチを意欲的に展開。また、2023年度には伊豆の景色を映像として組み込んだ観光演劇『伊豆の踊子』(台本・演出:多田淳之介)を県内巡演するなど、公立劇場運営と創造集団としての取り組みの両立を図ってきた。
震災やコロナ、世界情勢の悪化、公立劇場に求められる役割の変化などを踏まえ、芸術総監督としての今の思いを寄稿していただいた。
宮城 聰(演出家/SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督、静岡県コンベンションアーツセンターグランシップ館長)
宮城 聰 プロフィール
1959年東京生まれ。演出家。2007年4月よりSPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。17年『アンティゴネ』を仏・アヴィニョン演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、同演劇祭史上初めてアジアの劇団が開幕を飾った。他の代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。近年はオペラの演出も手がけ、22年6月に世界的なオペラの祭典、仏・エクサン・プロヴァンス音楽祭において『イドメネオ』、同年12月には独・ベルリン国立歌劇場において初の日本人演出家として『ポントの王ミトリダーテ』を演出し大きな反響を呼んだ。第3回朝日舞台芸術賞受賞(04年)、第2回アサヒビール芸術賞受賞(05年)、平成29年度第68回芸術選奨文部科学大臣賞受賞(18年)、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章(19年)、第50回国際交流基金賞(23年)を受賞。
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