一般社団法人 地域創造

理事長 新年のご挨拶

新世紀の幕開けを心よりお慶び申し上げます。

 

2001年1月1日

 

財団法人 地域創造

 

理事長あいさつ

 

◆記念すべき新世紀の幕開けを迎え、財団職員一同、21世紀の地域づくりに向けて心を新たにしているところです。財団設立以来、6年間にわたってご協力を賜りました皆さまには心よりお礼を申し上げますとともに、今後とも財団事業へのさらなるご理解とご支援をお願いする次第です。

 

◆98年に理事長に就任しましてからの3年間を振り返ってみますと、私なりの事業を構想した1年目、その実現に向けて第一歩を踏み出し新規事業に着手した2年目、その事業を地域の方々の認知も得て実質的に漕ぎ出した本年度と、少しずつではありますが皆さまとの連携が深まっていることに手応えを感じております。

 

◆昨年度、モデル事業として実施しました演劇製作ネットワーク事業ですが、今年度は参加団体を募るところから全国への呼びかけを行い、本格的なスタートを切りました。参加各館の役割分担や財政負担のルールづくりなど、モデル事業で培ったノウハウを活かし、7館が『サド侯爵夫人』の製作に参加しましたが、地域の規模に応じた相応の負担で演劇製作に参加できる枠組みが出来上がったのではないかと自負しております(2月まで各地で公演中)。私は、地域創造の事業を考える上での重要なキーワードの一つが「ネットワーク」ということだと思っています。それぞれの地域の力は小さくとも、地域がネットワークを組み、力を合わせることで単独ではできない規模の事業にも取り組める・・・。演劇製作ネットワーク事業は、そういう意味で、各地に演劇製作のノウハウを蓄積するだけではない成果 をもたらすのではないでしょうか。財団がこうしたネットワークづくりの接着剤の役割を担えればと改めて感じています。

 

◆地域劇団を東京で紹介する「リージョナルシアター・シリーズ」も2年目を迎えました。4年目を迎える「地方都市オーケストラ・フェスティバル」と併せて考えますと、自分たちの活動を広く知ってもらえるこうした機会があることで、地域で活動している方々はとても勇気づけられるのではないかと思います。私もいくつか拝見、拝聴していますが、参加されている人たちの意欲が違います。音楽や演劇のような表現活動では、何百回練習するより一度のきっかけで「化ける」ことがあるそうですが、こうした「やっている人たち自身が感動する」「やっている人たち自身に刺激になる」機会の必要性を痛感するとともに、そうした機会が提供できたことを心から嬉しく思っています。

 

◆伝統芸能に関しましては、昨年度からスタートしました「映像記録保存事業」に加え、「地域伝統芸能まつり」を催すことになりました。有識者の方々からの提言により始まったもので、昔から地域の方々が伝えようと努力してきた伝統芸能を地域の活力として捉え直す試みです。将来の地域づくりに活かせるように記録を残す作業に合わせて、郷土意識や共同体意識に繋がる伝統芸能を発掘し、紹介していきます。これを機に地元の伝統芸能を地域づくりに活かす視点などを考えてみていただければと思います。

 

◆1月6日にはいよいよ中央省庁が1府22省庁から1府12省庁へと再編されます。地域の方からいいますと、自治省は郵政省、総務庁と合わせて総務省として再編されるわけですが、こうした再編により、例えば住民票が郵便局で取り扱えるようになるなど、これまで省庁間の壁によって実現できなかったサービスが可能となります。細分化によって硬直した縦割り行政が是正されることにより、国民生活にとって便利なサービスがどんどん生まれることを心から期待しております。

 

◆新世紀早々、厳しい話になりますが、2007年からは人口が減少に向かうなど、日本にとって21世紀は厳しい時代になると言わざるを得ません。これまでの繁栄をどのようにすれば長続きさせられるか、知恵を絞っていくことが求めれると思います。東京を中心に頭でっかちになった地域づくりを是正し、手足の活力を回復し、地域の自立によって身体全体を支えるような国づくりが求められているのではないでしょうか。

 

(聞き手:坪池栄子)

 

 

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